【後半部】
I have to say something to my country.
私は、私の国に対して何か言わなければならない。
When you’re sitting there,
wherever you are, in a dark room,
suffering with the pain,
there’s still no one.
No one answering.
No one responding.
You’re invisible.
You are not exist.
No one care about you.
あなたがそこに座っているとき
あなたが暗い部屋に座り
痛みに苛まれているとき
どこにあなたがいるにせよ
誰もいない
答える者もいない
反応する者もいない
あなたは目に見えない存在だ
あなたは存在しない
誰もあなたを気にかける者はいない
安田さんは、映像を撮影するにあたって
ヌスラから、政府に対して何か伝えるように言われたのでしょう。
安田純平さんのメッセージの後半は、
どにか詩的で、何かの引用ではないかと感じて調べたところ、
『Manglehorn』というアルパチーノ演じる主人公の
息子に対して語った台詞であるということが解りました。
すなわち、このメッセージには、
なんらかの隠蔽されたメッセージが込められているということです。
Manglehorn
“When you choose this life, there is no one.
It's only you.
Every man for himself.
And let me tell you something.
When you're sitting there,
wherever you are, in a dark room,
suffering with the pain, guess what?
There's still no one.
No one answering the phone.
No one responding to the letters you send.
You're invisible.”
お前さんがこの人生を選ぶなら 誰もいない
お前は独りだ
自分の身は自分で守れだ
俺にちょっと言わせてくれ
お前はそこに座っているとき
暗い部屋に座り
痛みに苛まれているとき
お前がどこにいるにせよ どうだ、いいかい
しんとして誰もいない
電話に答える者もいない
お前が送った手紙に返事をくれる者もいない
お前は目に見えない存在だ
①Manglehornという名前の意味
Manglehorn マングルホーンという名前は、
「Mangle + horn」(ずたずたに切られた角)というような意味で、
アルパチーノ演じる主人公のイメージと人生を象徴していると思われます。
さて、安田純平さんの件で多くの示唆に富むツィートをしているのが、
常岡浩平氏ですが、周知の通り、ハサン中田氏と共に行っていた、
湯川氏・後藤氏救出計画を、政府によって妨害された人物でもあります。
常岡氏は、安田氏が消息を絶つ前、ツィッターで
シリアへ越境したという報告を受けています。(2015/6/20)
常岡氏は、安田氏救出に向かったがトルコで入国拒否。
☪常岡浩介容疑者☪ @shamilsh
安田純平をオムカエに行ったものの、イスタンブールで入国拒否されて、
強制送還されて、今、仁川…
21:42 - 2015年7月12日
そして、その5か月半後、こんなツイートをしていました。
常岡浩介容疑者☪ @shamilsh
安田純平のお仕事がネットに残っていたので、拡散しとくね。
ちんこ切断刑になって帰ってくるかも知れないけど、かわいそうだからね。
http://fb.me/7EI4YkCmH
5:58 - 2015年12月24日
お解りでしょう。
ちんこ切断刑 = 「Mangle + horn」(ずたずたに切られた角)です。
男同士のジョークでございます。
もしこの推理が合っているとすれば、
おそらく、安田氏はこの時点でネットを見れる環境にあったということになります。
②語られなかった" Every man for himself"
ときにそこに何が語られているかを知るには、
そこに何があえて語られていないのかを知ることが、
重要になる場合があるものです。
安田氏のメッセージは、明らかに、この映画のセリフの引用ですが、
ひとつの重要なキーワードが抜けています。
" Every man for himself(仏:Sauve qui peut)"という言葉です。
この言葉は、もともと、船の遭難の際、
指揮官に当たる船長が宣言する「各自独力で避難せよ」という
緊急避難指令に用いられる海の男たちの常套句です。
映画には、時々出てきます。
映画好きの方はご存知かもしれませんが、
ゴダールの映画『勝手に逃げろ/人生』(原題:Sauve qui peut (la vie))は、
この言葉が、そのまま映画のタイトルになっています。
映画『タイタニック』のスミス船長が、
“Women and children first”(WCF)「女性と子供を優先せよ」
と救命艇を送り出した後、男共には、こう命じます。
“Now it’s every man for himself”「今から各自独力で避難せよ」と。
こういう諺もありますね。
Every man for himself, and the devil take the hindmost.
