岡真理教授の魂の講演。
2023年10月20日「緊急学習会 ガザとはなにか」@京大吉田南キャンパス
以下、ハイライト部分メモ。
重要なことは、ハマスとは、ファタハの腐敗に辟易したパレスチナ人から民主的に選ばれた政権与党であったこと。
しかし、イスラエルとアメリカがこれを嫌った。
イスラエルとアメリカは、ハマスにISのようにもなりかねない危険なテロ組織というレッテルを貼り、ファタハの軍人にクーデターを起こさせるなどハマス政権を潰そうとしていたこと。
ウクライナのユーロマイダンでもアメリカは親露政権を排除し、親米政権を作る工作をしていた。
日本でもウクライナ戦争が勃発後、プーチンと親交がありロシア側の言い分をメディアで口にしていた安倍晋三が不審な銃撃事件で死んでいる。
〜岡真理教授 2023年10月20日「緊急学習会 ガザとはなにか」より
ハイライト ③冒頭から〜
1948年のナクバ(パレスチナ民族浄化)75万人以上が難民化した。
アラファト議長率いる民族解放運動組織のファタハが誕生。
難民キャンプで暮らしていたパレスチナ人達は国際社会が自分たちを故郷に帰してくれると思っていた。
ところが、1967年、ナクバから20年経ち、第三次中東戦争勃発。
東エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ガザ占領された。
難民キャンプのパレスチナ人たちは国連、国際社会は問題を解決する意思はないことを実感し、難民キャンプで生まれ育った第二世代を中心にPFLP(パレスチナ人民解放戦線)、DFLP(パレスチナ民主解放戦線)といったコミュニズムや社会主義を掲げる組織をつくった。
その占領からさらに20年経った1987年、第一次インティファーダ(イスラエルによるパレスチナの軍事占領に対する民衆蜂起、抵抗活動)が起こる。
国際社会は毎年のように”イスラエルの占領は違法だから撤退しろ”という決議は上げるけれども実行的な措置なにも行わないことに対して、占領下の民衆が立ち上がった。子供達が石を投げ、「石の革命」とも呼ばれた。
この時に、イスラム主義を掲げるハマースが民族解放組織として誕生した。
ハマースとは、PFLPやDFLPと同じように、占領された祖国を解放する民族解放運動の組織である。
1993年オスロ合意。パレスチナ暫定自治が始まる。
和平プロセスが始まったと言われたが、実際はパレスチナ自治区でさえパレスチナ人の土地がどんどん奪われ、どんどん入植地が作られていた。
2000年、第二次インティファーダが起こる。
1967年の占領から1993年のオスロ合意までの25年間の間に作られた入植地の数から、1993年のオスロ合意から2000年のインティファーダまでの間に作られた入植地の数は、1.5倍になっていた。
凄まじい勢いで入植地が作られた。
ガザとヨルダン川西岸にパレスチナの独立国を作るなら、イスラエルの入植地を撤退させなければならないはず。
イスラエルがやっていることは真逆である。
報道では、「パレスチナ自治政府のファタハとイスラエルは2国間で平和に共存していこうとしているのに、ハマースがイスラエル憎しでイスラエルを殲滅すると言っていて和平に反対している」と言っている。
しかし、事実はそうではない。
実際は、「イスラエルはパレスチナの独立国家などは作らせない」「イスラエルはファタハ自治政府に占領の下請けをやらせている」
イスラエルは、そういう形での自治しか認めない。それでもいいというのがファタハである。
今はヨルダン川西岸では、むしろファタハ自治政府がある方が害悪だという声の方が多数を占めている。
和平プロセスと呼んでいたオスロ合意からの7年間は、パレスチナにとっては絶望のプロセスで、それが、第二次インティファーダとなって爆発したのである。
この時、ハマースもアラファトのファタハもPFLPも、イスラエル領内に入って自爆攻撃などを行った。
2005年、ガザからイスラエル入植地が撤退した。
シャロン首相は「和平のための撤退だ」と言うが、撤退した入植者たちはヨルダン川西岸の入植地に行く。
ガザから入植者、イスラエル軍が撤退したことで残るのはパレスチナ人だけになったところで、この後、「無差別爆撃」というものが可能になった。
2006年、パレスチナ民族評議会選挙(総選挙のようなもの)でハマースが勝利する。この選挙はEUの監視団も来て「近代稀に見る民主的な選挙だ」とお墨付きを与えるような選挙だった。
この時、ハマースに投票した人たちは、イスラム主義者やハマースを元々支持していた人たちだけではなかった。
「もう13年間もファタハが自治政府を担ってきたが、ファタハは腐敗し切って、占領に対しても、パレスチナ独立国家を作るためにも何もしていないじゃないか」「だったら、ハマースにやらせてみよう」ということで投票した人たちだった。
ハマースは最初は単独で組閣した。しかし、イスラエルやアメリカが「ハマースはテロ組織だ」と見做しており、ハマースを自治政府と認めない。
アメリカは当時ブッシュJr政権だった。
そこでハマースはファタハの人達も入れて統一政府を作り、ハマースは「オスロ合意に則ってガザと西岸に、主権を持ったパレスチナの独立国家を認めるならば、イスラエルと長期に渡って休戦条約を結ぶ用意がある」とまで言った。
これに対して、アメリカの返事はどういうものだったか?
