「ガザ人道財団」 Gaza Humanitarian Foundation (GHF)とは?
「ガザ人道財団」GHFはイスラエル政府と米国政府の支援をうけて2025年2月に民間人道支援団体として設立された。ジュネーブに本部を置く非政府組織として活動している。
「GHFは、人道的原則に反している」Jake Wood 離脱
GHFの発足時は、人道活動家のJake Wood(元米海兵隊員)が executive director 執行役員に就任し、ガザでの援助配布を主導したが、わずか数週間後の5月25日に辞任した。
Jake Woodは、ハイチ地震発生時に救助支援のために非営利団体「Team Rubicon」立ち上げ、300以上の自然災害対応に従事してきたスペシャリストだ。
そのJake WoodがなぜGHFを辞任したのか?
Jake Woodが辞任の際に出した声明は、次のとおりーーー
“I am proud of the work I oversaw, including developing a pragmatic plan that could feed hungry people, address security concerns about diversion, and complement the work of longstanding NGOs in Gaza,”
飢えた人々を救うための実用的な計画を策定し、横流しの懸念に対応し、ガザの長年のNGOの取り組みを補完するなど、私が監督した仕事を誇りに思っています。
“However, it is clear that it is not possible to implement this plan while also strictly adhering to the humanitarian principles of humanity, neutrality, impartiality, and independence, which I will not abandon,”
しかし、人道、中立、公平、独立という人道的原則を厳格に遵守しながら、この計画を実行することは不可能であることは明らかです。私はこれらの原則を放棄しません。
“I urge Israel to significantly expand the provision of aid into Gaza through all mechanisms.”
イスラエルに対し、ガザへの援助の提供をすべての手段を通じて大幅に拡大するよう強く求めます。
死の罠 GDFは 'death trap' 💥
イスラエルは国連や国際援助団体のガザへの立ち入りを制限し、ほとんどすべての援助を阻止し、新しいGHF作戦によって管理されている限られた配達のみを許可していたのだ。
国連が援助を届けていたとき、ガザ全体に400の配布ポイントがあったが、現在のGHF流通システムの下では、4つのポイントしかない。ガザの人々、多くの子供たちが餓え亡くなっている。
https://www.bbc.com/news/articles/cn4g0xmem2lo
https://www.bbc.com/news/articles/clyqkj0jwkgo
キリスト教右派シオニスト Moore が GHFのリーダーに…
次の「ガザ人道財団」GHFのリーダーには、Johnnie Moore Jr.(福音派キリスト教指導者)が、executive chairman執行役会長として就任した。
ムーアは、自らを「キリスト教シオニスト」と表明し、トランプ大統領の福音派顧問委員会の共同議長(2016年)を務め、トランプ政権下で国際宗教自由委員会(USCIRF)の委員(2018-2021年)を歴任。トランプの親イスラエル政策や エルサレムへの米国大使館移転を支持した人物である。
ムーアのGHF運営は2025年5月26日から、開始された。
このGHFの運営にはイスラエル軍、アメリカの▶︎物流会社や▶︎民間警備業社が関与していた。
イスラエル軍が関与することは軍事占領の一環とも見なされ、国際人道法に基づく中立性に疑問が呈されていた。ムーアは、イスラエル軍や民間警備会社の関与はGHFの物資を「ハマスによる横領」から防ぐためだと主張している。
しかし、2025年5月27日から7月21日までに、GHFの配布拠点付近で、1,054人以上のパレスチナ人が死亡し、4,066人が負傷する事件が報告された。
これはイスラエル軍や民間警備会社の食料配布を求める群衆への発砲や「群衆制御」によるもので「過剰な武力使用」だと批判され、国連やパレスチナ保健省と対立している。
アメリカの民間物流会社・警備業社がGHFに参入
▶︎物流会社 Safe Reach Solutions (SRS)
2024年11月、ワイオミング州に元CIAエージェントのフィリップ・ライリー(Philip Reilly)が創設。イスラエル軍の許可のもとでガザ内での物資移動を調整している。
物流とセキュリティを担当し、援助物資の輸送と配布拠点の運営を管理。
SRSはマクナリー・キャピタルから資金を得ており、商業的利益が関与しているとの批判もある。
McNally Capital(シカゴの投資会社)は、元CIA職員の採用を専門とするOrbis Operationsを買収するなど防衛契約会社に投資している。
契約金と報酬
- SRSは契約者(主に元CIAや軍関係者)に1日あたり約1,000~1,100ドル(約15万円)の高額報酬を支払うと報じられている。これは、ガザでの3~6か月の任務に対するもので、例えば3か月で約90,000ドル(約1300万円)となる。
- 初期契約として、SRSはボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を通じ、マクナリー・キャピタルから100万ドル以上(約1.5億円)の契約を獲得し、8週間の運用計画を策定。
- GHF全体の資金は米国政府から3000万ドル(約45億円)、一部の欧州諸国や匿名ドナーから1億ドル(約150億円)が拠出されたとされるが、詳細は不透明
フィリップ・ライリー(Philip Reilly)
- CIAでのキャリア: ライリーはCIAの国家秘密工作局(National Clandestine Service, NCS)で29年間勤務し、特殊活動部門(Special Activities Division)の責任者として秘密作戦や準軍事作戦に従事。1980年代にはニカラグアのコントラ(右翼民兵)の訓練を支援し、2001年の9/11テロ直後にはアフガニスタンに最初に派遣されたCIAチームの副司令官を務めた。国内外の紛争地での任務経験が豊富で、特殊作戦や情報収集の専門家として知られる。
