世界は、大きな転換点にあり、
その中で日本はどうあるべきなのか、
日米関係に注目することは、
たしかに重要なファクターだとは思いますが、
しかし、今夜は、全く異なった視点、
鵜飼哲先生が解き明かす、
日仏関係から見えてくる日本の姿を。
安倍とエルドアンが一緒に鑑賞した日本・トルコ合作映画『海難1890』
トルコのエルドアンが「新オスマン帝国主義」ならば
日本の安倍は「新大日本帝国主義」ともいえるように、
二人の愚かな独裁者が、
似通った「復古主義の仮面を被った新自由主義」を指向し、
トルコと日本が醜い協調関係にあることは感じていましたが、
鵜飼哲先生によって語られるような
日仏の親密さ、類似性には、
非常に驚きました。
また、常々、感じていた疑問が
解消されるようでした。
その疑問とは、
安倍の互いに矛盾するようにみえる2つの指向について。
売国奴と言われるほどの「アメリカ追従」。
そして、司馬遼太郎に"薄気味悪いほどの無能"と言わせた乃木大将について強い憧れを表した「「ああ、明治人」という寄稿に顕著にみられるような
「明治回帰」。
この二つは、どう考えてもベクトルの異なる指向ですから、
安倍が、最終的になにを目指しているのか理解し難いものでした。
しかし、鵜飼先生が明言されたように、
―日本政府の隠された究極の政治目標は、
"国連安保理常任理事国入り"―
これは、アメリカ一国追従から脱却し、
国際社会の名誉ある地位を求める、ということ。
また、密かに示唆されたのは、
非常に危険な
―エネルギー資源に乏しい没落した植民地帝国の
「核」への欲望―
なるほど、つまり、安倍が最終的に目指しているのは、
「日本は、保核し、軍隊を備え、独立国になる」ということなのでしょう。
これは、ひとつの視点です。
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2010年の鵜飼哲先生による沖縄アルタ前大学・公開講義 ❤こんな方です!
只今、ロマンスグレーの超ロン毛♪ 織物の「ガーゼ」は、パレスチナの「ガザ」から来ている。
最近いつもパレスチナのストール「ハッタ」を身に付けておられるようです❤ ファンになった❤
鵜飼哲
1955年生。京都大学大学院文学研究科修士。
パリ第8大学に留学しジャック・デリダに師事
フランス文学・思想研究者。一橋大学教授
2015/12/17 京大キャンパスで行われた
「パリ地区6か所同時襲撃事件を考える フランス、世界、日本」
と題された、鵜飼哲先生の講演(IWJ取材)を聞いて、
以下は、私が咀嚼した内容です。
このタイトルには「テロ」と云う言葉は使われていません。
なぜならば、この事件はテロではないと考えられるから。
これを「テロ」と呼ぶことで隠蔽されていることが
何なのかを考えてみるべきだという指摘です。
そもそも、テロリズムという言葉の使われ方はデタラメ。
例えば、フランスのドゴール大統領は、
ナチスからテロリストと呼ばれていましたし、
南アの父・マンデラもアパルトヘイト政策を施行していた
当時の南ア政府や西側指導者らからテロリストと呼ばれました。
日本では、官邸前のデモをテロだと言った政治家もいました。
フリージャーナリストの志葉玲さんの言葉を思い出します。
「どこかの国はどこかの国の人を殺しても罪に問われない。
どこかの国はどこかの国の人を殺すとテロリストと呼ばれる。
不平等ではないか。」
11月13日金曜日にパリで起きた事件は、
「パリ同時多発テロ事件」と呼ぶべきではなく、
なるほど「パリ地区6か所同時襲撃事件」です。
9.11も同じでしょう。
私たちは盛んに使われる「テロ」という言葉の
まやかしに気付かねばなりませんね。
私たちは、「日米関係」の観点から
安倍政治を分析した多くの論考に触れることができますが、
フランス研究者の鵜飼先生のこの講演の「日本とフランス」の視点は、
全く虚を突かれるような刺激的なものでした。
IWJのこの動画は、一般公開されていますが、
如何せん長いので、
ほぼ、同じ内容がインタビュー記事という形で読める
コチラ↓をお読みいただくのも良いかと思います。
http://www.jimmin.com/htmldoc/156701.htm
3時間余りの講演のテーマは、
「なぜ "フランス" が襲撃されたのか?」ということですが、
徐々に読み解かれる毎に、
襲撃の矛先がフランスからクルリと転換し、
日本に向かってくるという感覚を実感させられるような
戦慄すべき内容です。
「フランスかぶれ」という言葉があるように、
日本人は、日本には自由がない、フランスには自由がある。と
漠然とした憧れを抱いています。
しかし、フランスが狙われるのは、
フランスが多文化性に富んだ自由の国だからでしょうか?
