現代における「シルクロードの復活」を象徴するような動き。
中央アジアを経由して中国と欧州、そして中東を結ぶ「中間廊下(ミドル・コリドー)」などの
物流網の整備は、かつてのシルクロードが果たした地政学的・経済的な役割を現代の技術とインフラで再現しようとする試みのように映る。
この動きは中国が推進する広域経済圏構想「一帯一路(Belt and Road Initiative: BRI)」の極めて重要な柱の一つ。
パキスタンも、イラン・パキスタン・中国を結ぶ古代のシルクロードの南ルートに重なる
「陸上ルート」の開放を決めている。
Iran is ramping up trade with China via rail in a bid to blunt the impact of a US blockade of its ports https://t.co/XU1VcrsQPU
— Bloomberg (@business) May 8, 2026
イランは、米国による港湾封鎖の影響を和らげるため、中国との鉄道貿易を拡大している。
イラン、中国結ぶ鉄道ルートの利用拡大〜
米海上封鎖の回避狙う
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-05-08/TEPJZIKK3NYE00#gsc.tab=0
Bloomberg 2026年5月8日 at 19:08 JST
イランは、米国による港湾封鎖の影響を和らげるため、中国との鉄道貿易を拡大している。
匿名を条件にした事情に詳しい関係者によると、中国の西安からテヘランへの貨物列車は、戦争前の週1本から、4月13日の封鎖開始後は3-4日に1本へと増加した。輸送費も急騰し、40フィートコンテナ1個あたり最大7000ドル(約110万円)と通常より約40%高い水準となっている。
それでも、カザフスタンとトルクメニスタンを経由する鉄道ルートは、海上封鎖による打撃を補うには限定的だ。封鎖によりイランは石油輸出の大半と穀物輸入を阻まれ、同国の通貨リアルも下落するなど経済への圧力が強まっている。
中国はイラン産石油のほぼ全量を購入しており、この鉄道ルートは中国へのイランの依存をさらに強めることにもなる。ただ、イラン当局者は将来的に石油化学製品や燃料の輸出に鉄道を活用することを検討している。
中国とのルートはイランにとって、西側の圧力を回避するための物流網の拡充の一環と位置付けられる。イランはロシアなどとの陸上ルート整備も進めている。
イランの鉄道当局にコメントを求めたが、返答は得られていない。
Iran Turns to China Rail Link to Try to Bypass US Blockade
ユーラシア・ランドブリッジ(Eurasian Land Bridge)は、新シルクロード(New Silk Road)とも呼ばれ、貨物と旅客を鉄道の乗り継ぎでロシア極東と中国の太平洋岸の港からヨーロッパの港へ運ぶ。大陸横断鉄道と陸路橋であるこのルートは、現在はロシアを通り、時には北東西回廊と呼ばれることもあるシベリア横断鉄道と、中国からカザフスタンを通る新ユーラシア・ランドブリッジ(New Eurasian Land Bridge)または第2ユーラシア・ランドブリッジで構成されている。 2007年11月の時点で、毎年アジアからヨーロッパに出荷される6,000億ドルの商品の約1%が内陸輸送ルートによって配送されていて、2016年でもその様子は変らなかった。
シベリア横断鉄道(赤)とバイカル・アムール鉄道(緑)
ユーラシア・ランドブリッジのルートは、ロシアまたは中国を通る。
新ユーラシア・ランドブリッジ
ユーラシア・ランドブリッジの南側の、中国を通る路線である。ユーラシア・ランドブリッジとは、アジアとヨーロッパを結ぶ鉄道である。
新ユーラシア・ランドブリッジのどのルート案でもカザフスタン鉄道が果たす役割は大きい。
シルクロード(紀元前1世紀)
・ナザルバエフ大統領が2014年11月に発表した経済政策「ヌルルィ・ジョリ(明るい道)」
・「ヌルルィ・ジョリ」とシルクロード経済圏構想の枠組みの中でカザフスタンと中国との協力関係がまった。
・長年掲げる「大ユーラシア」経済圏構想を補完するものであり、上海協力機構やユーラシア経済同盟にとって非常に有益である。
・カザフスタンにとって、「一帯一路」構想を、他人事ではなく、自国の利益に結び付く重要な構想だと考えていることは間違いない。
・カザフスタンの主要なパートナーといえば、今も昔も、政治でも経済でもロシアだ。
ロシアから距離を置く国が増える中で、カザフスタンはロシアと協力関係をむしろ強化し、旧ソ連圏の協力関係を維持。
・独立当時から大統領を務めるナザルバエフは、旧ソ連国で結成した独立国家共同体(CIS)をさらに発展させた統一経済圏の創設を1990年代から掲げており「ユーラシア経済圏」提唱の第一人者だった。
・当時の構想はあくまでも旧ソ連諸国をその範囲としており、ロシアを軸とするものだった。
・カザフスタンがロシアとの関係維持を重視してきた理由は、世界最長の国境を接しており、国境付近を中心にロシア系住民が3割以上生活しているからだ。
・カザフスタン北部の工業地帯は、ロシアのウラルや沿ヴォルガといった資源産出地域や工業地域と経済的な結びつきも強い。
