【学生の家庭情報が提供対象に❗️】タムトモ告発「国立大が民間企業に」「デジタル法案で危険性拡大」 | ☆Dancing the Dream ☆

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EUには、
ユダヤ人虐殺を支えたIBMが開発したナチスの「パンチカード」や「カード選別システム」のように、
「情報処理が人権侵害を齎す事があってはならない」という深い反省から、
個人の権利保護の確固たる哲学があるが、
日本は、個人情報に関する哲学が欠落している。
恐ろしいことだ。



参議院 2021年04月20日 内閣委員会 #12 田村智子(日本共産党)

「デジタル社会形成基本法案」第2条における
デジタル社会とは、
行政手続きのデジタル化だけではなく、
行政機関が保有する個人情報を大規模に
官民ともに利活用するということで実現する?

官民のデータ利活用は、これまでのIT戦略の柱の一つで、
そのための法改正は繰り返されてきた。
2016年の「行政機関個人情報保護法」の改定によって、
各府省庁と独立行政法人は、保有する個人情報ファイルについて、
非識別加工情報として民間における利活用の提案募集をすることになった。

各府省庁と独立行政法人は、利用目的ごとに、個人情報ファイルを作成している。
一人一人のデータベースを作成している。
タイトルをつけ、何が記録されているか、という項目と共に、
「個人情報ファイル簿」として公表している。
ここに提案募集の対象であるかどうかが記載されている。
さらに、「提案募集対象一覧」も公表されていて、
個人情報保護委員会のHPから誰でもみる事ができる。
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/HishikibetsukakouInfo/

【防衛省】
例えば、防衛省は、なぜこれらを提案募集したのか?
これは適法なのか?
・横田基地騒音訴訟の原告名簿など、
 横田基地訴訟関係の個人情報ファイル15種類、
・小松基地訴訟関係で3種類。

 防衛省A:
 大前提として、提案募集の対象となる個人情報は、
 行政機関 個人情報保護法に基づき、
 情報公開請求があった場合、公開できる情報を対象としている。
 (適法である)
 4月14日参院本会議で総理が答弁した通り、
 毎年度末に翌年度の検討をするが、
 指摘された個人情報ファイルは提案できる箇所が限られていることから、
 令和3年度に見直し提案募集を行わないこととした。

3/8に原告団弁護団が提案募集を撤回するよう申し入れ、 
3/23に方針を変えたのではないか?

横田基地訴訟のある方の個人情報ファイルは、記録項目112項目におよぶ。
訴訟遂行に国が必要としたと思われるありとあらゆる項目が網羅されている。
・氏名 生年月日、住所、死亡年月日、
 過去の訴訟を提訴していたか、外国人か、
 当該個人に対する国の主張、防音工事をした入居日退去日、
 訴訟を継承した場合には承継人の住所、属柄、
別の方のファイルには、
・損害賠償額やその内訳も記載されている。
 
損害賠償原告団の個人情報ファイルを提案募集するのは、
適法か?

 個人情報保護委員会事務局長:福浦 裕介
 防衛省の説明は、個人情報保護法の規定に照らして問題ない。

横田基地訴訟の原告であることは、
本来、当事者以外に明かされる事があってはならない情報だ。
訴訟の当事者である国から、原告団の個人情報ファイルが
民間利活用の提案募集にかけられることは、
非識別加工をされたとしても、
原告や家族は「怖さ」を覚える。
税日米軍基地に対する意見、内心を晒されるのではないかという不安、
また今後の訴訟を躊躇わせることにもなる。
訴訟提起という個人の正当な権利の行使、政治活動、市民活動の
萎縮をもたらすことになる。
 
ーー
【文科省】
「授業料免除ファイル」の記録項目には
ある大学のものでは、
次のような非常にセンシティブなものもあげられている。
・母子父子家庭であるか
・障がい者がいるか
・生活保護世帯であるか
・被爆者がいるか
・長期療養がいるか
・家計支持者別居世帯か

大学センター試験の入試のデータも、
民間企業等への利活用の提案募集の対象になっている。
2018年度 58.3万人
2019年度 57.7万人
2020年度 55.8万人 が入試を受けているので、
一人一人の個人データファイルが作られ、
氏名、年齢、住所、入試の点数が記録されている。
提案募集の対象にされており、
予備校や進学塾などがビジネスのために活用する事は大いに考えられる。

受験生、学生は、この事を知らされているのか?

ある大学の「入試業務のためのファイル」では80項目もあり、
・試験前の調整得点 ・健康診断情報
など入試の詳細な情報が分かるようになっている。

他の大学では学生支援課の
・精神保険相談 ・心理相談診断 ・抗神経薬管理簿(どういう薬が処方されたか)
なども提供情報になっている。

別の大学では、
「報酬謝金支払いのマイナンバーシステム」というファイル簿があり、
・氏名、住所、マイナンバー
が記録されており、これが提供情報対象になっている。

これは個人情報保護委員会のHPから見ることができるが、
マイナンバーシステムを民間企業の利活用の提案募集にかけるというのは、
適法なのか?
なにが提案募集になって、
それが適法適切なのかちゃんとチェックしているのか?
 A:マイナンバーに関しては、個人情報保護法上、
  個人情報識別を全部削除という位置付けになっている。
全部削除である。
全部非識別加工をしてどうやって提案募集をするのか?

