わかりやすい「いづれの御時にか。。。」絵巻物☆彡Part11 | ☆えすぎ・あみ~ごのつづりもの☆

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Part11

 

第1章第9帖

 

葵 (あおい)

 

 

【あらすじ】

桐壺帝が退位し、[朱雀帝]が即位、[藤壺中宮]の産んだ皇子(=後の冷泉帝)が春宮に。正妻葵上と愛人六条御息所の間の緊張が、葵祭で車争いに発展。悩む御息所の魂が生霊となって葵上を襲い、葵上は若君(=後の夕霧)を産んで急死。光源氏は悲しみの喪に服します。喪が明けて、美しく成長した紫上と、結婚。
 
 
 
 
     
 
 
 

【原文抜粋】と抜粋部分の【現代語意訳】

 

9.9  秋の司召の夜、葵の上死去する  
秋の司召つかさめしあるべき定めにて、大殿も参りたまへば、君達もいた

はり望みたまふことどもありて、殿の御あたり離れたまへば、皆ひき続き出でたまひぬ。
 秋の司召が行われる予定であり、左大臣も参内するので、子息たちは昇進を望んでいたこともあり、殿の周りを離れることができずに、皆が出かけた。


殿の内、人少なにしめやかなるほどに、にはかに例の御胸をせきあげて、いといたう惑ひたまふ。内裏に御消息聞こえたまふほどもなく、絶え入りたまひぬ。足を空にて、誰も誰も、まかでたまひぬれば、除目の夜なりけれど、かくわりなき御障りなれば、みな事破れたるやうなり。
 左大臣邸は、人が少なくなりひっそりしているとき、にわかに例の胸の発作が起き、はげしく苦しまれた。内裏に知らせる余裕もなく、葵の上は息を引き取った。どたばたして皆が内裏から退出したので、除目の夜であったが、このようにやむを得ぬ事となり、すべてがご破算となった。

 




    



ののしり騒ぐほど、夜中ばかりなれば、山の座主、何くれの僧都たちも、え請じあへたまはず。今はさりとも、と思ひたゆみたりつるに、あさましければ、殿の内の人、ものにぞあたる。所々の御とぶらひの使など、立ちこみたれど、え聞こえつかず、ゆすりみちて、いみじき御心惑ひども、いと恐ろしきま、見えたまふ。
 騒ぎが起きたのが、夜半だったので、叡山の座主、その他僧都たちも、招くことができなかった。 今はもう安心と、気をゆるめるていたので、意外な事態に、左大臣家の人びとは、あわてて物に当たった。あちこちからの弔いの使いは混み合っていて、取次ぎもできず、ざわめいて、恐ろしい混乱ぶりだった。

 

 
御もののけのたびたび取り入れたてまつりしを思して、御枕などもさながら、二、三日見たてまつりたまへど、やうやう変はりたまふことどものあれば、限り、と思し果つるほど、誰も誰もいといみじ。
 物の怪がたびたび取り付いていたので、枕なども北向きにせず、二三日そのままにしていたが、ようやく死相が表れはじめたので、やっと駄目だとあきらめて、誰もが悲しんだのだった。
 

大将殿は、悲しきことに、ことを添へて、世の中をいと憂きものに思し染みぬれば、ただならぬ御あたりの弔ひどもも、心憂しとのみぞ、なべて思さるる。院に、思し嘆き、弔ひきこえさせたまふさま、かへりて面立たしげなるを、うれしき瀬もまじりて、大臣は御涙のいとまなし。
 源氏の君は、悲しいことに加えて、生霊のこともあり、男女の仲を憂きものとして身に染みたので、通っていた女たちの弔問も、すべて心憂しと思った。桐壺院も、嘆き悲しみ、弔いを申し述べたので、かえって面目をほどこし、うれしさも交じって、左大臣の涙はとどまらなかった。
 

人の申すに従ひて、いかめしきことどもを、生きや返りたまふと、さまざまに残ることなく、かつ損なはれたまふことどものあるを見る見るも、尽きせず思し惑へど、かひなくて日ごろになれば、いかがはせむとて、鳥辺野に率てたてまつるほど、いみじげなること、多かり。
人のすすめに従って、厳粛な祈祷など、生き返るかもしれないさまざまのことを行ったが、一方体が変色していくのを見て、思い惑ったが、甲斐なくて日が経っていったので、どうしようもなく、鳥辺野にお連れしたのだが、道々悲しみがまさった。
 
 
○ -------------------- ○
 
 
 
 
 
 

おひさしぶりの「源氏物語」

新解釈なおしゃべり、のつづき。

 

NHK大河ドラマ「光る君へ」でも、

たびたび物語とリンクしたシーンが

ありますよね?

