冤罪と聞いたとき、皆さんはどんな感想を抱くでしょうか?
冤罪を受けた相手が可哀想、罪をなすりつけた存在を許せない。
様々な感情があると思います。
丁度ネットで動画を色々見ていたとき、冤罪をテーマにしたものを見ていたら昔のことを思い出しました。
そういえば山田が小学校のときに…
今回は私たちも登場させてますが職員室での出来事等は全てあとから聞いた話を元にした創作です。
ま、大筋は事実ですのでご安心ください。
さらに今日の話はホラーではなくただの日常話となります。
それではトラブルメーカー山田が冤罪事件に巻き込まれた小学生のときの出来事をどうぞ。
〇登場人物
津田 (一般人)
山田 (直感王、何かとトラブルを引き寄せる)
佐々木(霊感あり、しかし今回は全く関係なし)
友人A (転校生、転校早々いじめられるも山田介入で解決、現在は私たちグループ)
--------------------------------------
これは小学校6年生のときの話。
いつものように佐々木と雑談を交わしていると山田とAが教室に現われた。
が、山田とAの様子がおかしかった。
山「痛ぇー、さすがに効いたわ」
A「ごめん山ちゃん…本当にごめん…」
津「ど、どうした山田。顔腫れてるぞ」
佐々「喧嘩?」
A「ち、違うんだよ二人とも、実は…」
そう言って状況を説明し始めたAは6年生になってすぐ転校してきた子だ。
小柄でどちらかと言えば可愛い男の子だった。
その容姿もあってか転校早々にクラスのいじめっこ男子に目をつけられていじめの被害を受けていた。
いじめも学校内ではなく下校中などに集中していたみたいで公園とかで暴力を受けており、気付くクラスメイトはいなかった。
そして先週末の下校時間、公園でいじめられていたAの前に現われたのが山田だった。
たまたま別方向から家に帰っていたそうでその光景を見た瞬間キレたそうだ。
山田は駆け出し、途中に落ちてた棒を拾ってそのいじめっこに制裁を加えようと追いかけたらしい。
山田は昔から喧嘩になると凶器を持って襲うという今なら考えられないほど凶暴な一面があり、その話が校内で有名だったこともあってかいじめっこは山田が襲ってくる姿を見た瞬間に逃げだしたそうだ。
山「次やったらぶっ〇すぞ!!」
などと山田は叫んでいたと日曜日に遊んだときAから聞いた。
そんなこんなで山田に助けられたAはすっかり山田に懐いており日曜日遊んだときも山田にべったりだった。
とまぁそういった状況でいじめもエスカレートする前に解決したというのに週明けの月曜日に頬を腫らして山田が現れてAも半泣きの状況だから私も佐々木もかなり驚いてた。
A「今朝山ちゃんが一緒に登校しようって言って家に寄ってくれたんだけど…お父さんが山ちゃんを殴っちゃって…」
津「マジ? 山田が変なことしたから?」
佐々「山田、人様の親の前で失礼なことするから痛い目に遭うんだぞ」
なおこんな状況でも山田を疑う私と佐々木。
山田は基本考え無しに動くタイプということをよく知っていたから今日も自業自得なんだろうと考えていた。
そんな私たちの態度に山田が怒りだす。
山「はぁ!? 何もしてねーよ俺!!」
A「ち、違うんだ津田君に佐々木君。山ちゃんは悪くなくてお父さんが山ちゃんを僕をいじめてた子と勘違いしちゃって…」
そこでAが半泣きになりながら状況を説明し始める。
Aを迎えにきた山田を見た父親がいじめっ子と勘違いしてうちの子に何をしたと言って玄関先から中に引きずり込まれたあとに一発平手で殴られたそうだ。
Aが慌てて状況を説明し誤解はすぐ解け謝罪されたものの山田殴られ損という状況となり今に至る。
津「それは…何と言うか…気の毒だったな山田…」
佐々「疑って悪かったよ。とりあえず保健室行くか?」
山「別に大したことねーよ。グーパンじゃなかったし」
A「ごめん山ちゃん…」
山「気にすんなって。兄ちゃんと母ちゃんのしごきに比べれば大したことねーから」
なお山田家はかなりの体育会系でその辺のヤンキーより怖いお兄さんとそのお兄さんすら凌駕する母親、そしてその上に仏のような父親がいるそうだ。
ただ山田の話曰く、お父さんは普段まず怒ることはないがキレたら家で一番おっかないと言っていた。
A「でも…」
山「別におじさんも謝ってたし俺は気にしてねーからいいよ」
そんな会話をしていたとき、担任の先生が慌てた様子で教室に入ってきた。
担任「や、山田君! 大丈夫!?」
山「大丈夫っすよ。てかどうしたんすかそんな慌てて」
担任「良かった。それより職員室に来て。A君のご両親が来てるんだけど」
山「えっ? さっき誤解を解いたはずっすけど…」
担任「それで事情を聞いて山田君のお家に電話したらお母さんが出てすぐ来るって言って…」
