「調律が狂った」とご指摘を頂くパターンとして、

●1音で弾いて狂っている(ユニゾンが狂った)
●オクターブや和音が狂っている(湿度変化でオクターブがずれた)
●音色がばらついている(湿度変化で当たりがずれた)

…が多いと思いますので、
連載で、ひとつずつ私の考えをお伝えします。







ピアノの音の多くは、
1音につき弦が3本で鳴っています。
この3本の鳴り方を揃えることを
調律師の間では「ユニゾン」(=同一音)と呼んだりします。



ピアノは常に変化しているので、
音も変化していきますが、
「楽器として使える範囲」の変化を越えたとき、
それを「狂った」と呼ぶことが多いようです。 
(その判断基準は人によりそれぞれです)



ユニゾンがひどく狂うと、
音がビヨヨヨヨ~ンという鳴り方に…
いわゆる「音が開いてしまっている」状態です。

あまりにも狂っていると
音色を作ったり、音を開いたり閉じたり、
そういうことは何もできなくなってしまいます



ユニゾンは狂わないに越したことはないのですが、
では、どういう時に狂ってしまうか。

それは弾き手の欲しい音が出ないとき、
その音を出そうと、
ピアニストを普段より頑張って弾かせてしまった時だと思います。



これは、先日のブログにも書きましたが
調律師合わせ過ぎてしまって音が伸びない
また音が抜けないなどにしてしまった時のあるあるです。

調律師としては、
狂わないようにぎっちり合わせていきたくなるのも
わかる気がしますが、
それによって、結果として「使えない調律」
なってしまったのなら、
ピアニストご自身が そのロックを解除しようと
調律を崩しにかからざるを得ないという、
悲しいすれ違いが起きてしまいます。

調律は、ピアニストのためにピアノの準備をする仕事です。



そうならないよう、私が気を付けていることは、
自然な音の出方伸び方消え方になるように」
です。
ルールは大切ですが、
下手に仕付けられてしまっては、
何もできません。



とは言え、調律師の間では
「ユニゾンで始まり、ユニゾンで終わる」
と言われている通り、
これは仕事を続けていく以上、
一生追い続けていくものだと思います。 
私自身、もちろん研鑽中です。




※ユニゾンの狂う理由としては、他にも
ハンマーフェルトと弦の合わせがうまくいっていない場合や、
単にスキル不足で安定が良くない場合など、
色々考えられることはありますが、
ここでは私が一番注目している理由について
お話しさせて頂きました。










モーツァルトのピアノ協奏曲20番が好きで
いくつかCDを持っているのですが、
アンダの演奏を聴くことが多いです。
なぜかというと、ピアノの音が聴こえるからです。

皿洗いしていても、アンダのピアノは聴こえてきます。










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