たしかに、フランスは、
曲がりなりにも911事件後のイラク戦争を反対した国であり、
イラク戦争は、英米によって国連決議なしに行われた犯罪でした。
しかし、私たちが見落としているのは、
「フランスのNATO復帰」という
フランス外交の大転換についてです。
フランスは、1966年、ド・ゴール大統領の独自路線によって、
NATOの軍事機構から脱退し、
パレスチナ問題についてもイスラエルに批判的な立場でした。
しかし、2009年、親米派のサルコジ大統領によって、
国民に問われることのないまま、
NATOへの全面復帰が果たされるのです。
アラブの春(2010-2012)の時代には、国連決議の元、
フランスは、英米伊とともにリビアに介入しますが、
実際は、仏伊が主導的な役割を担い、
カダフィー殺害に関しては、サルコジの暗躍が疑われています。
サルコジは、大統領選の際、カダフィから資金援助を受けたことを
暴露されるのを恐れていたのですから。
オランド政権(2012年成立-)は、
フランスのアフリカへの植民地主義に反対していたにもかかわらず、
突如、宗旨替えし、
国連決議を根拠に、「テロリズムとの戦争」を唱え、
2013年1月、マリに介入します。
これには、北アフリカからサハラ地域一帯における
米中など大国、周辺諸国による
武器や麻薬、ニジェールのウランなどの利益をめぐる
複雑な暗闘が背景があります。
また、オルランドは、
2014年9月、フランス人登山家がアルジェリアで、
ISを名乗る武装勢力に殺害され、
これを機に、国連決議のないまま、
対IS軍事行動への参加し、
米国とともにイラク爆撃を行いことを決めました。
つまり、フランスは、完全にアメリカと類似した国になり、
マリ・中央アフリカ・イラク・シリアと、
軍事介入路線に深入りしていったのです。
なぜ、多文化が融合する自由で平和な街パリが狙われたのか?
という疑問は、的外れなものであるととは明らかです。
フランスは、
政治的イスラム主義勢力(一般にはイスラム過激派と呼ばれる)にとって、
最も問題となっている "戦争をしている国" なのですから。
現在、オランド大統領は、
非常事態宣言を布告しています。
11月14日に発令(12日間の期限)しましたが、
さらに国会で3カ月延長を決議し、
フランス全土を対象に緊急令は前例のない事態です。
フランスの憲法では、
非常事態には①緊急令、②戒厳令、③全権委任
この3種類が定められています。
オルランドは、憲法改定を行おうとしていますが、
その狙いは、
・緊急事態の延長するときに必要な国会の議決を不要にする
・期限以降もいくつかの措置は延長することができる
・外国の聖戦運動に参加した2重国籍を持つフランス国籍をはく奪する
この改憲案は、国家権力がテロを利用して、
大統領権限を強化、治安管理強化し、
基本的人権を停止する改憲案なのです。
さて、このようなフランスと日本は、
どのような関係をもっていたのでしょう?
