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エッセンシャル出版社のブログ

本質を共にワクワクしながら探求し、共にワイワイと創造していく出版社です。主に育児・教育・子育てに役立つ内容をアップします。「今までにない新しい視点」の本、「自分と対話する」ための本、「人生が変わるきっかけ」としての本を生み出すことを目指しています!!

福岡市長 高島 宗一郎氏 × 花まる学習会 代表 高濱 正伸『アヒルちゃんの夢』出版記念対談「これからの時代を生きる子どもの夢の叶え方」

 

 

「アヒルちゃんの夢」

水かきの小さなアヒルちゃん。 水かき競争ではいつもビリ。
でも、アヒルちゃんは空を飛ぶという夢があるから、気にしていません。
空を飛ぶという夢をかなえるために、体育の先生に聞いたり、親に聞いたりして、飛ぶ練習をたくさんします。
でも、なかなか飛ぶことはできません。
そしてついに、アヒルちゃんはケガをした先の病院の先生に「アヒルちゃんには空を飛ぶことはできないんだよ」 と教えられ、悲しくなってしまいます。
アヒルちゃんが泣いていると、そこにはスーパーぶーちゃんが登場。
スーパーぶーちゃんの今まで聞いたことがないアドバイスにより、アヒルちゃんはこれまでのやり方を大きく変えて、再び夢に挑戦することになるお話です。

新時代の夢のかなえ方。
夢をかなえるためには、発想の転換が必要であること。
大人こそ、発想の転換が必要であることが学べる絵本です。


【著者・高島宗一郎の制作における想い】

価値観は多様になり、技術革新はものすごいスピードで進む中で、子どもたちへの教育は適切にアップデートされているのか。大人が既成概念に縛られ価値観も変わらない中で、子どもの夢を邪魔する存在になってはいないか。親子で考えるきっかけになればとの思いで、アヒルちゃんを主人公にした絵本を描きました。
多くの親子にとって考えるきっかけになれば幸いです!

私は政府の教育再生実行会議のメンバーとして、例えばコロナ禍でのオンライン授業や少人数学級を進める上での政府の予算措置と運用についての議論などには参加しました。そうした経験の上でも、日本の公教育については、戦後から続く重たい足かせと積み重ねられた歴史がある中で、細分化された各種諮問機関や教科書検定、入試、教員養成など多くの制度が運用されています。それに伴って複層的でさまざまなステークホルダーによる公教育の仕組み(巨大なエコシステム)が形成されており、これを改革していくことの実質的な限界も感じていました。

ただせめて「このままでは良くないんだ」というメッセージだけは、個人的にでも親世代や子どもたちに直接伝えたいと思い、絵本という方法で表現してみました。

中学を卒業以来、今年の1月に画用紙を買って絵を描いたことをきっかけにこのアプローチを閃いたのですが、何せ中学校の時の美術の成績は10段階中2という評価を下されているくらいなので、見ての通り絵は愛嬌ですが、タッチを味わいつつ、ストーリーとメッセージを中心に読み進めていただければと思います!

 

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【著者プロフィール】

高島宗一郎
福岡市長


2010年36歳で福岡市長に当選。2014・2018・2022年といずれも史上最多得票で再選し現在4期目。
2014年、国家戦略特区(スタートアップ特区)を獲得、スタートアップビザをはじめとする規制緩和や制度改革を実現する等、数々の施策とムーブメントで日本のスタートアップシーンを強力に牽引。福岡市を開業率4年連続日本一に導く。
規制緩和で誘導する都市開発プロジェクト「天神ビッグバン」等の経済政策で、7年連続で税収過去最高を更新。
熊本地震の際には積極的な支援活動とSNSによる情報発信等が多方面から評価され、博多駅前道路陥没事故では 1週間での復旧が国内外から注目された。
2017年日本の市長では初めて世界経済フォーラム(スイス・ダボス会議)へ招待される。
教育再生実行会議有識者、デジタル臨時行政調査会構成員、行政改革推進会議構成員、対日投資推進会議アドバイザー等、政府の会議メンバーも歴任し、自治体現場から日本を変える提言に注力。

 

