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さて、新シリーズは自分の体験談というよりも自分の身近にいた人から聞いた話に創作を加えてお送りしようと思います。

 

また、怖い話ばかりではなくちょっとした日常回なども入れていくことになると思いますのでその際はお付き合い頂ければと思います。

 

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これは私が高校生だった頃です。

 

何でも山田がとある廃屋に友人たちと侵入してついでにいたずらで鏡を設置したという報告を聞いてからその後に起きた学校全体を巻き込んだ事件の話です。

 

自分たちで嘘の噂を学校に流して反応を見ると最初は楽しんでいた山田たちですが…。

 

これは山田たちがしたいたずらによってその廃屋が少しの間だけ心霊スポットに生まれ変わった、本当の「嘘から出た誠」のお話です。

 

※創作要素は多いです。

ただ起きた事件自体は本当にあったことなのでその点ご了承願います。

 

〇登場人物

津田 (霊感なし、一般人)

佐々木(霊感あり、非当事者)

山田 (直感あり、いたずらの当事者)

山田の友人A,B(山田と一緒にいたずらした二人)

 

 

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≪第1夜 廃墟の鏡≫

 

それは期末テストも終わり、いよいよ夏休みということで教室が慌ただしくなっていた日、佐々木と教室で昼飯を食っていると笑みを浮かべた山田が姿を現した。

 

山「腹減った。おかずくれ」

津「嫌に決まってるじゃん。購買で買えよ」

佐々「てかお前隣のクラスだろ。わざわざこっち来て昼飯たかるなよ」

山「おいおい固いこと言うなって。マブダチだろ?」

 

そう言って山田は俺たちの机の隣から椅子を拝借し席につく。

そして自分が持っていたおにぎりを食べながら話始める。

なお、私たちの弁当のおかずを狙っていたようで仕方ないからソーセージを与えたら満足したようだった。

 

山「そういえばさ、一昨日の部活帰りAとBの三人で山の廃屋行ってきたわ」

津「山の廃屋?」

佐々「あぁ。高校行く途中の脇道にあるあれか」

山「それ。ま、何もなかったんだけどさ」

 

どうやら夕方にその廃屋に行ったという山田。

その廃屋は山に囲まれた場所にあり古い木造の家のようで開口部から窓とか無くなっているとのこと。

 

何でもその家の家主が以前宅地造成に反対して立ち退きに応じない人物であったとのこと。

ところが数年前にその家主は亡くなったそうだ。

そしてその息子が引き継いだそうだが造成関連でまだ揉めているらしく何年も放置されて廃屋だけが残されている、これが公然と皆が知っている事実である。

 

佐々「てかよく侵入できたな。フェンスとかあったんだろ?」

山「フェンスは超えるだけだったし。一応カメラとかあるか確認したけど無かったから大丈夫だと思った」

津「けどどうして侵入する話になったわけ?」

山「単純な興味ってやつ。実は死体隠しているかもしれないってピンッてきたんよ」

 

どうやら山田はAとBと話しているとき山の廃屋が話題となり、山田が死体を隠しているとか迷推理を披露してテンションが上がった三人がそれじゃ突撃するかという話になったそうだ。

 

山「ま、ただ荒れ果てただけの家だったんだけどよ」

佐々「いつか絶対に警察に捕まるからやめろって」

山「もう行かないから大丈夫だろ。それよりさぁ、実はちょっといたずらしてきた」

津「いたずら?」

山「玄関から入ると廊下と階段があるんだけどさ。その階段っていうのが廊下の奥が見えるくらいスカスカなやつでよ。だからその階段の裏に拾った鏡くくりつけた」

 

なんでもその廃屋は昔ながらの造りで玄関入ってすぐに骨組みだけの階段があるとのこと。

そこで洗面所とかに使われる鏡が道中に落ちていることを思い出した山田がその鏡を階段の裏に仕掛けたという話だ。

 

