議会だよりについて ※追記・修整 | 珈琲と虹と鯨の棲む場所

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東京都三宅島をフィールドに直感を綴る


令和2年度第1回定例会が3月に行われました。※2月の改選後初の定例会です。
一般質問では全員ではなく4名の議員が質問しました。
詳細については、最新の 議会だより第33号 をご覧ください。

この議会だよりの3ページ目に「議決結果」というグラフがあり、
下から5番目の議案第25号「令和2年度三宅村一般会計補正予算(第1号)」
沖山雄一 X(反対) という点について、ここにその理由を記しておきたいと思います。
※水原議員の欄が〇となっていますが、議会欠席の為「-」が正しいと思います。

議案については審議があり討論があります。この時、内容について質問は3回まで
討論は反対・賛成についてそれぞれ各1回までというルールがあります。
質疑がない場合は、「なし」、討論がない場合も、「なし」 となり
「異議なし」ということで議案が可決されます。(かなり簡単な説明ですが)

ところが、異議がある場合は「討論はありますか?」という時に「反対討論」をします。
今回は2月の選挙後で時間も限られた中で、3月のはじめの定例会では、
主に必要な経費が計上された当初予算について可決しました。
そして、村長も議会も新しくなった体制で、3月末に提出された
投資的事業を含む補正予算について審議を行いました。

そこで2つ、気になる項目があって、質疑をして反対討論になりました。

その項目は、「逢の浜温泉源調査業務委託489.5万円」と「公設宿泊施設調査業務委託1,500万」
という↓この2つでした。

1つ目は、今のメガネ岩のところにある温泉「ふるさとの湯」
ふるさと体験ビレッジエリアで2年にわたり温泉掘削を行いましたが、
1億円近くかけて掘っても、水温が低く断念した経緯があります。

「ふるさと体験ビレッジ」エリアをあきらめるのか、それとも維持しつつ新たな温泉を掘るのか?
そんな議論がされないまま、逢の浜温泉掘削?となっていたため質問をしました。

事前に質問の下調べとして、公益財団法人 中央温泉研究所 に問い合わせをして、
以前の2回の掘削事業の時にもお話を聞いた滝沢先生にいろいろと教えてもらいました。
逢の浜ではすでに老朽化した過去の施設も取り壊し、無色透明ではあるが過去の温泉は温度も低く
結局、ボイラーで沸かすことになり、その経費もかかることなどが懸念されました。
また日本全国でピンポイントでここに温泉を掘るという事業は過去に1件しかないくらい難しく
まずは全体の熱源調査(かなりお金のかかる調査)をしてから、マスタープランを作成する。
このマスタープランとは、今の三宅島でどこに観光客や島内の温泉利用者を集中させるか?
人口が減っていく中であちこちに分散させた計画を立てるのは難しいので、
めがね岩のところをどうするのか?両方とも活かすのか?どっちか一方にするのか?
宿泊や食事や温泉が複合的に楽しめて、人が利用しやすい場所をどのように描くのか?
そのマスタープランがないまま、事業計画を進めることは、お勧めできないという事でした。

2つ目は、公設宿泊施設調査業務委託です。これは公設の宿を作るための調査です。

47分くらいから村長が小池都知事に要望している↓様子です。

かつては2,500人規模の受け入れが可能だった宿泊キャパが現在は580人ということで、
宿泊場所を作らないと観光客が伸びないという話だと思います。
これについても観光客がわんさか来ていれば、個人でも投資するでしょうが、
すっかり落ち込んでしまった観光業(今年は感染症でさらに厳しい状態ですが)を
どのように回復させていくかのビジョンが大切だと思っています。
公設の宿泊施設を作ったからと言って、現在の3万5千人の観光客数が5万人
噴火前の8万人にはならないと思っています。
そもそも現在に宿泊事業者と意見交換はしたのか?など、疑問がありました。


答弁では、3回までしか質問ができないため、3回目の質問で
「この2つ内容は三宅村の総合計画にのっていますか?」という質問をしました。

現在の 第5次三宅村総合計画 は、2021年までとなっています。
その次は第6次ということで、2031年までの10年を計画していくのですが、
村の事業というのは思いつきでやるわけではなく、総合開発委員会など
各団体の首長などが集まる場などで議論され、決定されます。
その質問に対して、「現在の総合計画にはのっていない」 という回答だったので
反対討論をしました。(1期目でも何度か反対討論はやっています。)

結果、反対1、賛成5(水原議員が欠席の為)ということで、そのまま可決されたのですが、
自分個人の考え方だけで討論しているのではありません。
※事業というのは、調査や設計などをやってから、実際に予算化すると
建物をつくるとなると事業予算は何十億にもなります。(税金や補助金です)
毎回、議案内容や予算書は詳細まで読込み、調べ、支援者の方と相談し、
議事録にきちんと残しておく、ということも含め討論をしました。

