橘、立華、宇宙の音楽 | 川瀬有希の独り言

川瀬有希の独り言

田中好子さん、キャンディーズ、岡田有希子さんに捧げるブログ

本日関西マーチングコンテストが行われ、京都橘高校は金賞を受賞、全国大会への出場が決まった。


おめでとうございます。

この高校の吹奏楽部の演奏映像をたまたま観たことから僕の『響け!ユーフォニアム』好きは始まったので、大会となると今でもついつい注目してしまう。

橘をモデルにしたスピンオフ・立華高校編の、本編同様のアニメ化を以前なら望んでいたが、彼女らの演奏スタイルのアニメ描写が如何に難しいかを知るに及び、今ではもう少し落ち着いて作品を受け入れるようになっている。

座奏に於ける運指の描写でさえ困難なのに、それに加えて体全体での動きを音に合わせて正確に描くとなると、どれだけ時間と予算を費やすことになるか、素人の自分にも容易に理解されるからだ。

それは実際の映像を観れば直ぐに分かる。

例えば橘お得意のこの2曲。


最初の『WINTER GAMES』ならまだギリギリ可能かと思われるが、次の十八番ナンバー『SING,SING,SING』になると、不可能ではないものの制作に費やされる労力は途方もない。

ドリルでさえこうなのだから、こうしたパフォーマンスをしながら行進するパレードとなるともうお手上げに近い状態だろう。

では立華は活字の中だけにとどまるかというと、それ以外にも楽しみ方はある。

ひとつ紹介すると、第1巻に次のような文章がある。

〈「ちなみに立華高校の課題曲は『吹奏楽のためのマーチ』、自由曲は『宇宙の音楽』です」
  その言葉に今度は悲鳴が上がる。フィリップ・スパーク作曲の『宇宙の音楽』といえば、難易度がすさまじいことで有名だ。数年前、福岡のとある高校が全国大会でプロ顔負けの演奏を披露し話題となった。中学生だった久美子はその音源を顧問からもらい、音楽プレーヤーに入れて何度も聞いた。立華高校はマーチングの超強豪校であるが、コンクールでも強い。高難度の曲でもきっと仕上げてくるだろう。〉 (268頁より引用)

執筆時期からみて、これは2007年の精華女子で間違いない。


確かに凄い。

凄すぎる。

この圧倒的迫力。

フィクションとはいえこんな難曲を自由曲に選ぶとは、立華高校恐るべし(笑)。

なお参考までに、精華女子は再びこの曲に挑戦、その2011年の全国大会での演奏は上記2007年をも上回る完成度と評価されている。

こちらは映像もあるのでどうぞ。


こういった実際の演奏を重ねて立華を想像するのも読書の楽しみだったりする。

また、コンクールでの順番が気になる北宇治の部員らの気持ちもここからリアルに感じられるのではないだろうか(立華に限らず、こんな強豪校に自分達のすぐ前で演奏されたらたまったもんじゃないから)。

背景を知ると物語がより生き生きとしたものになるいい例だろう。

短いながらもアニメに登場する梓の姿を浮かべつつ活字の世界に親しむのも一興かと。