自転車のルールが4月から厳しくなりましたね。自転車の違反に対する取り締まり強化。
自動車が追い越す際には1メートル程度の間隔を空ける努力義務など、方向性としては理解できます。
安全になるなら、大いに結構です。
ただ、いつものように私は少し立ち止まってしまいました。その「舞台装置」は整っていますか、と。
自転車先進国といえば、やはりオランダです。何度か行きましたが、あの国では自転車は単なる移動手段ではなく、一つの交通システムとして成立しています。専用レーン、明確な標識、十分な道幅、優先順位のルール。
歩行者がうっかり自転車レーンに入れば、すぐ注意される。つまり、厳しいのは人ではなく、仕組みです。
一方、日本はどうでしょうか。
ルールは増えました。
しかし道路を見ると、自転車レーンは突然消え、色も薄れているところがたくさん、どこまで走ればいいのか分からない場所も多い。
交差点ではさらに悩みます。
車道を走ってきた自転車が右折したい時、どうするのか。反対側に行きたい場合はどうするのか。
車と同じように右折レーンに並ぶのは、かなり勇気がいります。結局、多くの人が「なんとなく安全そうな動き」を選ぶ。
法律より本能が勝つのです。
私は通勤で実際に自転車に乗りますし、車の免許も長年ゴールドです。その立場から言えば、自転車の車道通行は、理屈ほど美しくありません。
自転車側から見れば、ながら運転、脇見運転、幅寄せ、夜道の恐怖がある。
ドライバー側から見れば、暗い服装でライトも弱く、急に視界へ入ってくる自転車はなかなかの緊張感です。
つまり双方が、「相手が怖い」と思っている。
これが現場です。
オランダやドイツでは、反射ベストや高視認性の装備もよく見かけます。地域によっては義務化されている場所もあります。
ルールだけでなく、見える化までセットで考えているわけです。
ここで毎回少し不思議に思うのが、議員の海外視察とのつながりです。
自転車政策を学ぶために欧州視察という言葉はたまに聞きます。もし本当に学んできたのなら、日本の道路にも、もう少し成果が見えてもよさそうですね。専用レーンが増えたとか、交差点の設計が改善されたとか、誰でも分かる形で。
そうでなければ、視察ではなく“移動を伴う会議”だったのかもしれません。
そして、もう一つ日本らしいのが、責任の所在が見えにくいことです。この制度はどの省庁が主導したのか。
誰が起案し、誰が現場検証し、誰が「これでいける」と判断したのか。
法改正だけが先に走り、現場で混乱が起きても、最終的に責任者は見えてこない。
成功した時はみんなの成果。
失敗した時はみんなで沈黙。
これでは改善の速度も上がりません。
本来なら、
・歩行者との事故が増えている。
・だから自転車を車道へ誘導する。
・その代わり専用レーンを整備する。
・交差点ルールを明確にする。
・ヘルメットや視認性装備も進める。(これを機にヘルメットは義務化するとか)
・(議員が海外から学んできた。データ提示。)
そうした一本の物語(ストーリー、ナラティブ)が必要です。
人は、納得したルールは守ります。
よく分からないルールは、だいたい雰囲気で運用されます。
そして日本は、後者が少なくない。
1メートル空けて追い越してください、と言うのは結構です。
ただ、その1メートルを確保できない道路が山ほどあることも、誰かが知っておくべきでしょう。
法律は紙の上で走れます。でも自転車は、今日も現実の道路を走っています。