記事引用だけの「取材に基づかない」記事でしたので、引用元の米記事でインタビューされているキップ・シェルーテスさん(総理の米国時代元同僚)に直接「取材」したところ、「She was technically a Congressional Fellow」(彼女は正確に言えばコングレショナル・フェロー)とのことでした(続く) https://t.co/SeSQDshPTY
— 内閣広報官(色々投稿試し中) (@PressSec_JP) June 29, 2026
加えて、1988年7月のパトリシア・シュローダー下院議員(当時)のレターでも明らかですので、当時使用していた名刺も添付した写真を共有させていただきます。 pic.twitter.com/xQ8xuPxhBI
— 内閣広報官(色々投稿試し中) (@PressSec_JP) June 29, 2026
やぎさんゆうびん【童謡・唱歌・NHKおかあさんといっしょソング】
内閣広報官がXでご紹介くださったお手紙の主、
Kip Cheroutes氏は、University of Denverのプログラムマネージャーとして、2005〜2019年頃に日本の文部科学省から資金提供を受けた英語教師研修プログラムを長年運営・管理しておられました。
長年続いたこのプログラムはコロナのパンデミックの影響でで終了したとのこと。
Kip Cheroutes氏は日本政府の事業(英語教育海外派遣研修/主催:独立行政法人教員研修センター)における利害関係者でもあり、日本との親しい交流関係があるのですね。
Kip氏が、NYTやWestword(コロラド州デンバーの独立系メディア)などの米メディアに、「intern in his Denver office」時代の高市を非常に好意的に語った以前の発言を修正・補足する形で、内閣広報室への直接回答で「She was technically a Congressional Fellow」と答えたという経緯です。
◇
まず整理し明確にしておかなければならないのは、言葉の定義だろう。
Fellowshipとは? Fellowとは? Congressional Fellowとは?
1Fellowship(フェローシップ)= 「資金・制度」
定義: 学術研究や専門的な研修を行う人に対して支給される「返済義務のない研究奨学金・活動資
金」、またはその制度そのものを指す。
実態: 高市氏の場合、松下政経塾から「海外研修資金(月2000ドル)」というFellowship(フェ
ローシップ)を得ていた。
2 Fellow(フェロー)= 「人(立場)」
定義: 特定の専門分野で調査・研究を行う「研究員」や「特別研修生」のこと。
アメリカにおけるニュアンス: アメリカの組織(議会やシンクタンク)では、以下のように
明確な使い分けがある。
Intern:主に「現役の大学生・大学院生」が行う、短期の実務研修。
Fellow:すでに「大学を卒業した社会人」が、外部資金(Fellowship)を持って行う、より専門性
の高い調査・研究活動。
実態: 高市氏は当時すでに大卒の社会人(松下政経塾生)であり、外部資金を持っていたため、
受け入れ先のシュローダー事務所のスタッフは、InternではなくFellow(フェロー)とい
うカテゴリーの人として容認していた。
3. Congressional Fellow(コングレッショナル・フェロー)= 「二つの意味の交錯」
ここが一番の混乱の元。この言葉には「一般名詞」としての意味と、「特定のブランド名(固有名詞的)」としての意味の2つが存在する。
【意味 A】一般名詞としての意味(広義)
定義: 字面通り「連邦議会(Congressional)の事務所で活動する、外部資金付きの社会人研修生(Fellow)」。
高市氏の立場: これに該当する。シュローダー事務所の容認のもと、この「一般名詞」としての通称
を使っていた。
【意味 B】特定の公的プログラムのブランド名(狭義)
定義: アメリカ政治学会(APSA)などが主催する、全米から選りすぐられた博士号保持者やエリー
トだけが参加できる「超難関の公的選抜プログラムの名称」。ワシントンの政治の世界で単に
「Congressional Fellow」と言えば、【意味A】ではなく【意味B】を指す。
高市氏の立場: これには該当しない(APSAの選考は受けていないため)。
💡 なぜ「経歴詐称」という疑惑(論争)になったのか?
