第一回の感想〈追記あり/ネタバレ要注意〉 | 川瀬有希の独り言

川瀬有希の独り言

田中好子さん、キャンディーズ、岡田有希子さんに捧げるブログ

日曜日に始まった『響け!ユーフォニアム3』の第一回放送をあれから繰り返し観ている。


興奮冷めやらぬ状態からは漸く脱したかな。

なので改めてここで振り返ってみることにする。

なお、極力ネタバレしないよう書くつもりだが、その分曖昧な記述が増えるので予めご了承を。

先々のことを知りたくない方は読まないように。



(初回オープニング「ディスコ・キッド」のノンクレジット版が京アニチャンネルにupされてる!)






まず導入部分で早速やられた。

軍曹先生と教頭との会話で出てきた「今年の1年生」という言葉の意味。

学指揮の子のスカーフが緑、ということはドラメの麗奈ではないってことですね。


あと、職員室の机の上と久美子の部屋の机の上とか・・・。

原作ほど詳細ではないが(しかも登場人物や設定を少しアレンジしてる)、ギリギリのラインで上手く表現されている。

第二期の初回以上にさり気ない演出。

父親が小言を洩らすシーンもその後の展開を考えると妙に暗示的。

それにしても久美子の寝起きの顔、あれは狙ったな(笑)。


恒例の新歓演奏が星野源の『恋』なことで作品の時制を合わせているところもいい。

下手に現在に置き換えないことで、過去作との混乱・矛盾を避けている。

細かいことだけどとても大事。


アイキャッチはクラリネットパートだったが、バックのメロディー、第2弾PVでも使用されていたが、もしかしてこれは「例の曲」のイントロ?

第一楽章の始まりはクラのゆったりとした旋律と原作にはあり、春をモチーフとしたその楽章のイメージにぴったりの音色なんですが。

断定するのはまだ早いので、これは楽しみにしておこう。


低音パートの見学に訪れた1年生の自己紹介の場面、つばめ曰くニラレバ炒めとか新興住宅とか、或いは弥生のバンダナとか、なんか突飛に映るかもしれないが、あれ全部原作の文章そのままなんだよね。

こうしてアニメ化されるとぶっ飛んだ感じがより伝わってくるものの、全然違和感ないのが素晴らしい。

それもこの作品の魅力だったりする。


エンドロールが随分早い気がしてたら、その後になって転校生・黒江真由が登場。

職員室でのパーテーションの向こうにちらりと姿が見えたり、つばめの隣が空席だったり、川原の土手から厶ーンライトセレナーデが聴こえてきたり。

じわりじわりと迫った末に、満を持してユーフォを抱えた真由の姿がそこに。

久美子の苦悩が遂に始まる。



何だか微に入り細を穿つ(は大袈裟だけど)記述を続けてしまったが、メインとなる全国大会金賞に向けて吹奏楽部が始動する一連の流れが自然体に描写されていて良かったのは言うまでもない。

久美子も段々凛々しくなってきたし。

部長という責任ある立場が一段とその変化、いや成長を加速させている。

それでもまだほんの序の口。

いろんな修羅場がこれから待ち受けている。

今回はTRUEさんのオープニング曲や北宇治カルテットのエンディング曲も流れなかったこともあり、第一回というより正直プロローグといった印象。

物語の本格スタートの前に全ての準備を整えましたという感じと言えばいいかな。

次回第二回が早くも待ち遠しい。

それまでに第一回を何度観ることやら(笑)。






追記>

繰り返し観てる中でふと気付いたことがあったので追加で。

なお、ここからは完全にネタバレになるので、原作未読でアニメでのみ楽しんでる方・先の展開をよくご存知ない方は絶対目を通さないでください(自己責任でお願いします)。







開始序盤でいきなり暗示的なシーンが続いていたのを観て、元の小説を読み終えてる方なら直ぐにピンと来ただろう。

シルエットですら出そうものなら即バレてしまうので、だから軍曹先生に置き換えたんだ、と自分なんかは感心してしまった。

特に上手いなあと思ったのは机の上のハンドクリーム。

職員室のは裏側だけど大ヒントですね。

これひとつで全てを表している。

長年の愛用品なんだな、と。



ところで、星野源の『恋』を新歓用に演奏する場面を描くことで時制を2017年に合わせていることは前に触れたが、〈後日〉の姿は原作では7年後と記されている。

そこでハッとした。

7年後って2024年、つまり今年じゃないかと。

武田綾乃さんが小説を発表した時点での7年後というのはまだ来ていない将来の、いわば空想の世界でしかなかったが、アニメ化された今、それが正にリアルタイムとなって姿を現すことになる。

何という偶然だろう。

いずれ最終回を迎えた時、全ての視聴者は(第一回のオープニングの意味も理解した上で)この作品を同時代の物語として受け止めることが出来るのだ。

しかし、現在進行の世界にファンがリンクされる瞬間が最後の最後に訪れる奇跡を、心からは喜べない。

『響け!ユーフォニアム3』は本来なら2020年、遅くとも2021年には既に完結していた筈のアニメであり、好きで完成を遅らせたわけではない。

そうならなかったのは、いやそれが出来なかったのはあの忌まわしき事件が起こった為であり、この偶然の産物は哀しい運命の巡り合わせによって生まれたものだからである。

この一点を踏まえても、『響け!ユーフォニアム』は自分にとって生涯忘れられない作品となるだろう。




追記>

星野源が第一回放送内容に関して本人にだけ許される?感想を喋っている。

これは嬉しいだろうな。