山「入り口から見ればちょうど顔が映るように位置調整したわ。最初みたらそこに人がいるって思って絶対ビビる訳って仕掛けだ」

佐々「不法侵入の上に人の家のものを勝手に…」

山「まじテンションで怒るなって。頼むからチクるなよ」

佐々「聞かなきゃよかった」

津「けど鏡置いただけでしょ?」

山「ふっふっふ、津田甘いな。実は計画があってな…」

 

そのあと、山田の壮大ないたずらの計画を伝えられた。

なんでも山田とAとBの三人で廃屋の嘘の噂を流すらしい。

 

とりあえず入ってすぐ自分の顔が写るという今回のいたずらを元に噂話を作ったそうだ。

ま、ありふれた普通の心霊話ではあったがそれが学校で話題になれば面白いと楽しそうに言っていた。

 

山「とまぁ計画はこんな感じだ。お前らに教えちゃったけどネタバレしないように気をつけろよ」

佐々「マジでくだらない」

津「ま、まぁ佐々木も落ち着いて。山田だからさ、仕方のないことだって」

佐々「…はぁ。お前絶対俺たち巻き込むなよ」

山「分かってるって。それじゃ結果は夏休み明けということで」

 

とまぁそんな話をされたあと、私たちは夏休みを楽しく過ごす。

花火大会に行ったりお互いの家でゲームしたりやっていない宿題を慌てて三人で協力してやったり…とまぁそんな感じで夏休みはあっという間に過ぎていった。

 

そして新学期初日、いつものように教室に行くと何やら不穏な話が聞こえてきた。

 

クラスメイトE「聞いた? 一年生のX君が行方不明だって」

クラスメイトF「聞いた聞いた。夏休みにあの学校の近くの廃屋へ肝試ししに行っておかしくなったんだって」

 

どうやら山田の思惑通りに噂話が広まっているようだった。

それにXと言えば山田たちと同じ部活の後輩だったと思う。

噂の詳細を知るためにクラスメイトから情報を聞くとこんな感じだ。

 

1、あの廃屋には造成反対を貫いた元家主の霊が出る。

2、入り口の扉の前に立つとその元家主が鏡の裏からこちらを覗いている

3、その家主と目が合うと呪われる…etc

 

これも山田が仕掛けたいたずらの効果なのか。

造成反対を訴えていた住人がいた家から見事に心霊スポットに格上げになったのだ。

 

本人はさぞ満足だろうと思いつつ、昼休みにでも山田の意見を聞こうと思って午前の授業を受ける。

 

そして昼休み、ニコニコしながら山田は私と佐々木の前に現われる。

 

山「いやー、まさかここまで広まるとは俺予想外」

佐々「何言って広めたんだ?」

山「いや単純に死んだ元家主が出るって言っただけ。今日聞いたら呪いとか意味不明な噂にまで誇張されてて吹いたわ」

津「それじゃ大成功ってやつじゃん良かったね。ネタバレするの?」

山「え? する訳ないじゃん。てか言ったところで誰も信じないって」

 

そんな感じで話しながら昼飯を食べてる途中、山田の友達であるAとBが慌ててうちのクラスに入ってくるなりこっちに近づいてきた。

 

A「や、山田、大変だ」

山「どしたん?」

B「が、ガチで幽霊出た…」

山「マ?」

A&B「マ」

 

そのあとベランダに出てAとBの話を聞く。

何でも夏休み終盤にAとBは地元の友人たちと肝試しのためにあの廃屋に訪れたそうだ。

 

当人たちは仕掛けた側ということもあり上からの立場で怖がっている奴らを見て笑ってやろうと思ってたそうだ。

 

案の定、その廃屋の入り口に入った瞬間、その地元の友達たちは出たと言って慌てて外に飛び出したそうだ。

そんな友人たちを笑いながら見ていたときふっと寒気を感じたそうだ。

 

