全国医学部長病院長会議が2025年9月30日に公表した「2024年度大学病院の経営状況」によれば、大学病院全体で計508億円の赤字。
大学病院や公立病院の多くが、まさに火の車のようです。
原因はさまざま考えられますが、やっぱり国や厚労省が本気で改革してこなかったツケが大きい。ここは「聖域なき見直し」を腹をくくってやるべきだと思います。
知り合いの大学教授が教えてくれたのですが、医療機器はメーカーの“言い値”で買わざるを得ないのが実態だそうです。今は改善されつつありますが、病院側は価格比較のノウハウが乏しく、普段から付き合いのある業者から買うのが当たり前。大量生産品でもないため単価は高止まりし、「妥当かどうか」を検証する術もありません。国立大学病院なら、国が一括購入する仕組みをつくるだけでもだいぶ改善されるのではないでしょうか。
さらに見逃せないのが「薬剤費」。
日本では医薬分業が進み、病院は処方箋を出し、調剤は外部の薬局が担います。安全性向上が目的だったのですが、現状は調剤報酬が膨張し、薬を分包するだけでも加算がつく仕組み。ICTや自動調剤の導入を進めてコストを抑えるか、大病院だけでも院内薬局を復活させるくらいの見直しは必要だと思います。
そして製薬メーカー。研究開発費の回収は理解できますが、営業経費が薬価に上乗せされ、利益率が過剰になっている印象は否めません。MRが全国の病院を回る旧来型の営業スタイルは、もはやコストの無駄。
薬価引き下げや共同購入の仕組みを強化すれば、国の医療費も相当圧縮できるはずです。
「じゃあ診療報酬を上げればいい!」
と思われるかもしれません。
しかし以前、中医協の偉い先生が言っていたのは「診療報酬を単純に上げれば、医療費全体が膨らむだけ。どこかを減らさないとバランスは取れない」という現実。なるほど、介護報酬もある以上、そんな単純な話ではないみたいです。
個人的に驚いたのは、3ヶ月以上在留する外国人にも日本の健康保険が普通に適用されること。
私が欧州に住んでいたときは、外国人はプライベート保険加入が当たり前でした。なぜ日本はここまで手厚いのか?これは一度立ち止まって考える必要があると思います。
批判があるかもしれませんが、私は、高齢者の自己負担は早々に2割にすべきだと思います。高収入の方なら3割でもいい。
また、最近は若者でも多いのですが、命に関わらない病気、たとえば風邪や「ちょっと気になるから」の通院を繰り返すケースには、累進課税的に負担率を上げる仕組みがあってもいいと考えています。 月3回以上は割増、くらいの設計でも。
2025年度は防衛費が前年比で約2兆円増額しています。もちろん安全保障は大事ですが、例えば隔年で配分を入れ替える柔軟さがあってもいいのでは?
「来年度は大学病院に5,000億円まとめて投下して医療機材や建物を刷新。その翌年は防衛費を重点配分」そんな調整があってもいい気がします。
最後に消費税の話に触れておきます。
医療費そのものには消費税はかかりませんが、病院の経費には消費税がかかります。仮にこれを非課税にすれば、確かに赤字は和らぎます。
ただ、消費税は社会保障の財源。病院だけを特別扱いすれば、年金や介護など他の社会保障分野が削られるか、別の増税で埋め合わせるしかありません。
要は「消費税が悪い」のではなく、消費税制度と医療費非課税の制度設計がマッチしていないのです。
大学病院の赤字は、物価高騰、人件費高騰で、もはや「経営努力」で解決できる範囲を超えています。(ここ数年は国からのコロナ助成金で実態が隠れていたと思います。)
厚労省には、聖域を作らず、国全体の予算のバランスまで見直す覚悟で、改革に取り組んでもらいたいものです。
やれることは、まだまだあるはずです。