これからの時代、ますます多様性が認められる社会になっていき、今まで「自分らしさ」を出さないようにしていた人たちも、「自分らしさ」を出すことが求められていくでしょう。

同じ、□と□の部分を組み合わせるより、それぞれ違う、凹凸をうまく組み合わせる方が、より強いタッグが組めるチームができるという考え方は、さらに大切になっていくのではないでしょうか。

今回は、「自分の凹凸を認識し、さらけ出す」という視点を考えていきます。

■CROSS VIEW「自分の凹凸をさらけ出す」


"自分の凹凸をさらけ出す"という点について、『オフ・ザ・フィールドの子育て』の著者であり、ラグビーのコーチを教えるコーチをしている中竹竜二さんと、「パートナー力」という考えをお持ちの花まる学習会の代表、高濱正伸さんの視点を掛け合わせて、クロスビューしていきます。

 

 

1 自分らしさに良し悪しはない

 

中竹竜二さんは、「自分らしさに良し悪しはない」ということを体現されている「コーチを教えるコーチ」です。

全てを、自分らしさ、その人らしさと認められる人の特徴として、「自分自身の凹んだ部分を認識し、さらけ出せる」という点があるのではないかと思います。

中竹さんは、ご自身の経験をこのように語られています。
 

自慢ではありませんが、私はたくさんの失敗をしてきました。まず早稲田大学ラグビー部監督になった1年目、大学選手権の決勝戦で負けました。そのときは、「私のせいだ、中途半端だった」と思いました。その反省もあって、2年目からは1on1(ワン・オン・ワン/定期的に一対一で話し合うこと)を格段に増やして、選手たちの話をじっくりと聞くことに徹しました。特定の選手だけではなく、スタッフを含めた全部員とです。人はそれぞれの可能性を持っているので、その人なりの力を出してほしいと考えてのことでした。

思い起こせば、前監督は強烈なリーダーシップでチームを引っ張っていました。そこから突然、「自分たちで考えて!」というスタンスの監督に変わったわけですから、就任1年目は難しい部分があったと思います。なにしろ、自分で考えることを求められなかった人間にいきなり考えろと言ったって、それは簡単なことではありませんから。そのお膳立てが自分にはちゃんとできていなかったな、という反省がありました。そういう思いが強くて、1年目で負けたときには、人目もはばからずに初めて泣いて謝りました。

2年目は覚悟を決めなきゃいけないと思い、相手の話に耳を傾けながら、自分からも要望を出すようにしました。
「私は、いわゆる監督としてはまったくの素人でダメな監督だ。しかし、選手であるみんなを信じて、任せて、一緒に成長していく気持ちは誰にも負けない。だから、君も背伸びをせず、自分らしく一緒に成長してほしい」

そんなふうに、ひたすら言い続けました。そうしたら、選手のほうがどんどん成長して、最終的には「俺たちが監督を胴上げしてやる!」となりました。

面白かったのは、監督就任3年目に私がメディアから叩かれた時期があって、私ではなく選手たちが、「メディアごときに言われたくないよ」と怒ったことです。

彼らは普段から私の悪口をたくさん言ってるんですよ(笑)。それなのに、「オレたちが言うのはいいけど、あいつらに言われるのは腹が立つ。こうなったら監督を勝たせてやろうぜ!」という発言が出たんです。そのときに、「あ、これってチームだな」と思いました。

私は、背伸びせずよかったなあと思いました。正直、1年目は選手たちとそこまで深い関係性を築くことはできませんでした。2年目に優勝したときには、1年目をともに過ごした選手たちにひたすら感謝しました。1年目の経験があってこその優勝だと。

相手を信頼できるのであれば、恐れずに自分らしさをカミングアウトしてみたらいいと思います。

『どんな個性も活きるスポーツ ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』中竹竜二著


コーチ、監督という立場でなかったとしても、チームメイトや相手を信頼しているのであれば、恐れずに自分らしさをカミングアウトすることが、相手の心も開く大きな一歩になるのではないでしょうか。

この点については、「教えない先生」として、全国から視察が殺到するカリスマ教師、『いま、ここで輝く』の主人公である井本陽久先生も同じように仰っています。井本先生は、「自分自身は、かばんのチャックはほとんどいつも開いていて、忘れ物も多くて、典型的にお母さんが口うるさく子どもに言っていたことを残したまま、大人になっている」ような先生です。
 