言葉の定義を上記のように整理すると、論争の構造は極めてシンプルになる。
高市氏側の主張(一般名詞の論理)は 「私は大卒の社会人として、日本の資金(Fellowship)で、議会(Congressional)の事務所で研修生(Fellow)として働いていた。実態は100%その通りだから、Congressional Fellowと表記して何の問題もない」
批判側の主張(ブランド名の論理)は「ワシントンで『Congressional Fellow』と言えば、APSAなどの公的エリートプログラムを指すのが常識だ。一般の有権者はその区別がつかないのだから、あたかもその超難関プログラムに選ばれたかのように履歴書に書くのは、言葉の定義を悪用した『誇大広告(詐称)』である」
このように、高市氏は「実態(一般名詞としてのフェロー)」を根拠に語り、批判側は「格式・ブランド(公的選抜プログラムとしてのフェロー)」を根拠に責めているため、言葉の定義をあらかじめ明確に共有しておかないと、議論が永久に噛み合わない構造になっていたのである。
◇
高市の場合は、1987年9月〜1989年2月、松下政経塾の海外研修(fellowship)の資金を受け、同塾の「Intern on fellowship(資金援助付きインターン)」として渡米し、パトリシア・シュローダー下院議員の事務所で勤務していた。立場としては、松下政経塾という社会人研修機関からの派遣(資金援助付きインターン)というのが正確だろう。
ただし、当時、シュローダー議員の事務所内や現地の活動において、他の学生インターンとは違いすでに大学は卒業し松下政経塾生という一定の社会人研修生としての立場から、単なる学生インターンとは異なることから、「研修生(フェロー)」として、その肩書で活動することを事務所側が容認していたとされている。
ただし、短期・非正規スタッフを広く「intern」と呼び、高市の場合はシュローダー議員事務所の予算から給与が出る「正規スタッフ(職員)」ではないため、事務所の籍としては「外部資金付きのインターン(研修生)」で、このような教育・研修を名目とした受け入れ枠であることからKip氏が「intern」と呼ぶこともまた自然である。
重要なのは、高市の立場は、「正規の競争的 Congressional Fellow」プログラム(APSA(アメリカ政治学会)等が主催する)とは異なるということだ。
「正規のCongressional Fellow」は、博士号保持者や現役のジャーナリスト、官僚等を対象とした厳格な選考によるプログラムで政策立案・法案作成に携わる。
高市氏の場合は、この公的なプログラムに直接選抜されて派遣されたわけではない。
高市の立場とは明らかに異なり、高市は「正規のCongressional Fellow」ではない。
◇
2016年4月22日、当時総務大臣だった高市は、上出義樹記者(元北海道新聞記者・編集委員・シンガポール駐在員)の質問に答えて、次のように述べている。
アメリカの議会にCRSというのがございます。コングレッショナル・リサーチ・サービス。ここがコングレ ッショナル・フェローというのはこういう仕事ですよと、それから、インターンというのは、また分けてこういうことをやる人 たちですよということで、議会の中のいろんな人について、こういう肩書きの人はこういう仕事ですし、こういう基準で選ばれ ますということが書かれた資料も、アメリカからくださいました。
「CRS Report for Congress(連邦議会調査局(CRS)議会向け報告書)〜2000年3月8日更新」
https://www.everycrsreport.com/files/20000308_98-654_da9086dfad5e7dcb4a9bc965943895f4794b3336.pdf
Although the terms “fellowship” and “internship” are sometimes used interchangeably in the names of specific programs, this report differentiates between fellowship and internship work experiences in the federal government.
Fellowships generally are intended for persons with *advanced degrees or substantial professional experience, and are usually salaried positions lasting 9 months to a year or more.
Internships, which are either salaried or volunteer short-term arrangements, usually
require relatively little experience and are often filled by students.
