私達は小さなイタリアンのお店に来た。
隠れ家的なこのお店は席数が少ないため、予約が入ればいっぱいになってしまう…そんな小さなお店だ。
結婚する前も何度かここに足を運んだ。
季節が変わるたびに新しいメニューが登場して、毎回毎回目でも舌でも楽しませてくれる。
私は特にここのデザートがお気に入りで、今回も迷わずこのお店に行きたいと言った。
秋の食材を使ったお料理が次々と運ばれてきて、口にするたびに私は感嘆の声を上げる。
「ん~!美味しい♪」
「お前は何でも美味そうに食べるな。連れてくる甲斐がある」
歳三さんは私を眺めながら嬉しそうに笑う。
「だって~本当に美味しいですよ♪それに歳三さんに連れてきてもらうお店ってハズレがないです。不思議」
「そりゃぁ…美味いもん食わせてやりたいからな。煩いあいつらに気づかれないように、こっそり人づてに聞いたりしてな…」
歳三さんは6人兄弟。
訳あってみんなばらばらに暮らしていて、やっと兄弟がそろって暮らし始めたところだと、付き合い始めて間もない頃に教えてもらった。
人にはいろんな事情があるからあの時詳しくは聞かなかったし、歳三さんも詳しく語らなかったけど…今ならわかる…。
あの一筋縄ではいかない義弟達に余計な事を少しでも知られたら…歳三さんの眉間の皺は増える一方だろう(苦笑)
「美味しいから皆にも食べさせてあげたいな…でも皆を連れて来たら…このお店が大変な事になっちゃいますね
。食材を食べつくされちゃいます
」
「だろ?だからこの店のオーナにも言われてる。誰にも教えるなって…な」
「じゃあ二人だけの秘密ですね」
そっと人差し指を唇にあてる。
「あぁ…二人だけの…秘密だ」
手を取られ、人差し指びに優しくキスをされた。
「///////」
「ふっ…お前…いつまで経っても変らねぇな」
歳三さんはクスクスと意地悪そうな顔をして私の手を離さない。
「人が見てるから…」
口づけられた指先が疼く。
誰かに見られているかもしれないと思えば思うほど、恥かしさでさらに指が疼く。
「見てねぇよ…それに…この席は一番見えにくいところにある」
えっ?
「かっ確信犯…?」
「だったら…どうする?」
どうするって…
「どどどどうって…がっがんばって家まで我慢してください!!私も我慢しますから!!」
って…何言ってんの?私!?
「ふっ…また我慢かよ…そこまで言われたらしょうがねぇ…お前が我慢するって言ってるのに、俺が我慢しねぇってわけには…いかねぇよな?」
やっと手を解放されて、慌てて引っ込める。
(恥かしい…恥かしいよぉ(>0<)またおかしな事言っちゃった…)
「気にすんな。お前は最初に会った時からおもしれぇからな。そういやぁ…最初に飯に誘った時も…」
「いや~忘れてください!!アレは人生の汚点の一つなんですから!!次の日お店の皆にめちゃくちゃ笑われたし///」
「いいじゃねぇか。お前らしい…ふっ…勘違いで…」
「あ~ぁ!もう!!めっちゃくちゃ笑ってるし~」
久しぶりに出会った頃の話をしたりして、楽しい二人だけの時間はあっという間に過ぎていった。