俺の名前は斉藤一。桜花学園高等部 一年生だ。
今日は金曜日。毎週金曜日は生徒会メンバーが交代で、校門にて挨拶をする日だ。
今日は俺が当番ゆえ、早く登校している。
「斉藤、今日も早いな」
「おはようございます、会長。」
この方は、桜花学園高等部の土方歳三会長。先生方の信望も厚く、生徒にも人気がある。
「今日は校門はお前に任せる。俺は朝練している連中を調べてくる。」
「御意。」
朝の挨拶は、生徒の身だしなみや動向を調べる場でもある。朝が早い運動部は、見つからぬという考えが多く、風紀が乱れやすいのだ。
顔なじみが多い連中への挨拶を繰り返す中、黒髪を揺らして歩く少女と、騒がしい男子生徒が校門に現れた。
「おっはよー!!一君」
「斉藤さん!!おはようございます。今日は寒いから、大変ですね」
「平助、雪村、おはよう。平助は早いな」
「だってよー、千鶴が『今日は土方さんは朝早く登校したから、一緒に学校行こう』って誘いにくるしー」
憎まれ口をたたくわりに、平助の顔は笑っている.おかしな奴だ。
雪村がきょろきょろと周りを見渡している。
「雪村・・・会長は今、運動部の朝練を巡察中だ。伝言くらいなら預かるが?」
「えっと・・・」
「弁当か?」
「なっなんでわかったんですか!?」
あせる雪村に左手には、小さな鞄が一つ下がっている。
「直接渡すといい。会長もその方が喜ぶ」
「うーん・・・でもたまには学食の方がいいのかなーなんて・・・」
「だから、今日の弁当は俺が食ってやるって」
自信なさげにつぶやく雪村の左手の鞄を取り上げるように、平助の手が伸びた。
俺は女子のスカート丈を測る為の定規を、平助の喉下にあてがった。
「平助・・・雪村は会長のために弁当を作ったのだ。お前は食べる資格はない。」
「げっ」
硬直する平助に対して、さらに続けた。
「今お前に食べ物を与えたら、授業中に弁当を食しかねん。次期生徒会会長候補が早弁していたとなれば・・・全校生徒の風紀が乱れる」
「一君は固いなー」
苦笑いをする平助から弁当を取り上げて、雪村の左手に握らせる。
「雪村」
「はっ・・・はい」
「会長はお前の弁当を毎日楽しみにしている。俺は以前おかずを分けてもらったが・・・お前の弁当は美味い。自信を持て」
「あっ・・・ありがとうございます」
「千鶴、今来たのか?」
噂をしていると、会長が戻ってきた。
頬を高揚させて、会長に弁当を渡している雪村を見ていると、なぜか心がざわめいた。
この感情はなんなのか?なにかよくない事の前兆なのだろうか。
ただ、最近雪村を見ると、いつも何かがざわめく・・・。ざわめく気がする・・・。
ざわめきの意味もわからぬまま、冬の桜花高校の校門には、不穏な空気が近づいてきていた。
其の二に続く
薄桜鬼学園編 たまには斉藤さんのお話にしようと書いてみました。
ここで人物設定を紹介
雪村千鶴 桜花学園1年生 父は医者。幼い頃別れた兄がいる。
土方歳三 桜花学園3年生 鬼の生徒会長 千鶴ちゃんの家に居候中
藤堂平助 桜花学園1年生 千鶴とは小等部からの付き合い 中等部時代に告白したが、スルーされた(笑)
生徒会長候補なのは、斎藤さんが断ったため。
斎藤 一 桜花学園1年生 鬼の生徒会長を支える副会長
桜花学園は若き理事長、近藤勇が経営する学園です。
土方さんは近藤さん宅に居候予定でしたが、諸事情により父の知り合いである、網道さん宅(千鶴ちゃん家)
に居候します。(近藤さん土方さんは幼馴染です)
微妙に年齢設定がおかしくても、妄想力で補ってください(笑)