特定のプログラム名において「フェローシップ」と「インターンシップ」という用語が混用されることもありますが、本報告書では、連邦政府における就業体験としてのフェローシップとインターンシップを区別しています。
フェローシップは一般的に、高級学位や相当な実務経験を持つ人々を対象としており、通常は給与が支払われ、期間は9ヶ月から1年、あるいはそれ以上に及びます。
一方、インターンシップは、有給またはボランティアによる短期的な就業形態であり、通常、求められる経験は比較的少なく、学生が参加するケースが多く見られます。
*advanced degrees:上級学位とは、学士号(=BA、BS など)よりも上位の大学の学位を指す。
例えば、修士号(= MA、MBA など)や Ph.D. など。
◇
CRS(連邦議会調査局)に記されている「フェローシップ」と「インターンシップ」の定義は、連邦議会(Congress)、「連邦政府(Federal Agencies)、「司法府(Judiciary)、大統領府(Executive Office)という
「国家機関における狭義の定義」です。
世の中には、大学が独自の基準で学生に出すフェローシップや、日本の「松下政経塾」ような民間団体が独自の基準で出すフェローシップなど、無数の「フェローシップ」が存在しますが、それらの民間発のプログラムは、このCRS報告書が扱っている「連邦議会や連邦政府における公式なフェローシップ」のラインナップには、当然ながら入っていません。
アメリカ議会の文脈における「Congressional Fellow」は、CRSの資料にある通り、「博士号などの高度な学位を持ち、公的な選考(APSA等)を経て、プロとしての生活給(Salary並みの資金)を支給されている人」という、非常に狭く、格式高い条件を満たした人にのみ与えられる称号なので、当時の高市の学歴・職歴なし(松下政経塾の在籍生)という経歴ではエントリーに立つこともできません。
ましてや「Congressional Fellow」を日本語に訳す際に、「米連邦議会立法調査官」という存在すらしないトンデモ日本訳を編み出して名乗るとは!
「〜〜官」というのは国家公務員です。
仮に正規の「Congressional Fellow」であっても、日本語に訳す際に「米連邦議会立法調査官」と訳すことは間違いです。
高市は、「米連邦議会立法調査官」という名称は、「桃井真(2006年没)と緒方彰(2008年没)が相談して決めてくれた」と主張しています。
高市という政治家が、自らの経歴を「米連邦議会立法調査官」と記し名乗ったのであり、すでに反論も検証もできない物故者の国際政治と報道の大家を防壁に使い責任転嫁することは、政治家として説明責任を果たしたことにはなりません。
【2016.4.22】高市総務大臣記者会見
鳥越俊太郎氏からの指摘への申し入れ
- 問:(フリーの上出義樹 記者)
- ほかに、論点の違いはいろいろあるのですが、これは長くなるので、ほかの方の質問があるでしょうから、この件に関しては これで。
もう1点、質問させてください。高市大臣の個人的なことなのですが、ブログなどで説明しております。私の記憶ですと、鳥越 俊太郎さんが、前に集会の時に言われて、経歴詐称があるという、いわゆるコングレッショナル・フェローという、この訳に関 してなのですが、ブログでも説明しているのですが、事実誤認であると言っておられます。その根拠と、それから、どのような 申し入れを、一部報道では、言った方に申し入れをしていると言っているので、どのような申し入れをして、それは今どうなっ ているのか、御自身の見解を、国民の方にも分かるように説明してください。- 答:
- 鳥越俊太郎さんが放送法に関する記者会見の最後に、私に関してコングレッショナル・フェローだと言っているけれども、実 際には無給のインターンと同様で、やっていた仕事が、お茶くみやコピー取りと言っておられたと思うのですけれども、経歴詐 称だといったことをおっしゃったということを知りました。それで、弁護士を通じまして、鳥越さんのところに配達証明で、私 自身の経歴を証明する書類を送りました。
具体的には、当時、私がいたアメリカ連邦議会のパトリシア・シュローダー事務所で、広報官という立場で仕事をしていた男 性が、私がしていた仕事の内容、まず肩書き、コングレッショナル・フェローという肩書きであるということ、そして、仕事の 内容についても、議員が、日本以上に多く議員立法をしますから、議員立法をしたり、自らのスピーチを行う時に、必要な、様 々な調査を行う仕事であるということで、主に貿易関係であったり、住宅を買う場合の金利、モーゲージレートのことであった り、それから、環太平洋の貿易の分析、主に農産物でございます、それから、ディフェンス・バーデン・シェアリング、つまり 、同盟国との安全保障に係る負担というもの、スモール・ビジネス、こういった様々な事柄について、調査をするのが彼女の仕 事であったということ、そして、それがインターンとは明確に違うものであるといったことを書かれた書類と、当時、私が帰国 する前に、日本に帰って就職活動をしなければいけないということで、パトリシア・シュローダー議員御自身が書いてくださっ た、私がやっていた仕事の内容の紙が残っていましたので、いずれも御本人が作られたサイン入りのものでございます。