僕は子どもの頃から、「変わっているね」「ちょっと変だね」と言われると体の芯から嬉しくなるタイプでした。小学校の頃は本当に「やっちゃダメ」と言われることを絶対にやりたくなってやってしまうような子どもです。

落ち着いて座っていることもできず、片付けもできず、それを通知表に書かれるとまたそれが嬉しい。外で友達と遊んでいると、その子のお母さんが来て、「コラッ、はるくんと遊んじゃダメって言ったでしょ!」と言って連れて帰ってしまう。
 

 

 

 

井本先生の自分のありのままをさらけ出している様子は、井本先生が出演され、大きな反響を呼んだNHK番組「プロフェッショナル・仕事の流儀」でも垣間見ることができます。

 



2  強烈な凹凸、個性があるからこそ強いチーム、パートナーになれる


花まる学習会の高濱正伸先生は、重複障害の息子さんをおもちで、津久井やまゆり園の事件のときに、犯人が言った「障がい者は必要ない存在だ」という発言について、深く考えられたそうです。

各種メディアを見ても、結局、納得のいく意見はなく、高濱先生は考えに考えた末、「パートナー力」という結論に至ったと言います。

 

 

 

「テレビ寺子屋」という番組では、このように述べられていました。

私の息子は重複障害を持っていて、一人で何かを成し遂げる力はありません。
私は10年余り、非常に真剣に子どもの面倒を見てきました。私自身は大学受験で三浪し、大学院を卒業するまで四年留年しています。29才まで真面目に物事に取り組んだ覚えがありません。面倒を見てあげなければ生活できない息子の存在が、そんな私に真面目に生きる姿勢を教えてくれたのです。

障害を持つ人がその人単体で能力を発揮できなくても、親や周りの人と組む事によって影響力を持ち、人を動かし、大きな力となる事があります。

これを私は「パートナー力」と呼んでいます。

https://www.sut-tv.com/show/terakoya/backnumber/post_428/
テレビ寺子屋HPより抜粋


高濱先生にとって、息子さんは「凹んでいる部分」をさらけ出して、生きている存在なのかもしれません。だからこそ、一緒に強いチームを作っていけているとも言えそうです。

 

(まとめ)


■相手をまるごと承認するためには、まずは自分自身の”凹凸””らしさ”を認める

■自分の凹凸、らしさをさらけ出す。勇気をもってチームに共有する
↓ 
■この状態でこそ、やっと相手を丸ごと承認できる

■相手は伸ばされるのではなく、勝手に伸びていく

 

「これからは多様性の時代」と言われることに、多くの方は異論はないと思います。しかし、多様性を大事にしようと言いつつ、「普通に、普通に」、「角が立たないように、角が立たないように…」という思いから抜け出しにくいのも、また、事実だと思います。

凹凸がある方がチームを組みやすい、強烈なタッグを組みやすいということは、私たちにとって、大きな勇気になります。そして、「弱さをさらけ出せることが一番の強さ」という言葉も生かして、自分の凸凹をさらけだすための一歩を踏み出してみれば、きっと、違う景色が見えてくるかもしれません。


 

【参考著者】

 

―中竹竜二( Nakatake Ryuji )

 

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株式会社チームボックス代表取締役
日本ラグビーフットボール協会理事
 

1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。
著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』(CCCメディアハウス)など多数。
2020年、初の育児書『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』を執筆。

 

 

◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
[目次より]
1章■「自分らしさ」を見つければ、可能性はずっと広がる!
人を育てるための第一歩
自分との向き合い方、振り返り方
「好き」と「得意」は分けて考える
弱さをさらけ出すことを恐れない/「自分らしさ」を見つける方法 ……ほか

2章■off the fieldで子どもを伸ばす親の6ヵ条
親が陥る間違った「期待」のかけ方とは?
成功している未来の自分に会いに行く
子どもを伸ばす親になるための6ヵ条
成長の度合いを測る方法 ……ほか

