日本人。
といってもいろいろな日本人がいるカナダ。
私のように日本で生まれ育ち、たまたま嫁に来てしまってカナダに住んでいる人もいれば、
日本にルーツがあるけど、日本語を話せず、日本へすら行った事がない”日本人”が多く住んでいるのもカナダです。
私の歯医者さんはそんな後者にあたる日本人。おじいちゃん夫婦がカナダへ移住し、親も自分もカナダで産まれ育った日本にルーツを持つ人です。
若い頃はあまり感じなかったそうですが、年を重ね、子供ができ、すこしづつ自分のルーツを考え始めた時、偶然にもある日子供がこんなことを聞いてきたそうです。
パパは何で日本語ができないの?私日本語を勉強してみたい。
だって私の家族のルーツでしょ?
この言葉はとても心を揺さぶり、日本へ行ってみたい気持ちが膨らんだのだそう。
ちなみに彼のオフィスには素敵な桜の木の油絵がかかっています。
まだ見ぬ国、日本。
その綺麗な桜の木を眺めながら、毎日どんな思いを抱いていたんでしょうね。
そしてついに!家族で日本の土を踏むことになります。
生まれて初めての日本。
ちなみに奥様も同じ日系3世。そして家族全員みーんな日本語理解度0(笑)
先生は私の歯の治療中、日本での珍道中を楽しそうに話してくれました。
旅のプランは 広島、京都、そして東京と2週間の旅。
最初に広島を選んだのは、そこからおじいさんがカナダへ移り住んだからだそうで、
その土地に足を着いたときは、自分のルーツに巡り合えたようでとてもうれしかったそうです。
英語のガイドさんを雇い、原爆ドームなどの観光地を訪ね、
その後京都に移り、ツアーに入ってお寺巡り。芸者さんを見て大騒ぎし、
この時は旅館へ宿泊。野外の温泉に驚いて
プライバシーがない!!!と大騒ぎ。結局部屋のお風呂に入ったそう(笑)
立ち並ぶ高層ビルや、ハイテクな街、東京。
新幹線の速さや、時間の正確さに驚いてみたり、立ち食いソバ屋に入ったとき、
あまりにお隣のカウンターの男性が早く食べるので驚いてずーっと家族でみてみたり、
銀座にえらくカジュアルな格好で行き、あまりの人達のオシャレ度に驚き、
俺たち、なんか、浮いてない???と感じで大爆笑したり....と
かなり楽しい旅行だったそうです。
最後に治療をしながら先生がしみじみと一言。
また時間が取れて....。たぶんきっともう少し年を取ったらまた日本を訪ねてみたいなあ。
ちなみにお嬢さんは帰国後、日本語を熱心に勉強し始めたそうです。
よかったね、先生。自分のルーツにたどり着けて。
今度の診察は日本語でもOKですよ(笑)