「新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て> 」講談社
発売日 : 2025/6/19 橋本 健二 (著)
三谷:先生が『新しい階級社会』って本出されたのを読んで、
その中でなんか「アンダークラス」っていう言葉が出てくるじゃないですか。(中略)
僕ですね。22歳から大学を一応、卒業したんですけれども。
派遣社員として、テレビ政作現場に派遣されたんです。
そういう人に関してで言うと、 一応、専門職じゃないからアンダークラスになりますね?
橋本教授:ディレクターだったら専門職だからアンダークラスに入らないです。
三谷:ADです。
橋本教授:ただ助手だったりするとアンダークラスかもしれないですね。
三谷:あの本を読みながら、自分は当時、無自覚に「アンダークラスだったんだな」と思って。 なんかちょっとキュンとしました。心の中が。
ジョン・ロールズは言うんですけどね。
人々にとって絶対必要な不可欠なものということをですね、
「社会的基本材」っていう風に言うんですけども。
この中で最も重要なものは「セルフリスペクト」だ。
「自尊だ」と言うんです。
「自尊」というのは全ての人々に平等に保証されなければならない。
ところが、アンダークラスは単純作業ばかりやらされてる。つまらない労働をさせられている。
それで賃金は安いし、人から尊敬もされない、という状態にあるわけだから、早急に改善しなければいけないのは、アンダークラスの境遇なんですね。
アンダークラス最貧困増やす高市政権/最低賃金引き上げ取り止め超格差社会へ/社会学者 橋本健二2026/06/26
34:48〜
迫りくる「高齢者過労死社会」の現実
まず第 1に石破さんはですね、「30年までに、最低賃金を全国平均で1500 円まで引き上げる」という風に宣言をしました。
で、実際に最低賃金を大幅に引き上げました。
ところが高市さんはですね、国会でこの点について質問されて、
「何年までいくらということは申し上げられない」という答弁して、事実上、この石破さんの路線を撤開しました。
だから最低賃はこれから上がらなくなると思います。
従って、格差は縮小しません。
それからもう1つはですね、重要なのが、これは多くの人にすごく影響力があるので、すごく重要だと思うんですけれども。
維新と自民の間の政策合意書の中にですね、「現役世代の社会保障費負担が大きすぎる。社会保障支出が多すぎる」これを何とかしなければならないということが書かれました。
ということは、どういうことかというと、さっき「手取りは増やす」ということにも関係しますけども。「現役世代の社会保障費負担が大きすぎる」ということは、「社会保険料を下げる」ということですね。「人から集める社会保険料を少なくする」ということですね。
ということは、年金として支出できる金額が減ります。
「社会保障支出を減らす」わけですね。
ということは、「所得再分配が行われなくなるので格差は拡大」します。
特に高齢者の間の格差が拡大します。
で、もう1つ、これ、ものすごく大きな問題で、あまりマスコミなんか取り上げないのは不思議なんですけれども。
その自民党と維新の合意書の中に、「高齢者の定義を見直す」項目が入ってます。
これ極めて重要な項目で。「高齢者は、今65歳以上」ですね。
だから65歳 以上になると年金もらえるんです。
「高齢者の定義を見直す」ということは具体的には、これは要するに、「高齢者が70歳以上にする」ってことです。
ということは、70歳になるまで年金がもらえません。
従って、70歳まで働かなきゃいけなくなる。
65歳過ぎてですね、必ず「働け」ていうのは、これはもう高齢者に対するものすごく大変なことで。
おそらくそうなればですね、もうすでに体が弱ってる人が多いわけだから、「高齢者の過労死が続出する」んじゃないですかね。
ものすごく重要なことですよ。
Q:高齢者の過労死って未来があり得るんですかね?