3章■自他ともに成長するための「フォロワーシップ」
全力でフォローする人がいるチームは強い!
全員がリーダーになる必要がある時代
ラグビーが多くの人に感動を与えた理由
型破りなキャプテンとともに学んだ1年 ……ほか

4章■特別対談vs.高濱正伸さん
 

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自分の凹みを認めることで、広がるミライ

 

 

 

こんにちは!エッセンシャル出版社の小林です。
 

今回は、私が前職で見ていた子どもの話をしたいと思います。

 

【プロフィール】
大学卒業後、年中~小学校6年生までの子を対象とした塾、花まる学習会に入社。将来メシが食える大人になること、魅力的な人になるということを教育理念の事業で、授業や野外体験の引率などを行う。授業など子どもたちに関わる傍ら、広報部、講演会事業、ブロック責任者などあらゆる業務にも携わる。現在はエッセンシャル出版社で、本づくり、広報など、出版業に関わる全てに携わる。
エッセンシャル出版社: https://www.essential-p.com/

私が以前、子どもに授業をしていた時のことです。

毎年4月に、担当教室が変わるのですが、そこに6年生の男の子R君がいました。信頼関係を築くという意味でも、6年生はリミットが1年しかありません。小学校最後の1年(6年生で卒業となる塾)を私が見るからには、早めにその子との信頼関係を築き、学習面や生活面など何かしら伸びる状態にしたいと思っていました。
 

R君はその中でも、気がかりな子だったのですが、何が気がかりかというと、「4,5月通ったら辞めるかもしれない」という話を聞いていたのです。何かしら伸び悩んでいた状態なのはわかったのですが、そのタイミングでの担当教室の交代だったのです。R君は、授業に来ても下を向いてしまっていたり、受け答えをなかなかしてくれなかったり、たまに授業をさぼることもありました。さらに学力の面でも、まだ2年生の漢字テストが合格していないという状態でした。


私はどうしたものかと考え、とにかく「話そう」と思っていろいろと話しかけるのですが、大人に話しかけられ続けるのが「うざったい」という様子でした。授業中も下を向いて「眠い」というのですが、本当は「何かがわからない」ということなのだと思いました。R君が「ねむい」と下を向くタイミングがいつなのかを見て、もしかしたら「文章が読めないのか?」と想定し、音読のときにはR君は読まないように指導の形を変えることにしました。


ただ、そんな配慮の策では、R君との信頼関係を築けるわけもありません。算数の授業も「先生が声に出して、こういう問題だって」と言うとすらすらと式をつくって答えますが、自分一人では全くやれないのです。ここでポイントなのは6年生としての計算能力、式の理解能力は長けているということです。(ただ、テストの点数を見る限りは、国語も算数も全くとれていないのです)


私は一つの仮説を立てました。学習の理解力がないのではなく、文字が読めないのではないか?ということです。


そこでR君に漢字テストを皆が受ける期間とは別に、ちょっと受けてみないか?という話をしました。R君の過去のテストの点数は知っていたのですが、答案を見ていなかったので、得意なところ、突破口として何があるのかが掴めていなかったのです。


R君のプライドとしても、他の子が6年生(遅くても5年生)の漢字テストを受けている中、2年生の漢字テストを受けるということは、許さなかったと思います。だから授業後に、R君だけ残ってもらってテストを受けてもらう提案をしました。


嫌がっていましたが、それでも教室に通ってくれている=できるようになりたい!という思いが少しは残っている!と信じ、無理やり受けてもらいました。


当たり前ですが、結局、合格点には至りませんでした。でも、そのテストを見て、気づいたことがあったのです。


「読み」はできるということ。

ただ、書きや音訓、書き順などはボロボロということ。


それに気づいて、聞いてみました。

「Rって、読みはできるんだね。漢字を書くってことが苦手なだけなんじゃないの?」って。

R君は、黙っていました。


「この級、読みは全部できているから、次の級のテストも受けてみない?読みだけでいいから」と言い、次のテスト(3年生)を受けてもらいました。

そうしたら、こちらも読みはほとんど満点なのです。


どんどん次のテスト、次のテストとやっていくうちに、4年生の漢字の読みから、少し怪しくなってくることがわかりました。

よく考えてみれば、R君は小説や漫画をよく読む子なのです。文字が読めないわけがありません。私の最初の読みは外れていました。

 

