Cherish ⑤ ~Baby Breath Ⅴ~ | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

気がつくと、私はなぜか裏の休憩所に座っている。


(えっと…なんでここにいるんだろう??)


ぼんやりと今まの事を頭の中で反芻してみる。


(若様が現れて歳三さんに酷い事言ったから…蹴った。その後睨み合いになったらすごい美女が現れて…最終的に若様を連れて帰った…。で、興奮したゆきちゃんが来て、ここまで連れてきてくれた…気がする)


冷静になればなるほど、頭の中には嫌な二文字の言葉が浮かび上がってくる。


(どうしよう…どうしよう…)


どうしようといったって、やったのは自分だから仕方がない。


「落ち着いたか…」


隣で黙って煙草を吸っていた歳三さんが、静かに声をかける。


「歳三さん…どうしよう…」


「…何が?」


いやいや…


何がって…


「私…仕事…クビ…かも」


震える声を抑えつつ、冷静になればなるほど『クビ』の言葉が心に重くのしかかる。


「…」


「違う…クビ以前に若様が色々手を回して…この界隈から永久追放…」


「……」


だんだんと足が震えてきた。


心の中も不安でいっぱいになる。


「もしかしたら…仕事帰りに…私…消される?」


「………」


俯き加減で隣に座る、歳三さんの肩も震えている。


「私…どうしたらいいんだろう…」


とうとう涙がじんわりと滲んできた。


「…………ふっ…」


黙っていた歳三さんの口から、何か言葉が漏れた。


「???」


「もう駄目だ…我慢できねぇ…クククッ…アハハハハハハ…」


「なっ何がおかしいんすか!?人が真剣に悩んでるのに!!」


私の気も知らず、歳三さんは隣で大笑いし始めた。


「おかしいに…決まってるだろ?風間相手に蹴り入れて、いっぱしに啖呵きって、とどめの言葉が…『おととい来い』って…。お前…そのちいせぇ身体で…風間と対等にやり合おうなんて…無謀を通り越して…本当に…面白すぎる…」


面白い?


面白いって…?


私は真剣なのに~


「やっぱりお前は一寸法師だ。虎の総司にいじめられて泣いても、鬼の風間には縫い針みたいな小さな武器で立ち向かって行って、立派に退治しちまった」


泣き笑いの顔で私の頭をくしゃくしゃと撫でる。


「俺は…そんな危なっかしいお前を守ってやりたい。いや…守る…お前に仇をなすやつらから、必ず守り通す。だがな…心は…俺の心は…お前に守られているのかもしれねぇな」



……うそ!?


「わっ私…歳三さんの事守ってますか?」


ずっと知りたかった。


自分がこの人の役に立っているのか。


「私は…歳三さんの心を…ちゃんと守ってあげていますか?」


傷ついたこの人の心を、守ってあげられているのかと。


「あぁ…ちゃんと守ってもらっている…俺は…お前といると安心する」


優しい瞳が私を真っ直ぐに見つめている。


「お前の言葉だけが…俺を癒してくれる」


長い指が私の頬を優しく撫でる。


「よかった…」


今まで我慢していた涙が一気に溢れ出した。


「バカ…こんなところで泣くな…。本当にお前は泣き虫だな。しかたねぇ奴だ…お前が泣いたときはちゃんと傍にいてやるから…俺の傍から離れるな…勝手に離れるんじゃねぇぞ…」


「うえぇぇぇ…」


みんながジロジロ見てるから恥ずかしいけど、どうしても涙が止まらない。


「しょうがねぇな…泣き止むまでこうしてやるから…好きなだけ泣け」


歳三さんは私が泣き止むまで、肩をそっと抱きながら涙を拭ってくれた。