こういう時って、すごく切ないし、やるせない気分で、帰りの車の運転をしながら、
自分は議員なんて向いてないんじゃないか?やめてしまいたいと思ったりもします。
それでも支援者の方からは、「誰かが言わなければ変わらないだろう」 そう言われ
4年が過ぎ、2期目に立候補しましたが、かなり厳しい選挙結果でした。
心の奥底では、少しでも三宅島が良くなったらいいな、
東京諸島でも魅力的な、若者が移住したくなる島、そのためにはどうすればいいのか?
いろいろと考えながら日々奮闘しています。

かつて離島ブームの頃は、何もないのに観光客がわんさか来ていました。
前にも書きましたが、沖倉商店は夏の1か月の売り上げが1千万を超える時がありました。
アルバイトも40人雇っていた記録が残っています。
今年は感染症対策自粛でイベントなどもキャンセルになり、厳しい年になると思いますが、
地方都市や全国の離島、特に東京諸島にはチャンスがあると思っています。
ピンチはチャンス!何もないからこそ、そこに魅力を感じ、行きたい人もいると思います。

お金をかけてハコモノばっかり作らなくても、
三宅島は他にはない大切に育てたいものはたくさんあるんです。
それに気づいていないか忘れているか、育てることがへたくそなのか...
今回の「議会だより」の「X」については、そんなプロセスがあったことだけお伝えしたくて書きました。

一般質問では、コロナウイルスの対策のほかに、軽減税率やベイシックインカム

東海汽船の高速船で、神津島と三宅島を繋ぐ話をしましたので、読んでください。

6月10日には第2回の定例会ですが、感染症対策で議会傍聴はできません。
こんな時だから、ネット配信したら良いのにと思いますが、
これもなかなかみんなが嫌がって進みません。悩ましいです。
クヨクヨしながらやっていますよ。ほんとに。それだけです。

【追記・個人的な意見】
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公設の宿泊施設に1,500万をかけて調査とありますが、
調査委託された代理店の出してくる調査結果については、かつて広告代理店にいたので
ある程度予測できるのですが、フォーマットがあって
アンケート結果とか、マーケットデータを配置して、数百万程度のお金を頂く感じです。
三宅島は高齢化比率が高いのと(65歳以上が40%の島)、若者は島外者が多い
島の歴史やさまざまな人間関係や過去の事業の経緯などを調べ、移住者の傾向も調べ
短時間で調査結果を出すことは非常に難しいです。

観光協会や商工会などが地元感覚があり、いろいろなことをわかっている上で
自分たちで動いて、アンケートを取ったり、マーケットデータを集めて
企画書を作成することで充分な内容に作り上げることの方が同じ金額でも格段に良いし、
本当にその施設が必要なのかどうかも含めて、血の通ったものになるんです。
施設が完成してからもずっと関わっていかないといけないのは島民なんですから。

〇〇島という〇〇のところだけを変えて、マーケットデータなどをひっぱり出してきて、
島の歴史やさまざまな人間関係や事業の経緯などを盛り込まずに、
締め切りまでに短時間で企画書が出てくる。そこに何百万も払う。
財源が国や都の補助金だから「島のお金じゃないから良いじゃないか」という判断もありますが、
いつもいつも補助金だよりでやっていたら、成長がないのではないかと思うし、
いまの三宅島の移住してきた若者には活用するべき優秀な方がたくさん埋もれている。

反対討論で「賛成」とした他の議員には、自分のお金や自分のお店や会社で、
「逢の浜温泉源調査業務委託489.5万円」と「公設宿泊施設調査業務委託1,500万」
この事業をやるとして、本当に賛成ですか?
自分のお金じゃないから、他人事のようになっていませんか?
ましてや自分の財布なら5万、10万でも「今はやらない」のなのでは?

そもそもこの事業を推進していくのにどれくらい時間がかかりますか?
先生が言っていたマスタープランに合わせて、完成するまでに10年?20年?
自分が議員じゃないだろうし、そのころにはきっと生きてないかもしれない
まして時代の変化が激しいこのタイミングで、もっと優先してやらなければいけないのは
中央診療所に併設された、医師・看護師常駐した特養老人ホーム建設ではないのか?
数年後、人口2,000人下回る予測の中で、コンパクトな村づくりを計画しないといけないのでは?
日々の課題を考える中でそんな事を思うわけです。※いまなら感染症対策も含め

アメリカの先住民は、大切なことは、4代先まで考えてジャッジをすると言います。
ジャッジの基準に庶民感覚は必要ですが、お金がいくらぐらいかかるのか?
完成までにどれくらい期間がかかるのか?そして完成したものを誰がやるのか?
今の三宅島において考えなくてはいけないのは「誰がやるのか?」
人がいない。誰でもよいわけではない。最終的には「人」だと思います。

過疎化対策など先進地視察などでも、うまくいっている場所には必ずキーとなる人がいて、
24時間、365日、すべてをかけて、全身全霊で日々の問題や課題に取り組んでいます。
逆に言うと、その人がいなくなったら、どうなるのか?
継続しなくなるのは、後継者がいない、育っていない、結局はそんな問題です。

だから、いろいろなことを考えて「反対討論」をしているのです。
支援者と話をしていても、それを作って、誰がやるんだ?という事が話題になります。
なにも準備なしに、直感や思い込みで議会に出席し発言しているわけではありません。