十分あり得ます。 いや、今でもありますけどね。これが飛躍的に増えるんじゃないでしょうかね。
65歳以と70歳以上ではですね、高齢者の健康状態が全部違いますからね。
しかも、要するに、全ての人に関わる問題なので。
要するに、若者は 20歳から70歳なので50 年間働かなきゃいけないってことですよ。
とんでもな話ですよね。
報道統制と野党リベラルの衰退
Q:なんで「最低賃金1500 円まで全国一日上がりますよ」って、結構いい法案が先延ばしなったことって、あんまり文句出てないんですか?
マスコミははっきり言って、高市さんに対して迎合しがちですね。
高市さんはですね、総務大臣だった頃に、「民間放送の免許取り消し」ということを口しましたね。
「偏った報道があったら免許取り消す」と言って、野党とかが「その発言を撤回しろ」と。
「発言撤開しろ」と、何度も何度も言いましたけど、最終的に取り消しませんでした 。
撤開しませんでした。
で、その人が今、首相になってるわけですから。
自民党を批判する民間放送はいつもですね、免許取り消しの危険がある。
だから政府を批判 できない状態なんですね。
で、私、この間、民法の放送に何回か出ましたけれども。
現場がものすごくピリピリしてます。
で、私はですね、「よく政府の批判する人だ」ってこと分かっているので。
発言内容とか、発言の範囲についても、事前に何度も何度も確認されました。
「事実上、報道統制が起こっている」という風に考えた方がいいですね。
それと、もう1 つ大きいのはですね、立憲民主党の中の労働組合と関係のあるような議員がですね、大部分、落選しましたね。
つまり、立憲民主党の中のですね、労働問題とか貧困に詳しい政治家がですね、大部分落選してしまった。
だから、国会の質問なんかでもですね、そういう問題を取り上げられることは 少ないですし、そもそも議員の数少なくなったってこともあってですね、 野党の議員がこうした各貧困の問題に対して発言することが、マスコミに取り上げられるというような機会も大幅に 減りましたね。
Q:立憲民主は議席を大きく減らした要因っていうのは、公明党と組んだからってことなんですか?
公明党と組んだからということ、それ自体が悪かったわけではないと思うんですよね。
何が悪かったか?
公明党の路線に迎合して、公明党の路線に合わせたからですね。立憲民主党が。
公明党はですね、本当は今まで ずっとですね、自民党と連立政権を組んで、自民党の格差を拡大させるような方針とかですね、軍備拡張、日本が戦争に参加できるようにするような政策とか、そういうものに、ずっと賛成してきたんです。
「もうこれ以上手を貸せない」ということで、連立離脱したわけだから、本来、公明党はですね、「今まで私たちは間違っていました。これまで自民党に力を貸してきた、手を貸してきたのは間違っていました。 これからは格差を縮小して貧困を解消するような政策を実現するために頑張ります」って言うべきだったんです。
ところそれを言わなかったの。
そして、立憲民主党の方を自分たちに合わせさせたんです。
で、そのためにですね、元々のリベラル派って言うんでしょうか、日本人の中で1 番多いグループであるリベラル派の指示を失ったわけですよね。
で、しかもその上に、創価学会に乗っられたという風なですね、イメージを持った人も少なくなかったと思います。
当然これらの人々は、中道改革連合を支持しないわけですね。
Q:ああ、ということは、自滅したっていうか?
自滅したということだと思います。
それに、まあ、もう1 つ致命的だったのは、中道改革連合の中心的なリーダー、指導層、爺さんばっかりですよね。
「 5G 」とかって言われてましたけども。あまりにも人間的魅力なさすぎる。
情報発信力もなさすぎる。
どうして 女性のリーダーは投用しなかったんですかね。
Q:ああ、そうか。高市さんと対抗するんだったら普通に女性だろうと?
