高校の同級生8 | 珈琲と虹と鯨の棲む場所

珈琲と虹と鯨の棲む場所

東京都三宅島をフィールドに直感を綴る


作者や私が通った都立新宿高校は、かつて学生運動があったことを
入学と同時にどこからともなく知らされる。
それはOBの坂本龍一さんや演歌歌手石川さゆりさんの元旦那さんの馬場憲治さん
政治家の塩崎泰久さんなどが校長室をバリケード封鎖し自由を求め
制服制帽や試験、通信簿の廃止など7項目を訴えた歴史があり、
私たちが通う頃に新宿高校がなぜ制服がなくて自由服、自由な校風なのか、
そのあたりが伝説的に伝えられた。私たちは創立60周年の入学生徒だった。

エスケイプ/アブセントを読むと、作者との共通の歴史がぼんやりと思い浮かぶ。
こういう話は黒歴史として闇に葬られることが殆どだが、作品で断片的に触れられて
遠い記憶の片隅にある引き出しから、引っ張り出してきた思い出を
フィクションであり、ノンフィクションでもある感覚が絶妙である。

絲山さんの作品をこれまで続けて読んでいると、全く別の人生を送っているのに
同じ気持ちで過ごしてきた錯覚を感じざる得ない、
そして作者は実際に体験してきたことを書いているのではないか?
という勝手な妄想にもつながるくらい描写が緻密であり人物がリアルである。

たしか、同級生に双子もいたし、京都大学に行ったやつもいた。
遠い高校時代を思いながら、孤独を埋める読書は続きそうだ。