「千鶴!おっはよー」
「千姫ちゃん おはよう」
今現れたのは、鈴鹿千姫。代々続く呉服屋の一人娘で、雪村と仲の良い女子の一人だ。おっととりとした雪村となぜか気が合うらしい。
「鈴鹿、今日も早いな」
「生徒副会長様 おはようございまーす」
「斉藤と呼べ・・・」
「じゃあ斉藤君、改めておはようございます。土方さんがいるって事は、沖田先輩はまた遅刻って事ね」
会長の眉間がピクリと反応したのと同時、歓迎されない客人の声がした。
「さすが愚民どもの集まりだけあるな。生徒会長役員自ら役割を放棄するとは」
「風間…朝から何しに来やがった…」
会長の声は不機嫌そのものだ。それも致し方あるまい。会長と風間はまさに犬猿の仲故。
風間は我が桜花学園から徒歩で5分ほどの距離にある、鬼頭学園の生徒会長であり、鬼頭学園理事長の長男、跡継ぎである。
桜花の校長が近藤さんに代わってから、鬼頭とは交流を図る機会が多くなったのだが・・・、そのたびに二人は衝突している。
「ちょっと…千景 もう学校行きなさいよ」
鈴鹿はなんとかこの面倒な状況を回避しようと風間を追い払おうとするが、風間には声が届いていないらしい。
「自分の女を学校まで送ってやっただけだが…」
「金曜日限定でうちの前通るのは止めろ。目障りだ」
「女子生徒の視線が俺に注がれるのが、そんなに気に食わぬか。ふん…お前の女も俺から目が離せないらしい」
風間の視線の先には、きょとんとした雪村が立ちすくんでいる。
「こいつは…そんなんじゃねぇ…」
会長は雪村をかばう様に立ちふさがる。
「だいたい千鶴を散々追っかけまわして、自分のモノにならなければ違う女に手を出す。まったく鬼頭の生徒は節操がねぇな」
「桜花は男子学生が多いくせに、ろくな輩しかいないらしい。手に負えないと向こうから来ただけの事。それに…」
「なんだ?」
「所詮その女も俺に見惚れているらしい。さっきから瞬きもせず立ちつくしているではないか」
視線の先の雪村は、恥ずかしそうに会長の制服をぎゅっと握りしめ、風間をまじまじと凝視している。
「あのなぁ」
俺は会長の気持が痛いほどわかります。会長は今こう思っておられるはず。
「こいつはなぁ…お前がでっかい狸の尻尾・・・肩からさげてっから・・・、こいつは唖然としてるんだろうが」
※ イメージ画像
さすが会長…俺もそう思います(心の中で拍手)。
「だから言ったじゃない(笑)。ファーの襟巻きは、制服に合わないからやめなさいって(笑)」
鈴鹿は呆れ顔で笑いだした。
「なんか風間、女王様みたいだよな~」
「ぷっ…、平助くんダメだよそんな事いっちゃぁ」
風間は三者三様の意見に肩を震わせ、ツカツカと会長の方へ歩みよった。
「貴様…決闘だ」
言うが早いか、風間は手袋を脱ぎ捨て、会長に叩きつけた。
「売られた喧嘩、買わねぇわけにはいかねぇな」
二人が睨み合い、一触即発といった空気の中、風間の背中越しに一人の人物が顔を覗かせた。
「そんなバカ達相手にしてないで、早く行こうよ」
声の主は雪村にそっくりだった。
幼馴染である平助も「千鶴が二人いる」と騒いでいる。
雪村は呆然としながらその人物を見つめ、やっと声を発した。
「薫…?」
「ずいぶん平和ボケしているんだね?千鶴。」
「なんでここに?それにその格好…」
薫と呼ばれた人物は、品定めするように、雪村と会長を見回している。
「あのハゲ親父、僕を追い出しておいて赤の他人を住まわせるなんて、ホント頭にくるね」
雪村と同じ顔、同じ背格好。しかし紡ぎだす言葉は憎悪と棘が含まれている。
「お前だけが幸せを手に入れて、許されるとでも思っているの?」
「薫・・・どうして?」
「どうして?その言葉そっくりお前に返すよ」
「だってその格好・・・」
薫と呼ばれた、雪村と同じ顔の人物は、鬼頭学園の制服に身を包み、卑屈な笑みを浮かべている。