個人情報保護委員会に、
国や独立行政法人が保有する複数のデータを連携させた上で
非識別加工個人情報として提案募集することができるのか?を聞くと、
「それは想定していないけれども、法的には排除もされないと思う」
と答えた。
つまり、学籍番号をキーとして、・入試点数、・成績、・進路
などを連携させて、非識別加工をして提供することも排除されない、
ということになる。

どういう成績で大学に入学したのか、どういう学績をおさめたのか、
どこへ就職したのか、などは人格形成に関わる情報であって、
プライバシーそのもの。
当事者の知らないところで、情報が連携され利活用される、
これはプライバシー侵害である。

これらの事例は、個人情報保護法の規定に則っているというのが、
政府と、個人情報保護委員の見解である。

この条文は、非常に難解で読み解くのが難しい。
・国や独立行政法人は、膨大な個人情報ファイルをすでに保有している。
・どういう個人情報ファイルをもっているのか知る権利を保証するために
 個人情報ファイル簿を作って公表する事が法によって義務付けられている。
・ファイル簿に記載された情報は原則、提案募集の対象である。
・開示請求によって、全部、あるいは一部開示になった場合、
 また、非開示決定であっても意見書提出の機会が与えられる場合等がある。
 例えば、部分開示というのはほぼ黒塗りで記録項目の番号しか開示されない場合、
 これでも開示請求によって部分開示したということになってしまう。
・そうすると、非識別加工をして提供することができるようになるということ。

この仕組みというのは、非常に矛盾している。
個人の権利を保障するための「公表や情報開示」が、
本人の知らないところでの「非識別加工とその利活用」の
エンジンになっているのだ。

この仕組みをどれだけの国民が知っているだろうか?
国民に仕組みを知らせ、議論が必要だ。

ところが、この法案では、
個人情報保護法を、「民間、国、独立行政法人、自治体」で
一本化することで、
次は、都道府県、政令市にも国と同じ取り扱いを義務づけていき、
市町村に関しても、できる規定として権限を付与していくのではないのか?
提案募集して行くことになるのではないのか?
 富安内閣審議官A:
 公的部門の匿名加工情報提供制度は、公的部門が有するデータを
 個人を識別できないよう加工した上で、
 地域を含む豊かな国民生活を実現することを目的として、民間事業者に提供し、
 その価値を促すものです。
 この趣旨は、地方公共団体にも妥当することから、
 この改正案では、地方公共団体もその保有する個人情報ファイルについて、
 匿名加工情報をそのように供して提案募集を行う事を規定しております。
 ただし、都道府県および指定都市以外の地方公共団体については、
 匿名加工に関して十分な人材を確保することに困難が予想されることから
 当分の間、義務ではなく、任意で提案募集を実施することとしております。
 尚、匿名加工情報は個人を識別できない情報としての性質上、
 誰がどのような利用しようとも本人に影響が及ばないと考えていますが、
 改正案では、権利、利益の保護に万全を期す観点から、
 情報公開法の不開示事由に該当する情報については、個人情報を除き、
 予め加工元の情報からすべて削除することを義務づけることとしています。
 個人情報については匿名加工されるため問題ないと考えております。
 これにより、例えば特定のグループに対する差別や偏見につながりうる情報については、
 匿名加工の加工元情報から予め多数削除されるため
 住民の信頼が損なわれるような事態は生じないと思われます。

国よりも大量に機微な個人情報を保有している地方公共団体も
提案募集するのである。 
非識別加工すれば良い、そうすればもう個人情報とは言えないとして、
利活用の提案募集までかけている。
これに国民的合意形成があるのか?

では、
ファイル簿が公表されているので、それを見て、
識別加工されたとしても、私にとってはプライバシーの侵害である、
だから私の個人情報ファイルは、提案募集から外して欲しい、
と要求する事はできるのか?

独立行政法人等、非識別加工情報の提案募集においては、
行政機関、非識別加工情報と同様に、
本人から、自らの個人情報の利用の停止や削除について請求できる規定はない。

2017年から始まっている提案募集で、非識別個人情報が提供されたのは、
今のところ、「住宅支援機構」が保有する約118万人分のデータで、
これが住信SBIネット銀行に提供された。1件だけ。
住宅ローンのAIモデルを構築するという提案だった。
国交省によると、個人情報を提供した人達(住宅ローンの融資を受けた人達)は、
情報提供された通知も受け取っておらず、なにも知らされていない。

「融資を受けるため」とか「受験をするため」「授業料免除を受けるため」には、
個人情報は、提供しなければならない。
ところが、一度提供したら、非識別加工はされても、
自分たちの知らないところで第三者に利活用される事を受け入れねばならないのか?
強制されねばならないのか?
提案募集の国民的合意があるとは思えない。