実は、日本とフランスは、
フランスの大転換点「フランスのNATO復帰」を境に、
急激に接近していました。
2011年3月30日、サルコジは急遽来日し、
震災の支援表明を行いました。
そして、2015年10月3日、来日したヴァルス首相は、
安倍に対し、「フランスは日本の常任理事国入りを支持する」
と発言しました。
2013年のマリ介入のときには、フランスが自衛隊の派遣を
要請していたことも明らかにされています。
そして、鵜飼先生は、
日本政府の隠された最大の政治目標は、
「国連常任理事国入り」なのだと指摘します。
そうであるならば、フランスは日本政府にとって
この上なく有難い先輩ということになるでしょう。
しかし、国連常任理事国入りすることについて、
私たち国民が一度も入りたいかどうか?問われたことはありません。
みなさんは、入りたいでしょうか?
国連常任理事国というのは、加盟国193か国のうち、
アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国。
そして、常任理事国は「拒否権」という特権を持ちます。
拒否権とは、
一般には、決議された法律・提案された決議・締結された条約その他を
一方的に拒否できる特権のことを言いますが、
国連においての拒否権は、
常任理事国のうち1国でも反対すれば、
他の全理事国が賛成しても否決されるというものです。
これが現在は、悪用されています。
つまり、大国の利己主義を通すため、同盟国擁護のためだけの特権と
なってしまっているのです。
具体的には、冷戦終結後は、パレスチナ問題の決議において、
イスラエル擁護のためにアメリカによって行使されています。
そもそも国連とは、
第2次世界大戦の勝利者である「連合国」が、
勝者による勝者のための平和を守るために創られた機構。
国連は、紛争解決という名の、総動員で行う暴力「戦争」を
自ら許可するところ?
しかも、フランスのNATO復帰によって、
フランスは「米英」vs「露中」のバランスを変えてしまいました。
このような国連を、
地球上で最も巨大な「暴力組織」と呼んで、
どこか違うでしょうか?
アメリカが組長ならば、フランスは若頭、
若頭にチンピラが舎弟・日本に昇格するための推薦状をもらって、
国連という組の出世に絡み、
フランスのシマであるアフリカの権益をめぐる抗争において、
フランス主導の軍事行動に自衛隊が集団的自衛権を行使して
参加することは、想定可能なことです。
今の安倍政権の動きは、
明らかに米国との軍事協力ばかりでなく、
他のNATO諸国との国連決議を受けた中東・アフリカ諸国への
共同作戦に参加することを想定しているのだということです。
安倍もオルランドと同じく
来年参院選後、「憲法改定」を目指すと明言しています。
もちろん、同じく狙いは、
ナチスの全権委任法、旧憲法の緊急勅令制度に
瓜二つな自民党改憲草案の「緊急事態宣言条項」です。
安倍が自衛隊を「わが軍」と呼んだように、
緊急事態に治安の維持に出動するのは、
自民党改憲草案では、「自衛隊」ではなく「国防軍」と化すでしょう。
(※改憲案がいかに禍々しいものであるか、詳しくは、澤藤弁護士・ブログのコチラで)
もう一つは「核」の問題です。
国連常任理事国5か国と重なるのが、
国連で採択された「核拡散防止条約」の元、
核保有を批准されている
アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5か国。
鵜飼先生が「非常に危険な話なので・・」と
声をひそめて語られたのは、
「核」についての話でした。
その危険な内容とは、
―フランスNATO復帰は、
日仏の原子力軍事力協力の深化の原点。
「核拡散防止条約」に違反するイスラエルの核開発において、
資金提供したのはドイツ、
そして、技術援助をしたのはフランス。
日本が核武装することは、アメリカから認められていないが、
もしも、隠れて核開発を行えば、
日本もフランスのようになる可能性があるだろう。―
安倍総理大臣スピーチ【国連創設70周年記念シンポジウム 2015.3.16】