昨年には、欠けたままの満月が昇ってくるという、「月出帯食」という現象がありましたが、あいにくの天気で、望遠鏡をとおしてかすかにその様子が見られる程度でした。今回の現象は初めての体験ですので、どんな感じになるのか、楽しみです。
ぶっつけ、というのも不安ですので、前日の15日に練習、シミュレーションをすることにしました。16日より、ちょうど1時間月没が早くなります。場所の選定、カメラの焦点距離や露出など、事前に調整しておくべきことは意外にたくさんあります。
月食は夜明け前のことでもあり、夏至直前とはいえ、それまでの夜は長い。月明かりも十分ということで、一関の室根山に出かけました。ここは、山頂付近が、自生するツツジの群落で埋め尽くされ、山全体が真っ赤に染まるほどの見事な眺めが楽しめます。しかも、20:00過ぎにはISS(国際宇宙ステーション)が南西~北東の空を高度70度と、ほぼ頭上を通過して、こと座のベガ(織姫)方向に沈んでいきます。
明るいうちに現地に到着して下見。薄暗くなる直前まで思いの外多くの人が訪れました。山頂にあるのは「きらら室根山天文台」で、その脇の芝生には自衛隊の通信隊(?)が野営をしながら通信中継(かな?)の任務に当たっています。
さて、19:30。撮影準備のため山頂に向かったところ、若い自衛隊員二名が景色を楽しんでいます。せっかくでしたので、当夜のISSが見られる時間や方向などを話し、時間が空いていたら是非見てね、と。・・・ところが、20:00過ぎ、強い西風に吹かれてあっという間に山頂付近は霧に覆われてしまいます。ほんとに「あっ」という間。ほんと。
さらに、出現予報時間を調べたのが2~3日前のことで、その時刻になっても現れず。実に予報の15分後に見え始めました。JAXAのISS予報は毎日更新されていますが、直前情報をチェックしておかなかったミスでした。肝心のISSは、最大光度-2.5等と、圧倒的な明るさで天頂を駆け抜けたものの、写野に入る頃には霧の中。ほんのかすかに写る程度でした。

ほんの30分前までは「快晴」だったのに
カメラのレンズが、これもあっという間に曇るほどです。10分も露出できなさそうな状況でした。撮影後、先の自衛隊員に会いましたので、声をかけたところ、「見えました」とのこと。たぶん、夜半まで待てば霧は晴れたのではないかと思われますが、その後の予定もあり、ここは泣く泣く撤収。下山途中の山の中腹から、太平洋、気仙沼方面が見えましたので、雲がかかってはいましたが10分ほど撮影。山に近い方は灯りもだいぶ見えますが、海沿いは真っ暗なままです。

被災地にも星々が昇り、日が昇る。GO!GO!TOHOKU!
この後、平泉~奥州~北上と撮影予定がありましたが、どこも曇り空。ところが、花巻を過ぎた頃から徐々に雲がなくなり、紫波町に着いた、日付が変わる頃にはすっかり晴れの状態に。月食観測地「候補」の一つ、紫波町彦部の「野村胡堂・あらえびす記念館」駐車場です。月もいい具合の輝きで、あれこれ試し撮りの後、堂々とした記念館も比較明撮影、と思ってシャッターを切り始めると、ものの10分で北から次々と雲がわき始めます。

今夜はこんなのばっかり
03:00前には、再びISSが頭上を通過します。北からわいた雲が帯のように伸びて居座り、室根山でと同様、予報時刻と径路に少々の違いはありましたが、慌てて修正しながら何とか写野には収まりました。

03:00で空はこれだけ明るい。低い位置には木星の姿
03:00を過ぎるともう夜明けの薄明の始まりです。月食の開始時刻には、さらに明るい中での観測・撮影ですので、・・・まぁ、やってみなけりゃわからない、ということで、「後編」に続く。