それとともに、アメリカの議会にCRSというのがございます。コングレッショナル・リサーチ・サービス。ここがコングレ ッショナル・フェローというのはこういう仕事ですよと、それから、インターンというのは、また分けてこういうことをやる人 たちですよということで、議会の中のいろんな人について、こういう肩書きの人はこういう仕事ですし、こういう基準で選ばれ ますということが書かれた資料も、アメリカからくださいました。
また、私宛ての送金記録というものも、これも苦労して探していただきました。これは松下政経塾の方で、コングレッショナ ル・フェローは、要は、ちゃんとした経済的なバックグラウンド、研究費が出る研究機関からの派遣でなければならないもので すから、ひと月2000ドルでございますけれども、研究費としての送金をしましたという、当時の送金記録も含めて探してい ただきましたので、それらの書類もそろえた上で、発言を訂正していただきたい旨、申し入れの文書を出させていただきました 。
- 問:
- ちょっと補足でよろしいでしょうか。要するに、無給ではなくて、2000ドルの研究費が出ているということは、大きな違 いだということでございますね。無給というのと。
- 答:
- お茶をくむというのもとても大切な仕事だと思うのですが、アメリカでは普通、みんなコーヒーを飲みたくなったら、自分で コーヒーサーバーのところに行きますので、そういった仕事が存在していないということですね。
それから、無給のインターンだったということについては、インターンとコングレッショナル・フェローは明確に違いますの で、それは議会の方で出しているコングレッショナル・リサーチ・サービスの書類がございます。当時、コングレッショナル・ フェローであったということも証明する文書等がございます。これらの書類をそろえて出させていただいたということです。そ こが一番大きな違いであり、私自身のホームページにもアップしておりますけれども、コングレッショナル・フェローという肩 書きについて、そしてまた、職務の内容について、これが違うということではないということを、証明するものをそろえてお出 しさせていただきました。
- 問:
- 専門家ではないのですが、コングレッショナル・フェローというのを立法調査官と訳して、これはちょっと違和感があるかな という感じがしたと思うので、これは使われていないということですか。
- 答:
- これは、私自身が最初に著作を出そうとしたときに、コングレッショナル・フェローという肩書きで出させていただきました ところ、出版社の編集部から、コングレッショナル・フェローということでは日本人には分からないので、何か訳したものをく ださいと言われました。私自身は、日本にそういう仕事がないものですから、コングレッショナル・フェローということしか分 からないのだと言いまして、でも、考えてくださいということでございましたので、当時、松下政経塾の理事でもいらっしゃい ました桃井真先生が防衛研究所にいらっしゃいまして、英語も御堪能でいらしたので、どうしましょうということを聞きました 。
それから、もう1人は、NHK解説委員長をされた緒方彰先生が、私がワシントンDCにいた頃に、議会の事務所にも来て、 私の仕事ぶりもよく見られて、当時、スタッフと意見交換をして、議会の中をいろいろ視察して帰られました。一番長くスタッフとの意見交換をされた方でしたので、桃井真先生が緒方彰先生と相談した上で、やっていた仕事の内容だと、意訳になると思 いますが、こういう形だろうということで出版社にお伝えされたと聞いています。
- 問:
- 最後ですが、すみません、長くなりました。結局、もし御本人の名誉を毀損されているようなことであれば、法的な措置もとれるわけですけれども、そこまではお考えになっていないようなニュアンスでブログを読ませていただいたのですが、どういう ことを求められているのですか。
- 答:
- ジャーナリストの方々がおられた会見ですが、私はその会見の文字起こししか見ていませんが、おそらく、たくさんの記者の 方がその場におられたのではないかと思います。それが動画でアップされたり、その後も鳥越さんが、ほかのネットメディアの インタビューに答えられたりしているということで、ネット上で拡散してしまいます。しかしながら、表現の自由というものが ございますから、私の方から削除してくれということはできませんので、削除要求というのは、鳥越さんが削除要求に応じてく ださいということを言ってくださらなければ、どんどん広がっていく話でございますから、事実関係を証明する書類と発言に対する抗議の内容と、これを撤回していただけたらということで、文書を送ってあります。
- 問:
- 相手からの対応はございますか。
- 答:
- 弁護士さん、またこれも鳥越さんの弁護士さんの方からでございましたけれども、長い文書ですけれども、撤回・修正するのもやぶさかではございませんといった文書は頂戴しましたから、今は、震災対応であったり、補選の最中でもありますので、こ れで何か事を荒立てるということも適切なことではないと思いましたから、ネットの削除要求ですとか、そういったことに真摯 にお応えいただけるとありがたいと思います。
The Japanese government has posted proof that PM Takaichi worked as a Congressional Fellow in the 1980s.