みんな自分で自分を守れ、悪魔は一番後ろの者を捕まえる
③推察まとめ
映画の主人公マングルホーンは、猫と暮らす孤独な老いた男。
その名の通り、男のシンボル「角」を「ズタズタに切られて」しまったように
しょぼくれて生きている。
彼の仕事は「鍵屋」だ。
both the locks and the keys ロック&キー両方を扱っている。
恐ろしいほど単調で無為な日々をただ繰り返す。
彼は過去に囚われた男。彼には暗い過去がある。
40年前に犯した大仕事のために愛する女をあきらめたのである。
彼は宛先のない彼女への手紙を書き投函し続けるが、
郵便局で“returned to sender”の判子が押され送り主に返される。
手紙は開けられることもない。
誰からの便りもない彼の郵便受けには、蜂が巣を作りブンブン唸っている。
彼は、己の心の「己の牢獄」の囚われ人である。
その牢の鍵を閉めるのも自分なら、
開けることができるのも自分なのだ。
ロック&キーをにぎっているのは、マングルホーン自身なのだから。
安田氏の状況は、(安田氏失踪の時系列はこちら)
後藤氏の通訳をしたこともあるシリア人・ムサ・アムハーンに
案内人の手配を依頼したが、
ムサ・アムハーンは、自分の親戚を案内人として紹介した。
越境の後、安田氏は"ならず者集団"に拘束される。
この案内人は、実は彼自身"ならず者集団"の一味であったことを
常岡氏はツイッターで明かしている。
そして、ヌスラは、自分の支配地域で日本人を拉致するという
勝手な行為を働いた"ならず者集団"に怒り、攻撃して、
安田氏を奪取する。そして、現在、安田氏は、ヌスラの管理下に置かれている。
以上のようなことを考え合わせ、
安田氏のメッセージの該当部の隠された意味を推察すると、
これは、主に、安田純平という男の凄さを信頼し続けてくれている、
常岡さんという窓的存在との
ジョーク交じりの交流にかかっているように思われます。
安田氏は"言わねばならないこと"を伝える相手は、
"政府へ"とは特定していません。
"to my country"ですからね。
ここに隠されたメッセージを翻訳すると
こういう↓ことではないでしょうか。
「常岡さん、"ズタズタに切られた角"男です。
しかし、ぼくは、ロック&キーをにぎっている鍵屋です。
日本の国の人々へ
"Every man for himself(自分の頭で考えて自分の身を守れ)" 」
安田さんの持っているロック&キーは、
ジャーナリストとして磨かれた経験値、直観力、判断力、胆力、
そして、言葉も文化も異なる人々と
コミュニケーションを築く、人間力であると思います。
どうか、ご無事で。
帰還後、安田さんが仕事の成果を発表できる日を待っています。
****************
安田さんの Manglehorn から引用したメッセージに
非常にリンクする、
マイケルジャクソンが、パレスチナに捧げた歌
『 Will You Be There 』を贈りたいと思います。
鍵は、心の中にある!
Making: late November 1991, Airport of Santa Monica, CA,
(performance for MTV's 10th Birthday)
(後半部)
Will You Be There
In our darkest hour
In my deepest despair
Will you still care?
Will you be there?
私たちの最も暗い時
私が絶望の底にいる時
あなたはそれでも私を気にかけてくれますか?
共にいてくれますか?
In my trials and my tribulations
Through our doubts and frustrations
In my violence
In my turbulence
Through my fear and my confessions
In my anguish and my pain
Through my joy and my sorrow
In the promise of another tomorrow
I'll never let you part
For you're always in my heart
私が試練や苦難の中にあり
私たちの疑いや挫折を超えて
自暴自棄になり
混乱し
私の恐れや懺悔を通り抜けて
私が苦悩と痛みの中にあっても
私の喜びと悲しみを超えて
あたらしい明日の約束の中で
私は決してあなたを離しません
あなたはいつも、私の心の中にいるのですから
(和訳全文&解説はこちら
*2013年09月08日(日)
マイケルの言葉から見るパレスチナ ~Will You Be There(和訳))