山「母ちゃんに電話したのかよ! マジやべー、職員室っすよね」
そう言って慌てて山田が教室から出ていく。
そして担任の先生もその山田の後を追う。
急展開について行けない私たちであったが最初に起動したのは佐々木だった。
佐々「とりあえず様子見に行く?」
津「だな。行ってみようか」
A「ぼ、僕も行くよ」
こうして三人で廊下に出て職員室を目指す。
職員室の隣が応接室になっていることが分かっていたので会場はそこと踏んで行動する。
そして曲がり角に三人で隠れて向かえの応接室の扉を監視して間もなく、怒気を含んだ表情の山田母とそれを必死に止める山田の姿があった。
山「母ちゃん落ち着け! ここ学校だから!」
山母「あんたは黙ってなさい!!」
その一喝に隠れていた三人の背筋に悪寒が走る。
私と佐々木が知っている山田母と言えばコミュ力が高く明るい人というイメージだったが今目の前にいるのは鬼の形相をした女性、とてもじゃないが同一人物とは思えない程だった。
そして山田が体にしがみついて母親の進路妨害をするもそれを引きづってずんずん前身し、応接間の扉を開く。
そして少しの静寂のあと、それは大噴火を起こす。
山母「あんたらうちの息子に何してんのよ!!」
そして応接室の扉が閉まる。
それを確認した私たちは…静かに教室へと戻っていった。
会話は無かった、ただただ恐怖のあまり言葉を失ってしまった。
普段の姿を知っているがために豹変した姿を見た瞬間、心が恐怖に支配されたからだ。
そして教室に戻った私たちは程なく自習と相成った。
そして三十分は経過した頃、山田が疲れた表情で姿を現した。
私たちは地獄のような環境から無事生還した友を優しく迎える。
佐々「山田お疲れ」
津「大丈夫だった?」
A「山ちゃん…」
山「母ちゃんブチギレだったわ…Aすまん、両親に申し訳なかったと伝えてくれ…」
そう言って山田が疲れながらも説明してくれた。
A両親が開口一番に謝罪するも山田母がブチギレ。
子供に手を挙げるとはどういう了見だとA父に詰め寄る。
山田がしがみついて宥めようとするも今度はA両親を庇った山田がターゲットになり「あんた誰の味方なのよ!」とその場で山田に大説教。
見兼ねた担任が仲裁に入るもいじめに気付かないなんて教師としてどうなんだと山田から事情を聞いてたであろう情報を使って返り討ち、担任敢え無く撃沈。
あまりの剣幕に職員室から先生方が救援に入って何とか沈静化。
最早応接室は猛獣の檻の中という空気となるはずだったが…。
山田母はころっと態度を変えて話し合いに応じ、誤解であったことを理解した上で子供に手を挙げるのはよくないとA父に優しく諭し治療費等は必要ない、謝罪だけで十分と告げて颯爽と自宅に帰ったそうだ。
山田母の場を圧倒的に支配する姿に再び恐怖するもそんな地獄のような環境から生還した友が今無事に目の前にいることに安堵した私たちは山田に労いの言葉をかけ続けた。
山田は最後に「マジ母ちゃん最強だわ…」とポツリと言ってうな垂れてしまった。
普段アホみたいに元気な山田がここまで消耗するなんてと私も佐々木もただただ驚くことしかできなかった。
後日、いじめっこは両親を連れてA宅に謝罪を入れてこの件は丸く収まる。
A両親は山田家に謝罪に再び訪れたときはニコニコした山田母に迎えられて以降は友人として付き合うことになったとのこと。
こうして山田冤罪事件は幕を閉じたのだが一番気の毒なのはやはり山田だったと思う。
誤解で殴られた挙句に実の母が学校で有名人になってしまい山田の知名度が変な意味でますます上がってしまったのは本当に気の毒だと思った小学校の思い出でした。
------------------------------------
いかがだったでしょうか?
2夜続けて日常回となってしまいましたが…まぁ書きたかった気分なのでご容赦ください。
冤罪とは恐ろしいものですね、当時の山田は本当に気の毒でした。
しかも学校で身内の恥をさらすことになるなんて…本当に自分じゃなくて良かったなと思える出来事です。
さて、冒頭にも書きましたが今回は聞いた話に脚色を加えて書いています。
実際は登校して早々に山田が呼び出しを受けてそのあとにA両親と山田母が学校に来たそうです。
そして応接室でのやり取りは山田談によるものですが山田母は本当に凄い剣幕だったそうです。
ただその剣幕のあとに私たちが知っている明るい山田母に切り替わったのは実話で山田もこの母の変わり身にかなりビビったそうです。
後日談ですがいじめっこは反省して私たちグループに入ってAとも仲良くなりました。
うちのクラスではいじめはなく、全員仲良しという訳ではありませんでしたが各グループでそれぞれ楽しくやっているというクラスだったなと今思い出しました。
次回は…不思議話でもかければいいかなと思います。