前編で書いた通り、私は、

 

「医学部を出たら全員が臨床医になるべき」

 

とは思っていません。

 

ただ一方で、ROI、つまり””税金投資の回収効率””という視点で考えると、別の問題も見えてきます。

 

 

最近は、社会人を経て医学部を目指すケースを、SNSなどで以前より目にするようになりました。(私の学生時代の先輩にも2人います。)

 

もちろん、学び直し自体は素晴らしいことです。実際、世の中には年齢に関係なく優秀な人がたくさんいます。

 

 

そういう人たちが、「人生後半は、やっぱり医師をやりたい」となれば、受験ではかなり強い存在になるでしょう。

 

 

ただ、その1席の裏には、

 

「本来40年間、日本の医療を支える可能性があった若者」

 

がいる。

 

 

 

ここは感情論ではなく、ROIで考える必要があります。

 

24歳でストレートに医師になる人は、その後40年近く働けます。夜勤も救急も担える体力がある。

 

一方、45歳や50歳を超えて医師になる場合、実働は15〜20年程度でしょう。

しかも現代医療は、AI、ロボット手術、高度画像解析など、どんどん高負荷化しています。

 

もちろん例外はあります。

 

その豊富な人生経験、社会経験が患者対応に生きる場面も多いでしょうし、若い世代が敬遠しがちな地方医療や終末期医療に貢献してくださる方もいるかもしれません。

 

ただ国全体で見れば、

 

「限られた医療教育資源を、どこへ投資するのが最も効率的か」

 

という視点は避けられません。

 

 

これは私の持論ですが、少しパイロットに似ています。

 

例えば航空会社が、「50歳から国費で大量にパイロット養成します」

 

とは普通ならならない。

 

理由はシンプルで、投資回収期間が短いからです。

 

 

医学部も、ある意味では近い構造があります。

 

もちろん、「年齢で夢や職業選択の自由を制限するのか」

 

という意見もあるでしょう。

 

ただ医学部は、単なる自己実現やリスキリングの場ではなく、「医療インフラへの公共投資」でもあります。

 

 

そして忘れてはいけないのは、日本には優秀な中高年が本当にたくさんいるということです。

もしこの人たちが本気で受験勉強を始めたら、中堅以下の私立医学部などは普通に合格できる実力があるでしょう。(現実的には面接で調整されると思いますが、、)

 

そうなれば、場合によっては、

 

「将来40年働く若者の席」

 

が、大人たちにかなり置き換わる可能性もある。

 

もちろん現時点では全体から見れば少数派で、影響は限定的かもしれません。

 

ただ、本当に「今後の医療政策」「国家的ROI」を考えるのであれば、この議論は避けて通れないテーマなのかもしれません。