A「それで入り口を見ると当然俺たちの顔が写ってたんだけどさ…」

B「何となく階段の上見たら…いたんだよ」

山「何が?」

A&B「おっさんの幽霊だよ!」

山「ぎゃははは。お前らも騙すならもっとマシな嘘つけよ」

 

山田はいたずらだと思っているようでAとBの話を真面目に聞かずに大笑いしていた。

ただAとBの表情を見る限り冗談を言っている訳ではなく真剣そのものだったと思った。

 

A「マジだって! 信じろよ!」

山「分かった分かった。けどお前ら今のとこ体調悪くないんだろ?」

B「まぁ…そうだけど」

山「じゃあ大丈夫だべ。そうだろ佐々木?」

佐々「…まぁそうじゃない」

山「そういうこと。そういうのは気持ちの問題だってうちの婆ちゃんが言ってたわ」

 

佐々木に聞いて大した反応を示さないことを確認した山田がそう言い放った。

山田がいつものよく分からない理屈でそう二人に言うと不思議なことに二人は冷静さを取り戻した。

 

山田の独自理論、理屈で説明するのは難しいが何となく「山田が言うなら…」みたいな空気になるのが不思議である。

そんな状況の中、私が口を開く。

 

津「そういえばさ。Xって山田たちの部活の後輩だったよね? 行方不明って聞いたけど」

 

私は朝に耳にした情報を二人に尋ねた。

もし嘘の噂でも実際に被害が出てるならと思って心配したのだが予想外の回答が出てきた。

 

山「そういえばX倒れたってマジなん?」

A「あぁ。昨日夏休み最終日って言ってバーベキューしたらしいけど生焼けのもの食って食中毒になったらしい。そうだろB?」

B「おう、俺連絡受けたから。入院するほどじゃないけど今日と明日は部活どころか学校行けないって言ってたな」

 

Xは単純に食あたりだったようだ。

だけど噂ではXは行方不明、まぁ新学期初日に休んでいればそんな誤解が生まれるかもしれないと思った。

 

だいたいの情報を集め終わったところで昼休み終了の鐘がなる。

部活終わったら一緒に帰ろうぜと山田は言って教室から出て行った。

 

AとBも自分たちの教室に戻っていく。

大方の情報を聞き終えた私は佐々木に尋ねる。

 

津「佐々木。今回の件だけど…」

佐々「嘘から出た誠ってやつかもな。まぁ俺は関わらないから」

津「けどさ、本当だったらやばいじゃん。一応山田連れて帰り寄って確認した方がいいんじゃない?」

佐々「やめておけって。そういったものって関わると碌なことないから」

 

そう言って佐々木は一切この件に関わらないというスタンスで自分の席に戻ってしまった。

佐々木ならあるいは何か分かるかもと期待していただけにちょっと残念に思いながら私も席に戻る。

 

午後の授業も終わり、ホームルームの時間になったときに担任の口から予想していない言葉が出てきた。

 

担任「あー、夏休み期間中に中腹の廃屋に侵入する生徒がいると学校にクレームが入った。この中にはいないと先生は信じているが…。間違っても廃屋に近づかないように。不法侵入で警察に捕まるぞ」

 

どうやら今の持ち主が学校に通報したようだ。

朝のホームルームのときに言わなかったということは日中に連絡が来たのかもしれない。

 

どっちにしろこれで私があの廃屋に行くという選択肢はなくなった。

残念な気持ちと同時に安心した気持ちも混ざる変な気分になった。

 

そして部活も終わり、自転車置き場にいつもの三人が集まる。

 

山「いやー。侵入バレたみたいだな。全く、俺みたいにバレないように侵入しろよって話だよな」

佐々「お前不法侵入してるんだから少しは反省しろよ」

山「分かってるって。けどこれじゃ噂の真相確かめられないな」

津「現場見れないしどうしようもないんじゃない」

山「で? 佐々木の見解は?」

 

その言葉に私も佐々木を見る。

佐々木が霊感持ちというのは小学校時代からの付き合いで分かっている。

 