Alternative routes from China to Europe
(中国からヨーロッパへの代替えルート)
欧州アジア研究所(EIAS)
●中央回廊 ミドルコリドー 約7000km(10〜15日)
●北部回廊 ノーザンコリドー 約10000km(15〜20日)
●オーシャンルート 約20000km(45〜60日)
中央回廊(Middle Corridor)への日本の関与
World Trend Foresight
中東欧・南コーカサスの中央回廊の戦略的重要性と日本企業の機会
2026 年 2 月
https://www.pwc.com/jp/ja/services/consulting/intelligence/assets/pdf/world-trend-foresight-075.pdf
・中央回廊(Middle Corridor)は、中国西部から中央アジア、カスピ海、南コーカサスを経由し、トルコや欧州へ至るマルチモーダルな国際物流ルートで、正式には TITR(Trans-Caspian International Transport Route)と呼ばれている。
・このルートは、従来のロシアを経由する北部回廊を避ける形で構図されており、地政学的リスクの分
散やサプライチェーンの強化という観点から、近年大きな注目を集めている。
・2025 年 12 月に開催された「中央アジア+日本」対話・首脳会合を契機として、同地域におけるコネクティビティへの日本の関与が一層拡大する見通しがあり、日本企業にとっては調達、物流、資源、エネルギー分野において新たな事業機会が生まれることが期待される。
中央アジア+日本」対話・首脳会合の開催
(令和7年12月19日~20日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/ca_c/pageit_000001_00001.html
岸田から高市へ 棚ボタ…
「中央アジア+日本」対話・首脳会合
<「中央アジア+日本」対話・首脳会合(2025年12月開催)の経緯>
岸田政権による「首脳級」への格上げ
2004年に始まったこの対話枠組みは、長らく外相級で行われてきた。
これを「首脳級」で開催することを決断し、中央アジア諸国と調整を進めたのが岸田総理(当時)である。
2024年8月の岸田総理カザフスタン訪問計画が地震で中止
岸田総理は2024年8月にカザフスタンを訪問し、そこで初となる首脳会合を行う予定だった。
これは、ロシアや中国の影響力が強い中央アジアにおいて、日本が「第3の選択肢」として存在感を示す重要な外交イベントとして準備されていた。
地震発生で中止: 出発直前に宮崎県で地震が発生し、初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出されたため、危機管理を優先して訪問を急遽中止した。
外交方針の継承
岸田政権が目指した「経済安全保障の強化」や「中央アジアとの連結性(ミドル・コリドーなど)の支援」という路線は、その後の政権にも引き継がれ、高市政権が「中央アジア+日本」対話・首脳会合を日本で開催した。
トカエフ・カザフスタン大統領、ジャパロフ・キルギス大統領、ラフモン・タジキスタン大統領、ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領、ミルジヨーエフ・ウズベキスタン大統領の他、各国の閣僚等が参加。
「中央アジア+日本」対話・首脳会合出席国との首脳会談(1)2025年12月18日
2020年12月08日
・今回、初めてのトルコ発となる貨物列車は、日本の大成建設によって建設されたボスポラス海底トンネル「マルマライ」(2013年10月29日開業)を抜けて、トルコを横断し、バクー・トビリシ・カルス鉄道(2017年10月30日完成)でコーカサスを横断、カスピ海横断国際輸送ルート(TITR)を経て、
中央アジアから中国に抜ける、まさに歴史上の「シルクロード」をなぞったものとなる。
「地図に残る仕事」大成建設 日本企業の遺産
ボスポラス海峡〜海底トンネル
https://ja.wikipedia.org/wiki/マルマライ
赤い部分が事業区間であり、点線部分がトンネルとなる。
【大成建設】ボスポラス海峡横断鉄道トンネル~海底をわたる風~
<2013年 制作作品>このプロジェクトは、トルコ、イスタンブールを東西に分断する約1.5kmのボスポラス海峡に、陸上部を含んだ全長13.6kmの鉄道トンネルを構築し、その区間内に4駅を設けるもので、当社はトルコ企業2社(ガマ社、ヌロール社)と共同企業体を組成し、2004年8月から工事に着手しました。 海底トンネル部分では、複雑で速い潮流のボスポラス海峡での沈埋工法による世界最大水深部(海面下60m)での沈設を成功させ、陸上トンネル部分では、遺跡の多いイスタンブール市街をシールド工法・NATM工法などを併用しながら工事を進めました。 また、世界初となる海底下での異種トンネルの接続(シールドトンネルと沈埋トンネル)を成功させるなど、トンネル施工技術の粋を集めて完成。トルコ国民の夢の実現のみならず世界にその高い技術力をアピールしました。