そのやり取りを眺めていた会長は、ため息をついて風間に耳打ちをする。「おい、お前んとこの連中は、みんな暇人なのか?」
「ふん、勝手についてきただけの事・・・。それよりも、貴様の為に朝の貴重な時間を割いてやったこと、感謝して
もらおう」
「しかしアレはないだろう」
「アレか?アレは奴が勝手にしたこと。俺は知らん」
会長と風間が言い合いを繰り返す中、雪村は困惑した表情で立ちつくしている。
「雪村、言いたい事ははっきりと言葉にするといい」
「でも・・・斎藤さん」
「雪村の身内だな?」
「はい…兄です」
「事情は知らぬは、言いにくい事は身内の者が言うべきではないか」
「・・・そう・・・ですよね・・・。斎藤さん、私決めました。薫にちゃんと言います」
「そうか」
「ちょっと・・・二人でナニこそこそ言い合いしてるのさ」
不機嫌な顔をした薫の前に立った雪村は毅然とした態度で薫の前に立ちはだかった。
「薫…鬼頭学園に入学したの?」
「そうだよ。お前が桜花に入る事がわかっていれば、桜花を選んだのにね」
卑屈な笑いを浮かべ雪村をあざ笑う。
「鬼頭って男子校だよね?」
「それがなにさ?」
雪村は手をぎゅっと握りしめ、決心したように言った。
「あの…薫…何でスカートなの?」
「お前より僕の方が、似合うに決まっているからじゃないか」
「鬼頭ではスカート着用は校則違反ではないのか?」
「一君!!ツッコむ所ソコ(爆)」
「平助、俺は何かおかしな事を言ったか?」
桜花では、女子学生がズボン着用の場合は必ず申請が必要なのだが…。
そのやり取りを一部始終見ていた会長は、大きなため息をついて風間に向き合った。
「風間・・悪いが勝負は持越しにさせてもらぇねぇか?なんか・・・妙に興が削げた」
「初めて意見が合ったな。同感だ。ここは黙って引き下がろう。天霧、不知火、薫を引きずってでも連れて行け」
「直ちに」
「おいおい薫ちゃん、いつもいつもめんどくせぇなぁ・・・」
「お前達、僕に気安く触るんじゃない。ちくしょう・・・千鶴・・・また来るからな」
どこからか現れた、ふけ顔の男子学生二人に引きずられ、悪態をつきながら薫は去って行った。
「土方、来週の金曜にまた会おう。それまで首を洗って待っているんだな」
「その台詞、そっくりそのままお前に返す」
「ふん」
嵐のように現れた風間は静かに立ちさって行った。
其の三に続く
なんだかあほうな感じで続きます(汗)
人物紹介 その2
風間 千景 鬼頭学園3年生、鬼頭の生徒会長。
現在千姫と付き合っていますが、中等部時代に千鶴ちゃんを追いかけて、玉砕しました(笑)
鈴鹿 千姫 千鶴ちゃんの同級生で仲良し。平助と三人でつるむ事多し。
風間さんとは、家同士の付き合いもあり、旧知の仲です。一応風間さんの彼女。
南雲 薫 言わずと知れた、千鶴ちゃんの双子の兄。幼い頃、親の離婚のため離れ離れになりました。
幸せな家庭とは言えない状況で育ったため、著しく性格悪し。
(詳しくは二つの道 二人の道を参照)
天霧 九寿 鬼頭学園3年生。噂では3年生を5浪しているとか(笑)。陰のあだ名「ごろうさん」
不知火 匡 鬼頭学園3年生。不知火さん曰く「風間とつるんでるわけじゃねぇ」
平助くんの風間に対する「女王様」発言ですが、アレは私の心を代弁しています。
2010年版薄桜鬼カレンダーの描き下ろしの方、風間さんのイラストを見た瞬間![]()
「風間さん・・・女王さまだぁ・・・」王様でもいいんですが、ポーズとか・・・女王様っぽいし・・・。
ファンの方スイマセン
。バカにした発言ではないです
。
鬼頭の制服はあのイラストの服をイメージしています。白・黒・金ですね。
桜花はどうだろう・・・
隊服のカラーですかね?
2010年3月加筆修正いたしました