本人が嫌がるから周りには教えていないがこういうときは佐々木に聞くというのが私や山田の定石だった。

 

佐々「さぁ。知らない」

山「いやいや。そこはマブダチの俺たちにだけこそっと教えるところだろ?」

佐々「はぁ…とりあえず帰るぞ」

 

そう言って佐々木はさっさと自転車に乗って家路についてしまう。

 

山「こら佐々木! 教えろって!」

津「ま、待ってよ」

 

慌てて追いかけて三人はいつものように帰宅する。

道中も山田がしつこく佐々木に聞いてめんどくさくなったのか家に着いたら教えてやると言った。

 

もちろんこれには理由がある。

佐々木の家はお札とかで結界のようなものを築いているそうだ。

さらに同居人もいるということで霊的な話をするなら家がいいと昔言っていた。

 

佐々木の家につき、観念したようで佐々木が思い口を開く。

 

佐々「あくまで推測だからな。俺見てないんだから」

山「分かってるって。それで? 結論は?」

佐々「結論は霊は最初から居たというもの。ただ山田みたいな礼儀知らずが次々侵入して激怒して表に出てきたというのが一番可能性が高いと思う」

山「あー…じゃあつまり…」

佐々「山田が悪い」

 

佐々木の結論を聞いて山田が頭を抱える。

少しは反省しているようだ。

ただ佐々木はさらに付け加える。

 

佐々「ただこれは可能性が高いってだけ。もう一つの可能性もある」

津「もう一つ?」

佐々「そう。言霊って知ってるだろ? 学校の人間の多くがその話をしたことで生まれたという可能性も否定できない」

 

言霊とは言葉に霊力が宿ることのようでその霊力が集まった結果幽霊が生まれたという考えに私は驚いた。

 

山「んで、結局どっち?」

佐々「知らん。見てないから分からないって」

山「それじゃ今度調べに…」

佐々「絶対に行くな! 停学か下手したら退学なんだからな。不法侵入は立派な犯罪だぞ」

山「分かった分かった。佐々木にそう言われたら俺だってアホな行動しないって」

 

このとき私は違和感を感じた。

佐々木が必要以上に山田に行くなとかなり強い言葉で言っていたからだ。

 

普段はあまり人に強要するようなことなんてしないのに不思議に思った。

ただ山田も佐々木が霊感持ちでやばいと言ったら本当にやばいということは分かっているので佐々木がダメだと言ったら割と素直に従う。

 

その後、丁度帰ってきた佐々木のお母さんに夕ご飯食べていきなさいと言われて家に連絡してご馳走になる。

山田も一緒だ。

 

この件はこれでお終い、食後に佐々木にそう釘を刺されたので私はもちろん山田もあの廃屋に近づくどころか話題にすらあげなかった。

 

それから数か月、あの廃屋の取り壊し工事が始まった。

林道の入り口に看板が立っており工事車両が入っていく姿を目撃していたから分かったことだ。

 

その後、その山を中心に造成工事が進み十数年経った今では立派な住宅地が出来上がっている。

もちろん、幽霊とかましてや心霊スポットなどその住宅地には存在しない。

 

数か月だけ存在した、存在しないはずの心霊スポット。

本当に不思議な話です。

 

 

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いかがだったでしょうか?

 

この話は高校二年生の時に実際に校内で広まった噂話です。

まさか自分の友人がその一件に関わっていたとは当時は驚きでした。

 

それと同時に心霊スポットというのはひょんなことから出来ることがあるんだなと知った事件でもあります。

 

皆さんの周りにある心霊スポット、色々な言い伝えとかあると思いますが…

本当に昔からのスポットなのでしょうかね?

 

それと佐々木は基本心霊現象の真相をあまり語ってくれません。

だから私も突き詰めた結論を書けないのです…。

ま、分からないものは書けないというスタンスなので勘弁してくださいということで。