僕は2年生だった。
学校には備え付けの大型米びつがあり、それは僕の私物だった。
僕自身はあまり使っていない米びつだった。
2年生から3年生への進級記念の折に会食をした。
その時に僕は米びつから計量するための
氷をすくうシャベルのようなプラスチックので米をすくった。
隣の席の女の子が普段は口数少なかった。
あまり話すこともなかったのだけど
好きなことを話すときとても生き生きしていた。
自転車が好きらしく、ソニーのチェーンをこないだ買ったらしい。
チェーンて自転車の?と僕が聞いたら
「そう!」を目を輝かせていた。
進級にあたって僕が文学の授業で眠かったことを担任に話したら
担任は酢を造り左手の合谷に滴下するように指示した。
酢の作り方、使い方、あと酢を使ってドラゴンフライを観察するために
染色する方法が事細かに書かれた説明書をもらった。
もらった時点で僕は大分面倒くさい氣分になっていたが、
義務感でひとつずつこなした。
酢の話を隣の女の子にしたら、
夏休みかなんかの自由研究で私もしたわー と遠い目をしていた。
どうやら周りの学生複数人が経験済みの実験のようだった。
酢の材料は2年生担任の先生が管理する生物教室にあると書いてあった。
酢でドラゴンフライを染色するときプレパラートで挟んでちょうどよい厚みにするのがコツと書いてあった。
顕微鏡の向こうでピンク色に染まったドラゴンフライが、ピクピク動いてまるでボウフラのようだった。
夢だった。