R君は「文字は読める」ただし、漢字テストではことごとく悪い点を取ってきたが故に、「漢字はできない」となってしまい、4年生以上の漢字は読みも曖昧なものが増えてしまった。だから6年生の国語の文章や、算数の文章題も言われれば理解はできるけれど、自分で読むのは難しいという状態になっていたのです。


それがわかった時、突破口が見えた気がしました。

 

R君の読める漢字を増やしていけばいいのです。何としても6年生の漢字は全部読める(音訓、熟語も含めて)という状態にしてあげれば、算数の問題だってできるようになるし、国語の問題も読めるから答えられるというところまではなるはずです。勉強面だけでなく、社会に出たときにも、パソコンが発達した現代であれば漢字を正しく書くのが難しくても、「読める」というだけで、生きていける可能性が広がるのではないかと思ったのです。
 

私は、これはR君にとってある種の試練だと思いました。今まで、できない自分を認めずに逃げてきたのです。学校の漢字テストもその他のテストも「悪い点数」というものしか出てこず、自信を失うことだらけだったのですから。それは嫌にもなるでしょう。


でも、人それぞれ得意不得意は違います。漢字の練習なんて、回数には何の意味もなく、自分が覚えられる方法を見つけることこそが重要なのです。「五感を使った方が覚えられるから」ということも言われますが、それだって千差万別なのではないかと思います。五感の何に優位があるかというのだって、人それぞれなのですから。


私はR君に対して、「先生は、Rが漢字ができないわけではないとわかった。算数の文章題も解けないわけではないと思う。国語の文章に対する理解力もあると思う。でも、それを阻んでいるものも予想がついた。なんだと思う?」

R君は黙っていました。


「先生からは、Rは漢字を書くというのが苦手なんじゃないかと思うけどどう?」と聞きました。

本来、子どもに「苦手」という概念を与えてはいけないと言われていたのですが、これはR君が自分自身の特徴として向き合うべき課題だと捉えて、あえて使いました。


R君は黙っていました。

「来週は4年生の漢字テストをやるね。読めるようにしてきてね。読めるようにするためには、多分、Rの場合はこの漢字辞典の例文を2,3回読めばできるようになるんじゃない?」とだけ伝えておきました。

次の週、R君は、4年生の漢字も読めるようになっていました。


また聞きました。

「先生は、Rは漢字ができないと思わないけど、どう思う?」

R君は黙っていました。私が何を求めているのかわからなかったというのもあると思います。


これを3回くらい繰り返したとき、やっとR君が言いました。


「僕は、漢字は読めるけど、正しく書けるようにするっていうのは、なかなかできないのかもしれない」と言いました。

私はその言葉を待っていました。自分で自分の「できない」を認めることを。


その後、R君に伝えました。

■人には得意不得意があること、自分が覚えやすい方法、できるようになる方法を見つけることこそが勉強。そのためには、自分の不得意を自分でわかって、その対処方法を探すことの方が重要だと思うこと。

■R君は今まで、学習において自信が持てなかったと思うけど、それはわからない漢字が多くて、読めなかったから。理解力がないわけでもないこと。

■漢字の書きができないとは言え、自分の興味のある電車に関する漢字は書けているし、少しずつ書ける漢字も増えてはいるから、そこは絶対に書けないと思わず、覚えるのが苦手くらいに思って努力は続けること。

■もしかしたら、テストの点数はとれないかもしれないけれど、気にする必要はない。テストで気落ちして勉強をしないのではなく、自分らしく伸びていくことを選んでほしい、と。

R君が劇的にテストの点数がとれるようになったということはありませんでしたが、R君は、自分の勉強方法を探すことに夢中になり、大好きな歴史上の人物や出来事を漢字で書けるようにするために、辞典をもとに毎週テストをするようになりました。


自分の凹みを認めることから始めれば、
自分の凹みすらも強味に変えていける。


テストで点数が取れないと当たり前にがっかりしてしまいます。でも、テストは他者が作った、ある一部の能力を図る評価基準です。

これからの時代は、自分の凹凸がわかったら、その凹凸を生かした、自分なりの伸び方を見つけてほしいと思います。

 