 

つまり、あのドラマは

こういう紫式部の生涯があったからこそ、

「源氏物語」のこのシーンに繋がってる

というのを披露してくれてるわけです。

 
 
あの、、、先日も書いたけど、
「直秀」モデルはまったくのフィクションではなかった件。
大河ドラマとしては、藤原道長が、青年期は
あのように飄々としたおおらかな、でも物事を1方向からだけでなくみつめ、散楽にさえ「藤原の栄華を揶揄」した演劇に興味を示す、人間性に描かれていて、
いったいどこからが、あの権力志向の「この世は我が物顔」が
出てくるねん。。。
 
と、思ってたら、こういう経緯を用意していたのかドンッ
って、改めて脚本の妙味を感じ入りました。
 
LOVE STORY的には、ファンタジックで
いかにも「女子受け」なんですけど、
歴史上の記録の抜けてる部分に
うまく現代人が「あるあるびっくりマーク
と興味津々になっていく手法、勉強になります。
 
居たんですよ。直秀みたいな人物。
後ろ盾をなくした没落公家の
「ふじわらさん」
 
あ、私まだ「直秀」ロスですかね。。。
去年は「ツネエモン」ロスでしたあせるあせる
 
けど、下級公家でも、侍女や執事の居る
おうちの藤原さんは、あんなに
自由に出歩けません笑
まひろちゃんが、自由闊達な人物像
だからこその、苦肉の策の
「女子会おでかけ事件簿」です。
 
 
ーーー話を「源氏物語」に戻してーーー
 
ましてや、光源氏の正妻や御息所ともなると、
めったにわざわざ外出しないので、
「六条の御息所」さまが、牛車で一目でも
永らく逢えていない源氏様を観ようと出かけたら、
これもワザとに目立たない装いで来たもんだから、
正妻の葵の上の牛車軍団に気圧されて
すごすごと逃げて帰らねばならなくなった、、、
 
家柄としては御息所の方が高くって、
気位も高くって、遠のいている源氏への思慕。。。
 
わかりますよ、、、呪い殺したいくらいのジェラシー。
これが、大御所の女流作家さんがたは、お好き。
 
唯一「六条の御息所」が好きとは語られていないのは、
瀬戸内寂聴さまだけかも。。。
 
この件がきっかけになったのか、
葵の上は、生霊にとりつかれて、
皇子を産んですぐ、ご逝去。
六条の御息所も、都を離れる決心を。
 
で、夕顔も亡くなり(これも御息所の怨念❓)
空蝉も拒み続けて、源氏のもとを去る。
 
この辺で、ようやく光源氏も
紫の上と結婚をいたします。
いつまでも幼女誘拐を
隠しておけないし。。。
もう充分にLADYに成ったし。。。グラサン
正妻ではないけど。。。
正妻(継室)は後年、もっと幼い「女三ノ宮」をもらいます。
 
 
 
 
 
けどね、「朧月夜」さまだけは、
密やかに、関係が続いているんです。
 
弘徽殿の女御とは、
(各々の妻の寝所の中心にある、寵愛深い姫の殿のこと)
を指すので、
「光る君へ」でいうと、花山天皇の嬉子さまのような姫。
 
けど「源氏物語」の一人目の弘徽殿の女御は上皇の后。
まるで「大奥」の松島殿みたいな意地悪さがあり、
その妹である「六の君」が「おぼろづきよ」で、姉君とは
「生徒会風紀委員長 VS 箱入り娘でないリベラルさ」という気質の違い。
 