— Jeffrey J. Hall 🇯🇵🇺🇸 (@mrjeffu) June 30, 2026
The staffer who referred to her as an "intern" has said "she was technically a Congressional Fellow."
Many non-native English speakers are interpreting this in what I would… https://t.co/Rw8TUhaZs1 pic.twitter.com/F63qB4gFgV
「She was technically a Congressional Fellow」は、「彼女は形の上ではCongressional Fellowと言えなくもないが(実際は。。。)」という意味になります(She was technically a XXX, but in reality, she was a YYY、という用法で、厳密な定義を避ける目的でも使われますhttps://t.co/uZMI3GGAbz https://t.co/6GLLRpWOfG
— Prof. Keiko Torii (@KeikoUTorii) June 30, 2026
記事のプレゼントありがとうございます。高市総理が米国で「インターン」だったと書いているNew York Timesの記事。 https://t.co/RbKAhCNPdi pic.twitter.com/PDsWi0QWc1
— maku (@maku94483) June 24, 2026
Which fellowship? Her letter only confirms that Takaichi was an intern. https://t.co/5jP3HeOijC
— K Anderson (Mrs)🔶🇬🇧🌈😿 Слава Україні🇺🇦☮️ (@nekobabaa) June 30, 2026
「トマト」と言われても、「何のこと?」
ルイス・X・(キップ)・シェルーツ
公開日:2018年12月20日
言語の歴史は、常に興味深い言語的難問から始まります。もし音声言語よりも先に手話が存在していたと仮定するなら、言葉による説明なしに、どうやって正確な意味を伝えていたのでしょうか?それは間違いなく、試行錯誤の連続だったはずです。
日本も今、同様の課題に直面しています。文部科学省は今年初め、英語教育に関する新しい学習指導要領を発表しました。2020年度以降に本格実施されるこの制度に向け、2019年は授業内容、教材、そして教員育成に関する実施計画を策定する年となります。
中等教育(中学校・高校)の段階では、より「アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)」や語彙力の強化が重視されます。また、大学入試においても、筆記能力に加え、初めて「会話能力」が評価対象に含まれることになります。
しかし、最も大きな変化が訪れるのは小学校です。これまでは、英語を話せない(残念ながら)巡回指導の先生が、週に一度、45分間の授業を行う程度でした。しかし新しい指導要領では、英語が最大90分間の正式な授業として組み込まれることになります。
私の予測ですか?「苦難の道」になるでしょう。
なぜこのような変更が行われるのでしょうか?英誌『エコノミスト』の特集号「World in 2019(2019年の世界)」では、日本が2020年のオリンピックやその他の国際的なスポーツイベントに向けて、英語を話す観光客の波に備えていることが指摘されています。しかしそれ以上に、英語圏の世界で生きていき、ビジネスを行うための準備を次世代に施すことが、日本の変わらぬ目標なのです。私たちにとっては幸いなことです。
では、政府はこの迫りくる「大惨事(列車事故のような破綻)」をどう回避すべきでしょうか?2つの考えがあります。第一に、文部科学省は、将来の小学校英語教師が、有意義な授業計画を組み立てられるだけの「話す・聞く」能力を身につけられるよう支援する必要があります。単語を繰り返しつなぎ合わせて文を作る「理解可能なインプット(Comprehensible Input)」といった理論の応用や適応、さらには適切な教育・学習用ソフトウェアの活用が助けとなるでしょう。デンバー大学は14年にわたり、文部科学省の助成を受けて、中等教育(中学・高校)の英語教員を対象とした専門能力開発プログラムを成功させてきました。言語や異文化の壁といった課題に対し戦略的な変更を加えれば、同大学などは小学校教員向けのプログラムも実施できるでしょう。困難な挑戦でしょうか?確かにそうです。しかし、不可能ではありません。
