ガザ情勢 孫崎享チャンネル2023/12/23(土)
・ガザは平坦な地形で、大きくない土地。
イスラエルは「軍事的に完全に制圧できる」と思っている。
・しかし、このガザ侵攻は、イスラエルにとって、
非常に大きい「安全保障上のマイナス」を作ることになるだろう。
・今、ガザの戦闘員を含めた死者は、3万人〜4万人と言われている。
爆撃されて殺害された人数としては極めて大きい。
しかし、ガザにはまだ220万の人口が存在する。
・あまり議論されてこなかったが、ヨルダン川西岸に380万のパレスチナ人が
存在する。アラファトからアッバスにつづく指導者の「ファタハ」が支配するが、
西岸にも、「ハマス(イスラム抵抗運動)」がおり、西岸においてハマス支持が
急激に増えている。西岸の広さは東京23区程度。
・西岸では、イスラエルが武力を用いて入植地を拡大していた。
無抵抗に陥っていた380万のパレスチナ人がハマスの抵抗運動を支持すれば、
ガザよりも起伏のある戦闘しにくい土地の西岸は、治りにくくなるだろう。
・ヒズボラが支配しているレバノン。ヒズボラとイスラエルの衝突も起きている。
スンニ派のヒズボラはイランとの結びつきが強い。
・イエメンのミサイル、無人機によるイスラエルへの抵抗運動も行われている。
これを米英等10カ国がミサイルで対抗し撃ち落としているが、
無人機対ミサイルではミサイルのコストが圧倒的に高い。
・イエメンのイスラエル攻撃をしているグループの人気が急速に拡大している。
・パレスチナと同じアラブのエジプト、サウジも、座して見ているはおかしい
という世論が当然イスラム社会に生まれる。
・米国とイスラエルの安全保障は非常に不安定なものになっていく。
・長期的にはイスラエルの崩壊につながる動きになる可能性もある。
2024/01/12
紅海に展開するアメリカとイギリスの海軍は12日、イエメンの武装組織フーシ派を標的とした空爆を、同国各地で実施した。
米国防総省のロイド・オースティン長官は声明を発表し、合同軍事行動は「フーシ派の能力を破壊し、低下させることを意図している」と述べた。米当局によると、戦艦から発射したトマホーク巡航ミサイルと戦闘機によって、イエメンの首都サヌアや、フーシ派が拠点としている紅海に面したフダイダ港など12カ所以上を攻撃した。
BBCのジョナサン・ビール防衛担当編集委員は、イギリス王立空軍(RAF)の戦闘機「タイフーン」4機が、キプロスのアクロティリから出発し、イエメンのフーシ派の標的2カ所に対し、ペイヴウェイ爆弾を使って空爆を行ったと報じた。
イランの支援を受けているフーシ派はこのところ、紅海とアデン湾で商船をミサイルや無人機(ドローン)で攻撃しており、人員の生命だけでなく、世界経済を脅かし、中東地域の不安定化を招いている。
フーシ派はパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスを支持しており、イスラエルとつながりをもつ船舶を狙っていると主張している。また、イスラエルがガザ地区で行っている軍事作戦への対応として、イスラエルに向けてドローンやミサイルも発射している。
米英のイエメン空爆に至るこれまでの経緯を、BBCのフランク・ガードナー安全保障担当編集委員が解説する。