 

自分の凹みを認めることから始め、
自分の凹みすらも強味に変える、
そんな多様な社会での強い生き方がわかる書籍があるので、ご紹介しておきます。

 

 

 

『オフ・ザ・フィールドの子育て』より抜粋
強いチームというのは、仲間同士がお互いの「らしさ」や、「好き・得意・苦手」を理解しているものです。

早稲田大学のラグビー部に林という選手がいました。林の運動センスは、同じく運動センスのない私もビックリするぐらいのレベルの低さでした。ボールを取ろうとしても落とすし、味方のサポートをしているだけなのに一人で勝手に転んでテレビ画面から消えたりする。まるで漫画みたいな失敗をたくさんする選手でした。

でも、林だけが1年間全試合に出場しました。背番号8は、彼の不動のポジションでした。なぜなら、彼には強烈な武器があったからです。それはタックル。これがすごかった。どんな大きな相手でも、ひるまずに向かっていきます。

でも、その武器を彼が最初から持っていたわけではありません。ほかのことができないから、一切の練習をタックルに注いだ結果、強烈な武器になったのです。

私は林に、冗談ではなく本気で「ボールに触るな」と言いました。最初、林は意味がわからないという顔つきでした。それもそのはず、誰だってラグビーをやっていて楽しいのは、ボールを持って走ることだからです。それなのにボールに触らないでどうやってプレーするんだろう?と不思議がっていたのです。

「ラグビーは15人でやるスポーツだ。林が一人でやっているわけではない。林には林にしかできないことがある。そこを徹底してほしい」と私は言いました。じつのところ、「僕はどんなプレーでもできます」という選手のほうが、使い道を見つけるのに困ることがあります。凸凹は、でこぼこしているからこそ、がっちりと組み合わさることができるのです。

林の弱点は、チームメイトたちもよくわかっていました。だから、林がボールの近くにいてもボールを回しません。ところが、相手のチームはそんな事情を知らないので林をマークする。そうすると、うまい具合にダミーになって、相手のマークを一人つぶすことができる。味方はみんなわかっているから、「あうん」のサインプレーが成り立つ。一方で、林が万が一ボールを持ってしまったら、全員で必死にフォローしようとするのです。

守りに入ったときには、どんな大きな相手が来ても、林は一発のタックルで倒すことができます。100㎏を超える敵のエースがボールを持ったら、普通なら二人がかりでタックルしなければならない。しかし、そこに林がいれば一人で充分です。

そうすると、味方は次の選手へのマークを意識することができます。ここでも暗黙のサインプレーが生まれました。
人は嫌いなことに向き合うとストレスを感じ、嫌いなことを人前でやるときなどは過度のプレッシャーにさらされます。なかには、「イヤなことを克服してこそ成長する」などと言う人ももちろんいますが、そういうタイプの人は、おそらく誰よりも負けず嫌いで、もしかしたら過去に弱点を克服して成長できた経験を持っているのかもしれません。しかし、多くの人にとって、ストレスや無駄なプレッシャーは失敗する確率を上げ、結果的に取り組む意欲を削いで成長を阻む要因になるでしょう。

でも、「嫌いなこと、不得意なことに焦点を当てる」ことで、それが「その人らしさ」につながる可能性もある。林のように。彼は自身の欠点を逆説的に活かしました。

自分の「好き・得意・苦手」を知りましょう。するとその延長線上に、それまで自分には見えていなかった「コンプレックス」があることに気づくかもしれません。

もし、自分の子や職場の部下の行動などに対して、イライラしたりヤキモキしたりすることがあるとしたら、それはあなたが気づいていなかった、あなた自身のコンプレックスの裏返しなのかもしれません。

原因は相手ではなく、自分のほうにあるかもしれない―― そのことに気づけなければ、状況を変えることはきっと難しいでしょう。自分の「好き・得意・苦手」を知ることは、その最初の一歩になると思います。


◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆

本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。
教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ"である中竹竜二氏。
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、
「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。
改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。

“サンドウィッチマン推薦! "
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。
「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」

 

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございました!

 

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