第二のアプローチとして、外務省の関与が挙げられます。同省は長年にわたり、JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)に資金を拠出してきました。このプログラムは、英語を母語とする若者を募集・配置し、日本各地の学校で外国語指導助手(ALT)として勤務させるものです。もちろん、個々のケースにおける成功は、校長の意欲、教員の適応力、そしてALTの成熟度にかかっています。JETプログラムへの予算を増額し、より幅広い年齢層の参加を認めれば、この取り組みのさらなる推進につながるはずです。
文部科学省がこの大きな一歩を踏み出したことは称賛に値します。若い世代の目をより広い世界に向けさせることは、社会的、経済的、そして地政学的な面で大きな成果をもたらすでしょう。もちろん、その過程ではいくつかのつまずきもあるはずです。それでも、何よりも送るべき言葉は、日本語の「頑張れ(Gambate!)」という励ましに尽きます。
英語教育:日本における成功の物語
ルイス・X・(キップ)・チェルーツ
公開日:2024年10月28日
2005年から2019年にかけて、日本の43都道府県から173名の学校教員がデンバー大学を訪れ、新しい英語教授法を学びました。新型コロナウイルスの流行によりこのプログラムは終了し、その決定は日本側によって正式に確認されました。
文部科学省(MEXT)の助成を受けてこのプログラムを立ち上げたことは、私にとって大きな喜びでした。毎年、カリキュラムの運営、指導法の専門的な提供、そしてホームステイの手配を行うことは、素晴らしい体験でした。
参加した教員のうち25名が、後に教育現場のリーダーとなりました。彼らは学んだことを周囲と共有し、各期の参加者同士で独自のサポートグループを形成しました。この経験は、彼らの人生を変えるものとなりました。
多くの方々に感謝を申し上げます。故ジェームズ・テラダ博士は、共同創設者であり、良き助言者でした。国会議員の方々からもご支援をいただきました。7名のESL(英語を母国語としない人向けの英語教育)インストラクターは、英語習得理論の応用について、刺激的で有意義な学びを提供してくれました。即興劇団「チキン・リップス(Chicken Lips)」は、笑いと学びの場を盛り上げてくれました。デンバー大学は活動の拠点となり、57組のホームステイ・ファミリーは参加者の生活を豊かなものにしてくれました。
どれだけの生徒が恩恵を受けたかを数値化するのは困難です。しかし、デンバーでの経験がきっかけとなり、新しい英語の教授法や学習法が効果を上げたことを示す証拠がありました。その最たる例が、文部科学省による毎年の教員評価です。この評価において、本プログラムは世界最高と評されました。
次はどうするのでしょうか?残念ながら、教員によるフォーカスグループの報告によると、英語教育の現場は以前より困難な状況にあるようです。生徒たちには英語を学ぶ意欲が見られません。なぜでしょうか?日本の若者たちは、自分たちの将来に希望を見出せていないのです。それは問題であると同時に、チャンスでもあります。
次回の記事では、英語学習とキャリア意識の醸成を組み合わせた、新しいアプローチを提案する予定です。
今はただ、「ありがとう」と伝え、この15年にわたる共同の取り組みが素晴らしい成果を上げたことを称えたいと思います。
英語教育海外派遣研修 (主催:独立行政法人教員研修センター)https://www.nits.go.jp/cms/files/training/002/009/youkou_20191220_001.pdf
独立行政法人教員研修センターが実施する英語教育海外派遣研修
https://www.denver.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/topics2016072803.html
独立行政法人教員研修センター(所管:文科省)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%95%99%E8%81%B7%E5%93%A1%E6%94%AF%E6%8F%B4%E6%A9%9F%E6%A7%8B

