イスラエルの人々が神様に礼拝を捧げ、また前章までに様々な捧げ物を神様にささげる時に、祭司という職業の人々がその祭儀を行うように神様はモーセに命じられました。アロンという人はモーセの兄弟で、彼と彼の一族がこの祭司として任職されるということが記されています。またモーセもアロンもイスラエルの12部族の内のレビ族の出身です。イスラエルの歴史の中で、このレビ族は祭司や祭儀の執行のための補助的な役割を担う人々、つまり彼らは幕屋(王国成立時代には神殿)での働きのために、特別な役割を神様から与えられていました。
この章では、モーセがアロンの祭司としての任職式を民全体の前で行い、民に向かって「これは主の命じられたことであると言った。」(5節)とあるように、これが神様の命令であることを宣言しています。その後、水でアロンとその子らを清め、まずはアロンに祭司の装束を着さえ、さらに聖別の油の一部を幕屋とその中のすべてのものに注いで浄め、アロンの頭にも注いで聖別し、その後アロンの子らにも装束を着させます。(6-13節)アロンの祭司の装束については出エジプト記28章と39章に記されています。その後、祭司の任職のための贖罪の献げ物、焼き尽くす献げ物、そして任職の献げ物が捧げられ、その後任職の食事がなされます(31節)これらは7日にわたって行われたと記されます。また任職の献げ物の時には献げ物の血をアロンのとその子らの体の一部に塗ること(23-24節)、彼らに振りまくこと(30節)がなされ、血により聖別することが記されています。これらの儀式はすべてモーセが執り行い、この式が済むと、アロンが正式に祭司としての祭儀を執行するという働きに就くことができ、通常の献げ物の儀式を彼が行うことになります。その初執行の様子が9章に記されています。まず祭司であるアロン自身の罪が赦されるための献げ物(贖罪の献げ物、焼き尽くす献げ物)を捧げてから、民の罪を贖うための儀式(贖罪の献げ物、焼き尽くす献げ物、穀物の献げ物、和解の献げ物)を規定に従って行います。そしてそれらが終わると、アロンは手を挙げて民を祝福したと記されます(9章22節)。モーセとアロンはまた幕屋に入り、その後出てきて再びアロンは民を祝福すると、主の栄光が民全体に現れたとあります(9章23節)。祭壇上で献げられたものが火で焼きつくされたとあり、つまりこれらの献げ物が神様に受け入れられたということの徴となり、民はそれを見て全員喜びの叫びをあげ、礼拝したとあります。この「アロンが…民を祝福した。」(9章22節)とありますが、その祝福の内容はここでは記されていませんが、おそらく民数記6章22-27節の内容と関連するとされます。そしてその民数記の祝福の言葉は、教会の礼拝で牧師が祝祷という形で、神様からの祝福が礼拝に参加している人々にあるようにというお祈りをする時、民数記のこの箇所が用いられることがあります。