僕には大好きな女の子がひとりいて、
彼女は僕のことが大好きで、
結構な頻度でケンカしては仲直りして、
多少無理しても一緒にいて、
僕の作ったご飯をすべからく感動して食べてくれて、
たまには片付けを手伝ってくれた。
彼女とつきあっている理由の中で、
自分で許せないものがいくつかあったので、
判断は抜きにして、ここに置いていく。
●僕は彼女に属していたかった
どこどこの学校をでたとか、
どこどこの企業に勤めているとか、
そういう所属することでの安心感を、彼女に求めていた。
彼女に属している僕は安定しているでしょ、という社会へのアピールもあった。
僕が何者かを証明する立看板。
結婚してるとか、資格をもってるとか、そういう社会的承認を、
彼女と付き合ってることで得られると思っていた。
●「いい人」でいたかった
彼女の欲求を満たすのが僕の役割だと思っていた。
彼女がおなかがすいたといえばごはんを作るし、
さびしいといえば話し相手になるし、
寒いといえばあたためるし、
具合が悪いから薬がほしいといえば買ってくる。
彼女の役に立つことで、僕の存在価値を認めてもらおうとしていた。
●兄コンプレックス
彼女を見守り、困ったときはいつでも相談に来なよ、という姿勢でいようとした。
自分のきもちは置いておいて、ひたすら聴き、僕のことも話してよ、と言われると困った。
ものわかりのいい顔をずっとしているうちに、自分の気持ちを話すのがむつかしくなって、
つらかった。
ポーズをとっているうちに、むきになって姿勢を変えることに抵抗するようなきもち。
それでいて彼女が相談してくれるのがうれしくかった。
いっぱい話してくれるのがありがたかった。
ただいっぱい話してくれるだけじゃなくて、僕にも話すきっかけをくれた。
一方的に聞き手にまわったり、一方的に話しかけたりしがちな僕に、
彼女はバランスをとるコミュニケーションを教えてくれた。
②へつづく。