狼王子と赤い薔薇姫 ③ ~ Halloween ~ | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

一眠りした赤ばらちゃんと俺は、仲良く森の西の端へと向かう。


「狼さんにお友達を紹介しますね~。白ばらちゃんと~森と歩いていたら~トラバサミに足を捕らわれてて~( p_q)すごく痛そうにしてたからすぐに助けてあげたんですよ~。それから仲良しになったです♪」


(森の中でトラバサミに捕まったって…いったいどんな女なんだよ…)


俺は源さんと島田の言葉を思い返していた。


「彼女は頭が良いだけに厄介な人だよ。昔は偉い人に仕えていたそうだけどね…まぁ…あれだけの人物なら誰かの下にいるという事は難しいね。それなりのプライドを持ち合わせている。そんな人間がこの森にいる事自体が不思議なんだがね…なんでも居心地がいいらしいよ」


「悪い人ではないのですが…まぁ…俺の口からは説明しがたいです。百聞は一見にしかず…と言いますからね。狼さんも彼女を見れば「あぁ…」と思いますよ」


(どんな奴でも相手でも、俺は…俺は…必ず赤ばらちゃんを守る…)


俺は片時も手放した事などない、愛刀和泉守兼定にそっと手をかける。


「狼さ~ん♪着きましたよ。えへへ~ここです。お友達の家」


着いた先は小奇麗でスタイリッシュな家だった。


赤ばらちゃんは玄関に駆け寄り、手を伸ばしてドアノックをトントンと叩く。


「はぁ~いハート


少し低い声が家の中から聞こえてきた。


「薔薇のお姫様~Trick or Treat♪ですよ~」


(お姫様って…源さんと島田は姫さんなんて言ってなかったぞ)


「あら、赤ばらちゃんねハートお待ちしてましたわ。今開けましてよ」


そっと玄関のドアが開かれる。


中からは赤いドレスがチラリと見えた。


「Happy Halloween!!ですわハート。よく来てくれたわね。歓迎しましてよ」


「お姫様だ~♪わーいわーい♪本物のお姫様みたい♪今日はお姫様の為に王子様を連れてきましたよ♪」


ドアが開かれ、中から赤い薔薇の花弁のようなドレスを着た女が現れた。


黒くて長い髪。


白い肌。


潤んだ桃色の唇。


そしてその切れ長の目には見覚えがあった。


「まぁ…まぁまぁまぁ…王子様って…歳三王子じゃありませんこと吹き出しハート


そしてその喋り方は…


「てめぇ!伊東じゃねぇか!!何だってこんなところにいやがる!!いや…今はそんな事はどうでもいい…なっ…なんなんだ…そのドレスは…」


俺はこの世で一番会いたくない人物に再会しちまった。


俺の幼い頃から父王の優秀な側近として城にいた魔女…いや…オカマ魔女の伊東甲子太郎だ。


優秀で実力もある…父王も信頼を寄せていた…あんな事件が起こるまでは。


どんな事件かはまたの機会に話すとするが…今一番の問題は…こいつが正真証明のオカマだって事だ!!


「狼の姿になってもやっぱりス・テ・キ…おまけに歳三王子ったら私の為に正装を…嫌だわ~甲子太郎恥かしい吹き出しハート


頼む…


頼むから…


俺の前で顔を赤らめて、しなを作るのは止めてくれ!!


「狼さん、中に入りましょ♪お姫様が写真を写してくれるんですよ~♪」


写真?


写真だって?


こいつに俺の写真なんかと撮らせたら、どんな格好させられるかわからねぇ…汗


「わぁ~お姫様と狼さん♪並んだら絵本から抜け出してきたみたい♪」


「あら…キャっハート恥かしいわ」


んなわけねぇだろうがsss


「狼さん♪お姫様をお姫様だっこしてくださいな♪」


なんだって?


このオカマを?


俺が?


お姫様抱っこ…だって…?


「嫌だ~恥かしいわ~。また私のメモリアルアルバムに大切な一枚が刻まれるわね」


嫌だって言うならよ…てめぇが拒否しろsss


しかしカメラを構えて嬉しそうにしている赤ばらちゃんの前で、そんな台詞を言うわけにはいかねぇ。


「はははっ…お姫様だっこか…」


俺は乾いた笑い声を上げ、仕方なく渋々目の前のオカマを抱き上げた。


(今俺が抱き上げているのは伊東じゃねぇ…赤ばらちゃんだ…大人になった赤ばらちゃんだ…頑張れ俺の脳内…フル活動しろ…俺の妄想力…変態妄想姉妹の妹並に妄想しろ…)


「憧れの歳三王子に抱き上げられてるなんて…甲子太郎感激ですわハート


(こんにゃろ…喋るんじゃねぇsss妄想に雑念が入っちまうだろうがsss


「あれぇ~???……グス…上手く撮れなかった(_ _。)」


「赤ばらちゃん、落ち着いて。焦っては良い写真は撮れなくてよ」


頼む…赤ばらちゃん急いでくれ…


オカマが喋る度に、俺は辛い現実に引き戻されるんだ…


「は~い♪いきますよ~」


伊東…てめぇ…sss俺の首に腕なんか回すな!!


そんなメモリアルアルバムなんざ…俺は求めていねぇsss


「わーいわーいo(^▽^)o絵本の王子様とお姫様みたい♪」


赤ばらちゃんよ…


いつも絵本を読んでる途中で寝ちまっているがな…


挿絵は何度も何度も繰り返し見てるよな?


特に王子様が登場するシーンは何回も読んでやったよな?


お姫様の登場する物語を、俺は何冊読んでやった?


白雪姫・シンデレラ・人魚姫・眠りの森の美女・かぐや姫………その物語の中に、伊東みたいな女はいなかっただろうが!!


俺が怒りと恐怖のあまりに固まって動けねぇ間も、伊東は「あぁんハート歳三王子ったら…狼の姿に変えられてもス・テ・キハート」なんてほざきながら写真を撮りまくっている。


ここまで来たら腹をくくるしかねぇな…


なぁ…伊東よ…モデル料ははずんでくれるよな?


そうでも考えねぇとやってられねぇ…


「じゃあ最後に三人で記念撮影しましょうねハート


「じゃあ赤ばらちゃんは…」


真ん中に来いと言おうとした瞬間、赤ばらちゃんは俺の左腕に抱きついてきた。


「狼さんは~真ん中で~両手に花ですよ~♪えへへ♪」


「んまぁ♪歳三王子ったら…両手に赤い薔薇二輪薔薇薔薇ですわね」


伊東が俺の右腕にがっちりと自分の腕を絡めた。


(やめろ…離せ…俺は…俺は…)


伊東の腕を振り払いたくても、伊東はものすごい力で俺の腕に絡みついている。


(夢だ…悪夢だ…こんな事…現実なわけがねぇ…)


タイマーが切れてひと際大きなシャッター音が部屋中に響いた。


「俺は…俺は…この世で一番…一番オカマが嫌いなんだよーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」


俺の叫び声は、無残にもシャッター音にかき消されていった。