siennaさんが、ショートトラック競技におけるISUの新ビデオ判定システムについての記事をリブログして下さっています。

リブログ先の方は、ISUの記事を和訳紹介してくれています。

 

ここからわかったことは、

  • ショートトラック競技においては、ファン、観客そしてチームに、透明性が高く明確な判定を提供する新ビデオ判定システムを、2018年11月より導入した。     
  • それまでは、審判の判定に使用していたカメラが、メディアが放送に使用していたカメラとは別のものを使用していたため、メディアや観客が混乱した。
  • 審判が判定に使用する映像をTV局の放送にも使用する、新たなシステムを検討することになり、平昌オリンピック後にISUはこのシステムを採用した。
なーんだ、ISU、出来るんじゃないですか。
ショートトラックで出来て、フィギュアスケートで出来ない理由はないですよね。
 
siennaさんが2019年6月14日のブログ「UR基礎点アップについてなど。ラケルニク氏インタ露→英→和訳(部分)」で翻訳紹介して下さった、ラケルニク氏のインタビューの中に以下の興味深いやりとりがある(他も全て興味深いのですが)。
 
-------
 

Q:サッカーやテニスで行われているようなビデオリプレイをフィギュアでも行うことを支持しますか?

 

A:しかし、それはもうやっている。ジャッジは通常速度で、テクリニカルパネル(TP)はスローモーションでリプレイを見ている。使用されるのは試合進行中で、しかもしばしば使われる。機器の解像度改善が必要かどうかという問いはある。反対側に2台目のカメラを置いてはどうだろうか。しかし、費用は? 結局問題は常に、費用と質の比率ということになる。

 

Q:私が聞きたかったのはリプレイの公開についてです。(中略)テニスでは誰もがボールの着地地点を見ることができます。フィギュアでも観客が決定を理解できるよう、ジャッジが見ているのと同じ映像を見ることは可能ですか?

 

A:分からない。それが必要かどうかも分からない。もし大勢が同じものを見るようになったら混乱が起きる。あまりにもたくさんの意見が出るだろう。我々が尽力すべきは、TPの仕事の質や同一のアプローチだ。観客と一緒になってオープンに議論し始めるのはどうなのか…。観客は、このジャンプは回転不足だった、など結果を見ることができる。プログラムにつき11本ジャンプがある。何回のリプレイが行われることになるだろう?

 

--------

 

カメラを増やすのは、費用対効果(費用と質の比率)の問題だと。
これをどう解釈すればよいのだろう。
カメラを増やしても判定の質は上がらないと言っているのだろうか。確かに単にカメラを増やしても人が見るべきものが増えて混乱するだろうが、システム化すれば問題はない。費用はかかるだろうが。つまり、余りお金をかけたくない、と言うことか。
 
そして何より、そうするメリットを認めていないように聞こえる。
  • 必要なのか?
  • みんなで同じものを見たら混乱が起きる (←なぜ? 今は同じものを見られないから混乱が起きるのだと思うが)
  • 観客が議論し始めたらリプレイばかりすることになる。時間がかかる。(観客でなくとも選手とコーチが疑問を呈したときだけでもいいのだが)
ものすごく消極的な回答に感じる。
 
でも、一方でISUは、ショートトラックにおいて、「ファン、観客そしてチームに、透明性が高く明確な判定を提供」できている。
 
つまりISU(少なくともラケルニク氏)は、フィギュアスケートの「ファン、観客、チームが、透明性が高く明確な判定」を求めていないと思っているのである。
 
それでは、求めていると言うことを知ってもらわなくてはならない。
 
ISUにジャッジシステムの向上を求める嘆願書に署名した方は、2019年10月8日17:00現在4,308名(2019年9月23日開始)(ISUへの嘆願署名については10月2日のブログに書いた)。

 

嘆願書のページにMapという機能があったので見てみたら、署名した人がとてもグローバルだった。
 
大変な時期だろうに、香港から署名している人もいる。イランやイラクの人までいる。羽生くんは世界中で愛されている。あっ、もちろん、この嘆願書には羽生くんのはの字も入っていませんが。日本からは1,381名。
 
この嘆願をどうかISUが意味あるものと認めてくれますように。
 
そしてもちろん、テクニカルパネルの仕事の質や同一のアプローチに関しても、引き続き10倍くらい熱心に尽力をお願いしたいと思う。