やめる。あるいは、提案募集にかける事を本人に知らせる。
提供する時は本人に知らせる。拒否する権利を認める。
このくらいの検討はすべきである。

非識別加工をしてもその情報は、生きた人間に由来している。
その情報のひとつひとつは人格を形成している。
だから個人情報は、個人の尊厳、個人の権利と深く繋がっている。
「非識別加工するから良いのだ」という考え方はとても危険な考え方だ。
個人を特定されないと言うが、
「どうやって識別加工したのかという事まで、削除を求める」という
EUのルールにまで、日本は行っていない。
だから幾つかの情報を連携させれば、極めて対象者が限られて、
「個人が特定される可能性」もある。
デジタル技術は進歩しているので、これは否定できない。
「非識別加工すれば、個人情報ではなくなり、
個人の権利利益と関係ない」とは言えない。

日本の個人情報保護の制度は、「情報データをどう取り扱うか」
というルールを定めるもので、
「個人の権利をどう保護するか」という考え方は極めて弱い。

一方、2016年に制定された「EU一般データ保護規則 (GDPR)」は、
前文の冒頭に、
「個人のデータの処理に関連する自然人の保護は、基本的な権利の一つである」
と明記されている。

これには歴史的経緯がある。
ナチスのユダヤ人虐殺を支えたのは、IBMが開発した「パンチカード」と
「カード選別システム」によるデータ処理だった。
1939年、ドイツ政府は、国内の居住者を対象とした国勢調査を実施。
各居住者の・年齢、・性別、・住所、・職業、・信仰、・結婚歴、・人種
を祖父母の代まで遡って調査をし、
これを60列10行の600項目に渡るパンチカードに記録した。
何千人もの事務員がこれにあたった。

ユダヤ人がどこに何人住んでいるのかパンチカードですぐに分かった。
収容所の移動、身体的特徴、
収容所退所した理由が、死亡、移送、逃亡なのか、パンチングされる。
収容所に入れられたユダヤ人は、名前を失い「個人識別番号」にされた。
大規模な個人情報のデータベースと、識別システムは、
数十万人のユダヤ人をナチスの管理下に置く事を可能にした。
ユダヤ人をどう特定するのかという課題に、
IBMは「ソリューションを提供した」と言った。
まさに、ホロコーストに利活用された。

ナチスのように、
「情報処理が人権侵害を齎す事があってはならない」という
個人の権利保護の確固たる哲学が、GDPRには刻まれている。

時代を経て、デジタル技術の進歩によって、
情報処理は当時の100兆倍と言われる。

個人の権利利益の保護と
プライバシー保護とが、イコールになっていないところに、
非常に問題意識を感じる。

GDPRは、「データの削除権」「プロファイルを拒否する権利」を認めている。
世界でプライバシーを権利として認めるという動きが多数になってきている。

何より日本は、個人情報に対する哲学がない。

※ GDPR
http://www.inamasu-law.com/blog/2021/02/post-27-767175.html


◆学生の家庭情報 提供対象
田村氏告発 国立大が民間企業に
デジタル法案で危険性が拡大も

しんぶん赤旗 2021年4月21日(水)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-04-21/2021042101_03_1.html
 日本共産党の田村智子議員は20日の参院内閣委員会で、国立大学法人が、受験生や学生の機微な情報を、民間企業等が利活用するための提案を募集していたことを明らかにし、同様の仕組みを自治体に広げるデジタル関連法案の危険性を告発しました。
 民間利活用の提案募集は2016年の個人情報に関する法律の改定に基づく制度で、個人情報を特定の個人が識別できないように加工することが前提とされています。17年度に始まりました。
 政府は20年度、国立大学86法人のうち受験生の入試の点数や内申点などの情報を含む個人情報ファイルを提案対象としている法人は49法人、授業料免除に関する情報を含む同ファイルを提案対象としている法人は30法人と田村氏に答えました。
 ある大学の授業料免除ファイルでは、母子父子家庭、障害者のいる世帯、生活保護世帯なども記録項目としています。大学センター試験の約60万人の受験生の氏名・住所・年齢・点数を記録した個人情報ファイルも利活用案募集の対象とされており、今後、予備校などによるビジネス利用が考えられます。大学によっては、住所・氏名・マイナンバーを含む個人情報ファイルまで提案募集の対象にしています。田村氏は、適法性を問うとともに「まさにプライバシーの侵害だ」と追及しました。
 政府側は、法に基づいた対応であり、問題はないなどと主張しました。
 田村氏は、こうした仕組みの是非を議論することこそ求められているのにデジタル法案では都道府県や政令市に民間利活用の提案募集を義務付けていると指摘。自治体は国よりも多くの個人情報を持っているが、機微情報も含め利活用の提案募集の対象となることに国民的な合意があるとは言えないはずだと批判しました。