大学の入学金二重払いについて書きます。

 

先日のブログでも触れましたが、
私自身の高校受験では、たまたま系列校だったおかげで二重払いは回避。
 

“人生、たまにはラッキーもあるもんだ”と思っていました。

 

ところが、
娘の大学受験でも、まさかの二連続セーフ。

 

理由はシンプル。

 

私大前期:ことごとく一次落ち or 補欠合格

私大後期:火事場の馬鹿力でなぜか正規合格

 

倍率50倍超の医学部後期をいくつも抜けてくるあたり、“人間、追い詰められると才能が開花する説”は案外本当なのかもしれません。(親としては胃に穴が開きそうでしたが。)

 

ニュースによると、入学しない受験生から私大が受け取る入学金の合計は、年355億円。(タイトルが少し恣意的ではありますが。)
 

355億は結構大きい額ですね。大学からしたら立派な“収益源”になっていると思います。

 

 

もちろん、昔から問題視され続けていますが、仕組みは一向に変わりません。

過去には裁判にもなったものの、最高裁の判断は、

 

「返金不要。入学し得る地位を得るための対価。」

 

という判決。

法律的には正しいのでしょうが、親目線で言うなら、””そう言われてもねえ・・・”
 

という気持ちではないでしょうか。

 

識者の説明をまとめると、こんな感じです。

 

・入学者数を早く確定したい

・補欠合格の調整が遅れると事務負担増、定員割れの可能性

・経営の不確実性を減らしたい

・よって入学金は「予約金」扱い

 

はい、分かります。大学も企業(経営)ですからね。気持ちは理解できます。

頭では。

 

でも医学部受験生にとっては、これはもう別次元の話。

 

入学金問題は医学部になると“ケタ”が変わりますね。

 

どこの私大も入学金は大体100万円か150万円、

 

たしか国立の合格発表が3月初旬で振込期限が3月15日前後なので、国立の発表より振込期限が早い私大は、辞退すれば入学金は完全に蒸発します。

 

しかも中堅以下の私大医になると、入学金以外の初年度納付金が、

 

・入学金 150万円

・その他納付金 500万円

 

合計 650万円。なんてのも普通。

(北里に至っては、初年度納付金が900万円らしいです。)

※3月末とか指定期日までに辞退したら、入学金以外は戻ってくるようです。
 

つまり医学部受験は、

 

受験に成功しても失敗しても金が消える可能性の高いゲーム
 

という、とんでもない構造なのです。

 

しかも私立医学部を前期で複数合格もらえて、複数入学金を支払ったり、初年度納入金を考えれば、

 

最大で“1000万円近い現金”を同時に保持しておく必要があるという試合観。

 

医師家庭でも大変。非医師家庭の我々なんて、もう、「銀行ローンよ、我らに力を・・・」

というレベル。

 

もちろん、最初に受かった医学部に入学を決めてしまえば、捨て金はゼロです。

 

が、しかし。そんな賭けや選択はできません。

 

「あと1校、もう1校、さらに上の大学(学費が安くてレベルの高い学校)が後から受かるかもしれない…!」

 

という悪魔の囁きと戦い続けることになります。

 

医学部受験の家庭は、

 

・前期/後期の発表日

・入金期限

・補欠の繰り上がり傾向

・国立前期/後期のタイミング

・現金の残高

 

すべてをスケジュール管理する必要があります。

 

これはもう受験ではありません。
 

そして“親の能力”がモロに出ます。(本人が必死に勉強している間に、親は必死に募集要項とにらめっこ、そして、銀行手続きに気を配るのです。)

 

大学側の事情も、受験生側の事情も理解できます。

だからこそ、この問題はシステム的に解決しにくい。

 

究極には、

国立も私立も、得点順に全国で機械的にマッチングする方式を導入でもしない限り、永遠に続くでしょう。

 

ただし、
“そんな制度を誰が運用するの?”
“公平性は?”

など、現実には問題だらけ。

 

繰り返しになりますが、だからこそ、医学部受験を考える家庭は資金計画と入試スケジュールが命です。

 

国立狙い+私立併願なら、
合格発表日、締切、補欠の動き、すべてを把握する必要があります。

 

そして何より重要なのは、

 

お金の工面は年内に済ませておくこと。

 

親や親戚、銀行等のサポートなしでは絶対に戦い抜けません。(非医師家庭は特に)

 

どれだけ払っても、どれだけ走っても、入るのは一校だけ。

だからこそ、この制度が家庭の負担に依存している現実は、もっと議論されるべきだと思います。