第十二回「さいごのソリスト」 | 川瀬有希の独り言

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田中好子さん、キャンディーズ、岡田有希子さんに捧げるブログ

NHK・Eテレにて『響け!ユーフォニアム3』第十二回「さいごのソリスト」がオンエア。





今回は放送前からこれまでになくやきもきしていた。


web予告や事前あらすじ等を見ていると、会場リハの段階でどうやら公開オーディションを行いそうな雰囲気が伝わってきたからだ(明言こそされていないが)。


もしそうなら原作にはないアニメオリジナルな展開で、さすがに結論こそ変えないだろうがどういう理屈をつけて「その方向」に持っていくのか予想困難で、期待と不安が半々といった状態で今日という日を迎えた。








で、実際の放送内容は・・・




第三期というよりユーフォシリーズ通して最大級の改変。


原作小説と違う世界線をつくってきた!


ストーリーを順に追っていくと、まずいつも通りのオーディションでソリに久美子と真由を選出。


甲乙つけがたいこの両者は部員立ち会いの公開オーディションを行い、全員の投票結果により代表の1名を決めると先生が発表(予告にある提案というのは、久美子が部員投票を滝先生にお願いするのかと思っていた)。


この発表の後、誰が吹いているのか分からない、ブラインドでの演奏を久美子が滝先生に提案し採用されることに。


これには驚かされた。


部長という立場にある以上、どうしても情実に動かされて部員は投票しがちになる。


だから、もし公開…をするなら誰が吹いているのか分からない状態にしないと真に公平にはならない。


それを滝先生でなく久美子自身が言ったのが素晴らしい。


実力で選ばれたいという彼女の気持ちが嘘偽りない本物であることをこれで完全に証明したことになる。


その最終オーディションの模様だが、演出が実に見事。


視聴者にも分からないフルの演奏描写を行い、一緒にその場で参加しているような仮想空間を作り出したのだ。


いやぁ、参った。



ここで僕の投票?を明かさねばならないだろう(ちなみに僕は楽器ひとつ出来ないただの素人です)。


1番手は普通に上手いユーフォに思えた。


ペットと同レベルの力強い表現を感じた。


2番手は何となくユーフォがか細く、しかしそれはペットを支える姿勢を感じられる、優しさに包まれた音に響いた。


以上のことから、技術面は判断出来ないのであくまで好みだけど、僕は2番手を良しとした。


後者の全体的な温かさに惹かれたから。


そして部員らの投票結果だが、集計すると何と全くの同数。


ここで、ソリを演奏していたペット奏者の麗奈がまだ意思表示していないことに気付く。


彼女の投票で全てが決まる。


麗奈は、1番手を支持。


その答えを以て滝先生は1番手の奏者が前に出るように要求。


一歩前に出たのは・・・真由だった。


全国大会での第三楽章、ペットとユーフォのソリは麗奈と真由に決定。


即ち、麗奈とのソリを心底願っていた久美子の夢はここで砕け散った。


まさかこんな展開が用意されようとは・・・だって原作小説とは逆だから!!!


これは完全に予想外だった。


その部分だけは絶対に変えないと思っていたので。


放送直後、作者の武田綾乃さんがコメントしているが、本人的には受け入れてる様子。


制作の段階で京アニ側と色々話し合ったんだろうなぁ・・・。


この展開、いい悪いは別にして、本当に凄い脚色で、大袈裟でなく何というか圧倒された。






その夜、麗奈から大吉山に呼び出された久美子。


そこで麗奈に、どちらが久美子の演奏か気付いていたことを知らされる。


そりゃそうだろう、3年間彼女の音を聴き続けてきた、しかも実力派の麗奈に聴き分けられない筈がない。


自分も全国の舞台で久美子とソリを吹きたい、けれど、これまでずっと情実でなく実力で代表は選ぶべきと主張してきた麗奈がここでその考えを曲げる訳にはいかない。


何故なら、大好きな久美子に「嘘」をつくことになるから。


どんなことがあっても久美子に誠実でありたいが為に、麗奈はより良いと感じられた真由の演奏を選んだのだ。


これほど確かな愛に裏打ちされた、しかしこの上なく悲しい決断を下した麗奈は当然涙が止まらない。


麗奈同様皆の前では毅然とした態度を貫いた久美子も、ふたりきりのこの場では悔しさを隠せず泣かずにはいられなかった・・・。




過去最大レベルの改変・脚色は、それに相応しい感動をもたらしてくれた。


観たばかりの今、全てを語るには興奮し過ぎでもう少し冷静に振り返りたいし、ここでは何も記してないが真由の過去にもアニメオリジナルな設定が加えられていて、それも印象的だったので詳しく綴りたいと思うので、続きはいつものようにまた後日。


原作小説を熱心に読み込んできた自分も、今回ばかりは書き出すと長くなりそうだ。


それにしてもエンドカードはブレないなぁ。


こんな素晴らしい放送の余韻を過去最大級にぶち壊してる(笑)。