- 軍歴: CIA入庁前(1982-1985年)は米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)に所属し、特殊作戦の訓練を受けた。
- 民間での活動: 2014年にCIAを退職後、民間企業で活動を開始。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)のシニアアドバイザー(2017-2024年)、Constellis(ブラックウォーターの後継企業)の国家安全保障部門副社長、Orbis Operationsの顧問などを歴任。現在はSRSを運営し、ガザでの援助配布の物流・セキュリティを管理。
https://gazaherald.com/2025/07/08/investigation/
https://www.ynetnews.com/article/skpsmyxgge
https://responsiblestatecraft.org/us-contractors-gaza/
https://en.wikipedia.org/wiki/Gaza_Humanitarian_Foundation
▶︎民間警備業社 UG Solutions
2023年、ノースカロライナ州デビッドソンに元陸軍特殊部隊グリーンベレーのジェームソン・ゴボーニ(Jameson Govoni)が創設。
元米特殊部隊の隊員を中心に採用し、ガザのチェックポイントや配布拠点の警備を担当。
具体的には、ネツァリム回廊(Netzarim Corridor)などの重要地点で車両検査やセキュリティ業務を行っている。
契約金額と報酬
- UG Solutionsは契約者に1日あたり1,100ドル(約16万円)の報酬を支払う。これに加え、ガザ到着後5日以内に1万ドルの前払い(約150万円)が支給される。3か月の任務で約10万ドル(約1500万円)となる。
- 契約者数は約100人で、主に元米特殊部隊員(グリーンベレーなど)を雇用。2025年1月の募集では、96人のベテランを対象に高額報酬を提示した。
- GHF全体の資金は米国政府から3000万ドル(約45億円)、その他匿名ドナーや欧州諸国から1億ドル(約150億円)が提供されているが、UG Solutionsへの具体的な契約総額は非公開で不透明。
ジェームソン・ゴボーニ(Jameson Govoni)
- 経歴: 元米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)出身で、戦闘経験を持つ起業家。9/11後に軍に入隊し、特殊作戦や対テロ監視プログラムの構築に従事。ニカラグアでの潜入作戦経験も。
- 現在の役割: UG Solutions(2023年設立、ノースカロライナ州)のCEO兼創設者。UG Solutionsはガザ人道財団(GHF)の援助配布拠点の警備を担当し、イスラエル軍やSafe Reach Solutions(SRS)と連携。1日1100ドルの高額報酬で元特殊部隊員を雇用。
- 他の活動: 児童人身売買対策の非営利団体Sentinel Foundationの共同創設者兼COO、飲酒後の二日酔い防止飲料Alcohol Armorの創設者。2025年4月、ノースカロライナ州でひき逃げ事故関与の疑いで逮捕(保釈済み)。
https://www.newarab.com/news/here-are-us-firms-could-run-gaza-aid-under-trumps-plan
「ガザ人道財団」GHFの正体
軍事化された配布プロセス:
援助配布がイスラエル軍のチェックポイントや軍事管理区域内で実施され、UG SolutionsやSRSの武装警備員が関与することで、純粋な人道支援ではなく、イスラエルの治安維持やガザ統治の延長と見なされている。国連や赤十字などの伝統的な人道団体が、GHFと協力しない理由としてこの点である。
また、7月旬には、実際にGHFの活動に携わった複数の目撃者が、IDF(あるいはその下請け業社の米国人)が、「パレスチナ人に発砲した」と証言している。
中立性の欠如:
GHFは米国とイスラエル政府の支援を受け、ジョニー・ムーアのような親イスラエル派の人物が運営を主導。国際人道法に則り人道支援は中立かつ独立であるきであるが、GHFの活動はイスラエルの政治・軍事目的に沿っていると批判されている。
資金の不透明性:
GHFは米国政府から3000万ドルの資金提供を受けているとされるが、民間企業(SRSやUG Solutions)への支払いや、イスラエル軍との契約内容も公開されておらず、援助資金が軍事目的に流用されている可能性が指摘されている。
Former US Green Beret says Israel committed war crimes at Gaza food distribution site | BBC News元米軍グリーンベレーの男性が、イスラエルがガザの食料配給場所で戦争犯罪を犯したと告発!2025/07/26
元米軍退役軍人で、ガザの食料配給施設で働いていた男性が、イスラエル国防軍(IDF)の兵士と米軍関係者らが、無防備なパレスチナ人市民を意図的に標的とし殺害したと主張しています。
元グリーンベレー特殊部隊のベテラン Anthony Aguilar アンソニー・アギラル大佐は、国連の食料配給事業を代替するイスラエルと米国の共同事業である「ガザ人道支援財団」に採用されました。
彼はBBCに対し、「IDFがパレスチナ人の群衆に向けて発砲し、民間人を乗せた車に主砲弾を撃ち込み、食料を待つ飢えた群衆に対して迫撃砲を発射するのを目撃した」と述べています。
アギラル氏はBBCに次のように語りました:「私のキャリアを通じて、民間人、特に無防備で飢えた民間人に対して、これほど残虐な行為や無差別で不要な武力行使を目撃したことはありません。私が戦地に派遣されたすべての場所で、そのような光景を目撃したことはありません。ガザでIDFと米軍請負業者によって行われた行為を除いては…疑いなく、イスラエル国防軍による戦争犯罪を目撃しました。疑いの余地はありません。無防備な民間人に対して砲弾、迫撃砲弾、戦車砲弾を使用することは戦争犯罪です。」
国連は、GHFが運営する援助配布ポイントで食料を求めていた数百人のパレスチナ人がガザで殺害されたと報告しています。
イスラエルは、自軍が民間人を標的としていないと主張し、ハマスを標的としており、ガザでの武力行使は比例原則に合致していると主張しています。
イスラエルが、ガザの民間人への食料供給不足をめぐり国際的な非難に直面する中、国連と援助機関は「人々が飢餓で死亡している」と報告しています。


