大名左遷/岡崎守恭 | 月を見上げるもぐらのように

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日記及び読んだ本や面白かったサブカル感想(ネタバレ有り)を書きたい、なと思ってみたり、みなかったり。

X(旧Twitter)が意地悪なので、久しぶりにブログに戻って来ました。


この間、MAPPA×岡田麿里×中島みゆき で宣伝していた『アリスとテレスのまぼろし工場』を見てきました。

ガッツリアニオタって訳では無いので、岡田麿里さんがあの花の脚本家と知って、ふんわり期待して見に行ったら、作画、音楽、話の展開、どれも凄いのに、自分には致命的に合わなくてとても複雑な気持ちで帰るハメになりました。



X見ていると賛否両論あるようですが、オリジナルアニメ映画自体を応援しているので、それなりの興行収入になるのを影から願っていようと思います。


さて、本日の主題は『大名左遷』の感想です。


ここ最近、藤枝梅安や大名倒産などの影響か? 江戸時代への関心が出てきて、前にたまたま買って積本していたこの本を読んでみました。


《あらすじ》

大名を統制する最強の手段は改易(取り潰し)と転封(国替え)だ。

そこには現代の企業やサラリーマンにも通じるドラマが無数にあった。

倒産、解雇、再雇用、転勤、詐欺、自殺、復活…。

藩という「家」、そこにいた藩主と家臣の「人」を軸に、江戸時代の諸相を点描する。


特に面白かったと感じたのは、津山藩森家が徳川綱吉の時代に生類憐れみの令関係の御手伝普請を命じられ、幕閣からのプレッシャー、お犬様関連で起きる諸問題、当然発生する莫大な出費の心労からか?当代の藩主が病死し、家臣筋になっていた一門を跡継ぎに据えたのに、その跡継ぎが将軍へのお目見得の為に江戸に向かう途中で、気鬱になったのか?行きたくないと言い出し、医師の処方を受けた結果『乱心』してしまい、年老いた先々代の藩主が幕府に「役目が果たせないので廃業する」と届け出る結果になった、って話と。


越前松平家の分家である松平大和守家(代表的な人物は引っ越し大名 松平直矩)の度重なる引っ越しによって財政が火の車になった、って話でした。


松平直矩だけでも計五回、

父親の代で 出羽山形十五万石から播磨姫路十五万石へ栄転。

しかし父親が急死し、家督を継いだ直矩は幼少を理由に、越後村上十五万石に転封させられる。

元服し立派な藩主として、越前松平一門として政務に励んだ事を評価され、再び播磨姫路への機会を得て順風満帆に見えたが、姫路に入り10年ほどで、越前松平家嫡流の越後高田藩 松平光長が『越後騒動』を収められず、将軍になったばかりの徳川綱吉による将軍親政推進の影響で、越前家一門である直矩も罪を問われて、豊後日田七万石に減封されてしまう。

日田の地を5年ほど治めていた間に状況が変わり、次は出羽山形十万石へと転封になり、6年後には陸奥白河十五万石へと加増転封された。

しかし度重なる引っ越しによる支出に藩財政は破綻し、多額の借金を背負う状態へと悪化した。

直矩は白河藩主として生を終えたが、松平大和守家の引っ越し地獄はその後も続いて行くそうです。


※直矩の引っ越し遍歴。

播磨姫路→越後村上→播磨姫路→豊後日田→出羽山形→陸奥白河


他にも、忠臣蔵以降 幕府内で前例化した刀傷事件についての対応マニュアルの話や、15代将軍徳川慶喜と16代徳川宗家徳川家達の複雑な関係の話など。


著者によると『知ってる人は知ってる話』が色々あったそうですが、ほぼ知らない人な自分には、とても面白い一冊になりました😊