そうです。そうですよ。
だから「右翼女対リベラル女」っていうね、そういう対立図式を作り上げるべきでしたね。
それが全然できませんでしたね。ダメですよ、あれじゃあね。
Q:確かにね、投票したいとはなんかもう印象的に思わないかも。
全然だめですよ。
過疎と貧困の能登から東大へ
Q:先生がなんでその研究を長年やってるかってこともちょっと聞きたいんですけど、出身地とどこなんですか?
生まれたのは、石川県の能登半島の一番先の方の珠洲市っていうところで。
ものすごい貧乏な場所。
こないだ地震で、もすごく大きな被害を受けたところです。
私の家も半壊しまして、親父と兄貴夫婦が住んでたんですけども、加賀地方の方に避難して、ついこないだ家を取り壊して、なんとか新築で家が再建されたとこです。
そういう地域ですけども、ものすごく貧乏の地域なんですよ。
お金持ちと言うとですね、会社の経営者も多少いますけども、公務員が1 番豊かな部類に入るようなそんな場所です。
そんなとこに企業を置きませんよ。大学出た人材もいないしマーケットもないし。
一緒に仕事をするような協力し合うような企業もないし。大学を出た若者が勤務めるような企業はどこにもないです。
親は公務員だったんですよ。学校教員ですよ。
母親はね家具店やってたので。(中略)
収入は低いですけどね。民間企業の大企業のサラリーマンとは違うから。
父親は今で言ったら大卒ですけども、旧制の学校出てたから高等師範学校っていうところ出てたんで、一応、大学レベルなんですけども、大卒者としては最も給料に低い部類ですよね、地方公務員はね。
(中略)
まず、小学校、中学校の時には周りに貧困家庭の子供たちはたくさんいてですよ。たくさんいるわけです。で、うちですら金持ちと見なされるようなですね、 そういう貧困の多い地域。
この世の中には貧乏な人がいるっていうことはよく知ってた。
勉強がそこそこできたのに、家が貧乏だから高校も入れなかったって人もいましたからね。
「この世の中に貧乏人がいる」ってことよく知ってたんです。
それでですね、高校入る時に地元の学校じゃなくて、金沢の高等学校に行ったんです。
進学校です。そうするとね、そこはね、お金持ちのお嬢さんお坊ちゃんばっかりなんですよ。
この世の中に貧乏人はいるなんてこと全く知らない。 そんな連中ばっかりなんです。
その落差に、ちょっと驚きましてね。
だからこの世の中にはこんなにも格差があるのかと思ってですね。
経済状態から行ったら、中の下ぐらいでしょうね。 1 番の上の方に会社の社長の子供とか、お医者さんの子供とかいますよね。少なくとも農家の子供とか工場の公員の子供とかっていうのは、おそらくなかったと思います。
当時、この世の中の格差っていうのに関心が出て、この世の中を変えなきゃいけないと思うようになりましたね。
今からね、もう50 年前の話ですから。50年前で社会を変えるって言ったら、それは社会主義革命ですよ。共産党の路線ですよ。それはね。資本主義を打ち破って社会主義社会しなければいけないと、当然本気に考えてました。
一応それが事実上なんて言うんですかね。
見方によるんですけども、 社会主義は一党独裁でした。「政治的独裁」ですよね。
ところが、じゃあ資本主義の国はどうなのか?と言ったら、一部の大企業の財界の大企業の経営者たちが事実上国を支配してる経済独裁だと言えないこともない。
例えば、アメリカなんてのはGAFAと言われるような巨大企業の経営者たちによる「経済独裁」の国だと言えないこともない。
そういう意味ではあまり変わらないです。
ただし「経済独裁」というのは自由競争の中でのし上がってきた人々が権力を持ってるわけですね。
だから自分の力でなったって部分があって、競争で勝ったからなったっていう。
「政治独裁」っていうのは、どう考えても上から押し付けられる独裁なので、人々の反発を食いやすいってことありますけどね。
しかし、「ごく一握りの人々が国を支配してる」という意味で言ったら、社会主義も資本主義もあまり変わらないと思いますけどね。