当時のガザ地区のファタハの治安部門のトップだったムハンマド・ダハラーンという人物に兵站を提供して、ハマースに対してクーデターを起こさせた。
そして、ガザは内戦状態になった。
このアメリカの行いは、1973年9月11日、アメリカの裏庭であるチリでやったことと同じである。
つまり、チリにアジェンダ政権という社会主義政権ができてしまったので、フィノチェット将軍を抱き込んでクーデターを起こさせた。
アメリカはチリでやったことと同じことをガザで行ったのだ。
ところが、アメリカの思惑に反して、ガザの内戦では、ハマースが勝利した。
さて、ハマースというのは、民主的な選挙で政権与党になったのである。
アメリカはハマースへの政権委譲を拒んで、クーデターを起こさせたが、ハマースはそれにも勝利したのである。
そして、これによって、パレスチナの政権がガザのハマース政権と、西岸のファタハの二重政権に分裂する。
報道が、「ガザを実効支配するイスラム主義組織ハマースが!」と言うと、まるで「ISのような暴力集団」が武力で制圧して支配しているように聞こえる。
しかし、事実は、全然、違うのだ。
アメリカ、イスラエルがテロ組織と見做すハマースを政権与党に選んだパレスチナ人に対する「集団懲罰」として、ガザに対する「完全封鎖」が始まる。
ハマースはオスロ合意にも反対していたので以前から締め付けのためにガザは部分的に封鎖されていたが、全面的な封鎖になった。
人間のガザ出入域、物資の搬出搬入の全てをイスラエルが管理した。(南の国境はイスラエルと同盟を結んでいるエジプトが管理)
この「集団懲罰」は国際法違反である。
2014年、統一政府実現の動きがあったが、それを潰すための「51日間戦争」が仕掛けられた。
まさに、「分断して統治せよ」という帝国主義の論理そのままである。
ハマースとは、報道されていることとは裏腹に、
”占領されている祖国の解放を目指す、民族解放の運動組織” であり、
今回の奇襲攻撃というのは、
”国際法上認められている占領下の人々による占領軍に対する
国際法上認められている抵抗権の行使である。”
(占領下、植民地下の人々は、武力による戦いも含めて、
正当な抵抗権として、国際法上認められている。)
報道は、「ハマースが、ガザからイスラエル側に侵入して、キブツの民間人を残忍に殺害した」と報じている。
しかし、事実はそうではない。
まず攻撃したのは、ハマースだけではなく、ハマース主導の戦闘員たち(イスラミックジハード、ガザのPFLPやDFLP)である。PFLPはこの戦闘を支持するという声明を出している。パレスチナ解放の民族組織が支持をする解放のための作戦であった。
全く報道されていないが、「ハマース側が狙ったのはガザ周辺のイスラエル軍の拠点であり、その拠点12ヶ所を占拠した」のだ。
しかし、「その後やってきたイスラエルの治安部隊に全て殺されている」
確かにキブツを襲撃したり民間人を連れ帰って拘束するという作戦は、民間人を巻き込むことであり、これは戦争犯罪であるが、まさに、「死人に口無し」なのである。
ただし、生き残った人には口がある。
ハマースに襲撃されたとされる野外音楽パーティーにいて、「生き残った女性」の証言がある。
イスラエルの国営ラジオ放送のインタビュー「キブツに連れて行かれ、ハマースの戦闘員は人道的に扱ってくれた」と証言。
「水を供給してくれたり、停電の暑さを凌ぐために外に出してくれた。」
「ヘブライ語のできる兵士が”あなたをガザに連れて行くが決して殺すようなことはしない”と言った。」
「そこに、イスラエルの治安部隊が到着するなり一斉射撃してきた。」
「外にいた戦闘員も、人質になっていた人達も、皆、イスラエルの治安部隊に殺された。」と。
「彼女が助かった理由は、兵士の1人が投降すると決めて彼女を人間の盾にして出て行ったからだ。兵士は捕虜になり、彼女は命が助かった。
彼女ら人質がいた家は、イスラエル治安部隊が砲撃して木っ端微塵になり、人質も皆、殺されてしまった。」と。
彼女のインタビューは、現在、国営放送のオンラインから削除されている。
「キブツの住人がハマースに惨殺されたとして写真が公開されているが、実際は、キブツ住人の殺害はイスラエルの治安部隊が行ったのである」
「惨殺された死体として紹介されているものの中には、パレスチナ人のものもある」と彼女は証言しているが、これは非常にイスラエルには不都合な証言だったのである。
①「緊急学習会 ガザとはなにか」―登壇 岡真理 早稲田大学文学学術院教授
[日時] 2023年10月20日(金)18:30~
[場所] 京都大学吉田南キャンパス
[主催] 緊急学習会 ガザとはなにか実行委員会
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231027 緊急セミナー
〈歴史の忘却に抗して――パレスチナにおけるジェノサイドを見すえながら、危機の時代における人文知の役割を問う〉
―登壇:岡真理 早稲田大学文学学術院教授