Cal.240の特性① | 秋色コスモの 機械式時計と趣味のブログ

秋色コスモの 機械式時計と趣味のブログ

人生漫ろ歩き 時を刻む
美しいもの、大切なもの、
ありのままに‥‥

ムーブメントの特性は、通常動かしての


パフォーマンスを云々するもの。しかし、


止めていてわかる特性もある。




愛機5039は240Qを搭載する。240系は


22Kマイクロローターで巻き上げる


パテックを代表する薄型自動巻キャリバー。


70年代のクォーツ台頭の中、技術陣の


クォーツへの移行の提言を突っ撥ね、


スターン会長(当時社長)が開発を命じた


渾身のキャリバー。バイヤーズガイド

(もちろん、地神氏の)


必要な分しか仕事をしない合理主義者


とはよく言ったもので、悪く言えば


巻き上げ効率はさほど良くない。




現在この永久カレンダームーブメントを


一時的に敢えて止めている。しかし


ゼンマイは巻かずとも毎晩愛でて寝る。


その際、保管場所からいちいち持ち出す。


ケースから取り出し、ある日ふと思った。


ケースをちょっと動かすなりすれば、


ロレックスは途端に秒針が動き出す。


パテックも315系の3998なら同様だ。


だから、ゼンマイを巻いたり、


腕にハメたりして稼働させずとも、


次にハメる際、出して気が付くと


時分針は思いの外進んでいたりする。


しかるに、この5039は


毎晩移動の動きを与えても


充分なトルクにならないせいか、


もう止めて3か月になるというのに


長針は全く変わらない位置。秒針はないし、


いちいち枕から外し裏スケからテンプの


動きを確認など、してはいない。


とにかく針はずっとこのままだ。


ゼンマイは弱いし、ローターがこれだから


ある一定量巻き上げてパワーを蓄えないと


充分な輪列機構を稼働させるまでには


至らないのだろうな。だから


常に運動を与えないと、つまり


身につけてそれなりに動かないと


タイムキープが難しいことは見て取れる。


その点ちょっとの動きで稼働する方が


付き合い易いのは事実。


240系のパテックを見ても、


もう一本欲しいとなかなか思わんのは


それが一番大きな理由だな、きっと。


人間で喩えて言うならば


ガードが固くとっつき難い気難しがり屋。




この特性からすると、


猛暑日も何も関係なく普段ハメ出来る、


ワインダーを利用して稼働し続けられる、


つまりは、それなりに短い周期で


あの額のメンテを払って苦にならない


財力と生活レベルを持っている、


という人でないと複数本所有は難しい


ということだろうな。