小さな祈り  ~P.S. I Love You~ ② | ethlinの煩悩毛だらけ

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煩悩さらけ出し日記

前回のお話と簡単な設定の説明はこちらから → 小さな祈り  ~P.S. I Love You ~①






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貴方に会うために生まれてきたのなら、こんなに嬉しい事はない。



そう思っているけど口にすると笑われそうだから、私だけの秘密にしている。






ハート小さな祈り  ~P.S. I Love You ~ハート





目を覚ますとリビングの天井が見えた。


「義姉ちゃん大丈夫か?」


目を動かすと、平助くんが心配そうに顔を覗き込んでいた。


「あ・・・平助くん?お帰り」


身体を起こすと、額から濡れたタオルが落ちた。


「もうちょっと寝てたほうがいいって」


時計を見るとまだ3時半だ。


「平助くん、部活は?」


「部活は今日はグランド整備で部活動中止、サミットは今日用事があるって言うし、暇だから早く帰ってきた。おやつでも食おうとしてリビングにきたら、総司の奴が…」


そういえば、総司さんはどうしたんだろう。


「お義姉さん大丈夫!?」


慌てた顔の沙雪ちゃんが現れた。


「沙雪ちゃん、お帰りなさい。あのね…貧血でひっくり返ったみたい。…えっと…総司君は?」


「総司兄なら部屋に追っ払ったから大丈夫だって。あいつ…歳三兄がいないと思ってまた義姉ちゃんの事からかったんだろ?」


怒り心頭の平助くんをぼんやり眺めながら、さっきの事を思い出してみる。


からかわれた


からかわれたけど…


なんか…よく考えたら…


「私に思い込みで興奮して…立ち上がったら貧血で倒れた…のかな?平助くんありがとう。総司さんは悪くないような…気がするし…だから責めないでね。」


「義姉ちゃん、なんで総司にはそんなお人好しなんだよ。そんなんだから総司兄が調子に乗るんじゃないか。たまにはガツーンと言ってやればいいって」


でもね


総司さん相手にガツーンて言ったら…きっと泣いてしまう…泣かされてしまう…かな。


「だからさっきから言ってるじゃないか、平助。義姉さんの頬のごみがついてたから取ろうとしたら、急に立ち上がって仰向けに倒れたって」


呆れ顔の総司さんが現れて私の傍にひざまずく。


「義姉さんゴメン…ちょっとからかい過ぎたかな」


珍しく反省している様子で、少ししょんぼりとした顔で私に話しかける。


総司さんは基本的にいい子…なんだよね?


少し怒った沙雪ちゃんが総司さんの横に立ち、珍しく声を荒げてまくし立てる。


「総司君!義姉さんに悪いと思ってるなら、今日の夕飯の支度代わってあげてよね。あっ…もちろん私も手伝うよ。総司君に全部任せたらみんな塩分取りすぎになっちゃうもん。お義姉さん、総司君と私が代わりに夕飯の支度をするから今日はゆっくりしててください。総司君、買い物に行こう!」


そういって沙雪ちゃんはあっという間に総司さんをひっぱって、買い物に出かけてしまった。


沙雪ちゃんは1年の間に総司さんに結構言うようになったな~。


私も少し見習わないとね。


ため息を一つついて、ゆっくりと立ち上がり後ろ頭を撫でてみる。


たんこぶは出来てないみたいだし、立ちくらみもないから大丈夫みたい。


「平助くん、お腹空いたよね?おやつ何がいいかな?ホットケーキならすぐ作れるかな~」


「いいって、いいって、もうちょっと休んでなよ」


平助くんは慌てて私をソファーに座らせようとすると


きゅるるるるる…


平助くんのお腹の音が鳴った。


平助くんは赤い顔をして照れくさそうに笑う。


「平助くんのお腹はよくないみたいだね」


クスクスと笑いながらダイニングへと移動した。





「ねぇねぇ平助くん」


「ひゃに?」


平助くんは無心でホットケーキを口にしている。


「歳三さんの欲しいものって…何だと思う?」


「欲しいもの?うーん…歳三兄はあんまりコレが欲しいとかって言わないしな~」


「そうなんだよね…」


「ひゃんで?」


「31日は歳三さんの誕生日だから、何かしてあげたいなぁ~って」


「えっ?マジ?そうだっけ?ヤベ…忘れてた。まぁ…いいか。ところで義姉ちゃんは今まで何をあげたのさ?」


今まで…今までねぇ…


「えっとね…誕生日をお祝いするのって今年が初めてなんだよね。去年はお式の準備で急がしかったでしょ。その前の年は…お弁当を買いに来た時にたまたま誕生日って聞いたから、お弁当の海苔を多めに乗せてあげたっけ」


「なんだよ、それ…色気ねぇなぁ」


平助くんは苦笑しながら少し考えて、「あっ!」と声をあげた。


「あれは?バースデーカード!」


「バースデーカード?」


平助くんは慌ててリビングから飛び出し、箱を手にして慌しく戻ってきた。


「これこれ…歳三兄が俺の誕生日に毎年送ってくれたバースデーカード」


箱の中には封筒に入ったカードやはがきがたくさん収められいる。


「みんなと離れた時、俺すっげチビだったからあんまりみんなの事憶えてなかったけど、毎年毎年歳三兄が誕生日にカードを送ってくれてさ。俺の事忘れてないんだって…ちゃんと思ってくれてるんだって思って…すっげ嬉しかった」


封筒には子供の拙い文字から少し大人びた文字まで、平助くん宛ての名前が書かれている。


「ここに皆で住むことが決まった時までずっと欠かさず送ってきてくれてさ、養母さんや義父さんの買ってくれる高価なものよりすっげー嬉しかった」


そっか…


みんなばらばらになって、やっと同じ家に住み始めたって言ってたもんね。


「義姉ちゃんの気持ちを書いて渡したら、すっげー喜ぶと思うぜ。歳三兄は義姉ちゃんの事大好きだもんな」


「そっそんな事ないよあせ歳三さんは家族みんなの事をすごく大切にしてるもん」


赤くなる顔をごまかすように、封筒の中のカードを覗き込む。


カードの一枚一枚に、平助くんのための言葉が書かれていて、離れていてもどんなに大切に思っているのかがすごく胸に伝わってくる。


「すごいね。カード一枚でこんなにも心が温かくなるんだね。平助くん、教えてくれてありがとう」


「いいっていいって。あっ!なんだったら今から買いに行く?俺、こんなカードがいっぱい売ってるところ知ってるぜ」


「ホント?じゃあお願いしようかな。お夕飯は沙雪ちゃんと総司くんに任せたしね」


「よっし!この俺様に任せとけって。歳三兄のハートをガッツリ掴むようなカードを選んでやるからさ」


2人で協力して手早く後片付けを済ませ、私と平助くんは仲良く買い物に出かけた。