あ、もう桐壺帝から朱雀帝に御時は代わってます。
で、朱雀帝は、光源氏の実の兄。
 
はい。兄弟そろって恋い慕ってるんです。
結局源氏とのスキャンダルのせいで、
朧月夜は后に成れず、中宮止まりです。
けど、生涯朱雀帝に一番寵愛された、姫。
 
まあ、源氏は須磨へ左遷されたら
明石の上とできちゃったり、、、
恋多き源氏と、包容力の愛に生きる朱雀帝。
好みは、人それぞれですね(^_-)-☆
 
私は、どっちかいうと、朱雀帝派飛び出すハート
 
「そやから、あんたは光源氏のこと、
よくは語らんのじゃビックリマーク」ーーーはい、ごもっとも。
 
 
ちなみに。
花山天皇のご寵愛の度が過ぎてなくなった姫の件。
じつは、「葵の上」の亡くなり方にそっくりです。
 
「政略結婚で、頭の中将の妹というのが、
実は夫婦としてしっくり来なかったんだ」説。
私は否定したいのです。
男の子産んでるし、病死される前は、
とても葵の上を気遣っていて、
ご逝去された後も、ずいぶんと源氏は気落ちしている。
 
正妻に対するなりの、愛し方があり、
取りこぼしてしまった部分を、側室その他に求めるのは、
ステイタスの高い男性には、致し方なかったのかも。
 
私の綴ってる別の小説でも、史実では、
「ヤンデレ細川忠興」「離婚したがってるガラシャ」
のような解釈が一般的でした。
 
ですが、ガラシャ珠子には
これまた「どうする家康」の阿茶の局のような
社会に携わり共に政務を担う面が強かった、と診ています。
明智光秀も細川藤孝も、生涯側室は置かない愛妻家。
いつまでも恋愛感情をKEEPできるようなパートナー
として、ガラシャ珠子を扱っていたからではないかと。
 
出陣の支度や上げ膳下げ膳生活のもろもろより、
ガラシャ珠子らしく、寄り添っていて欲しかったから
あえて、役割を分担してもらった感、あります。
1600年、亡くなったとされてから正室(継室)は
史上に存在しないのです。
そして、色っぽいけど、知的な生活や芸事にも勤しむ面を
女性にも求める男性だったのだろうと、
私は判断して、あえて側室の役割よりも
本当は子孫を残すより、ガラシャの女官としてや、
側女やメイドさんのような役割を振り当てた。。。
そんな物語に構築しました。
 
私には、そういう夫婦関係が
けっこう理想的なんです。
そんなふうに扱ってもらったら、
ダーリンの友達や仲間にも
なまえのごとく「慈しみや感謝(GRACIAS)」
「男女の愛とは違う、友愛や同志愛」
「形を違えて包み込む」というのができるのでは!?
と、感じて考えて、そのようにあろうと
目指しているのですYO。。。
 
ならば、光源氏よりも朱雀帝、ですよNE!?
 
歴史小説「Two of Us」第4章も
江戸時代だけど、どうぞ目を通してみてはてなマーク
 

 

 

 

 

 

ーーーちゃっかり自作の宣伝もしてしまいました猫しっぽ猫からだ猫あたま

 

 

あ、「光る君へ」では、

「頭の中将」藤原実資の妻との関係性が

けっこう好きです。

「そんなにぶつぶつ愚痴言ってないで、

日記に書けばよろしいのじゃございませんか。日記にビックリマーク

って毎回諫めている、姿。

 

「わしは絶対書かんビックリマーク書くにも値せぬビックリマーク

って、日焼けサロン帰りみたいな藤原実資とのやりとり。

実際「小右記」としてtwitterX、やってますから笑
 
 
あ、それと最後に。
この第9帖はけっこう長い文章なんですが、
なんで、この9-9部分だけチョイスしたかと云うと、、、
 
先日の「光る君へ」で出て来た地名
「鳥辺野」がロケハンされてるからです。
 
光源氏の正妻葵の上も、
どうしても逝去を認めざるを得ない
死後硬直の後、この鳥辺野へ
埋葬❓されています。
 
「とりべの」は、この時代はまともな埋葬ができず、
「あだしの(化野)」や「船岡山」と並ぶ葬送地なのです。
「穢れ」(血を浴びるけがれ)を恐れて
もしくは疫病などが拡散しないよう火葬するため
運ばれる場所です。
 
皆さんよくご存じの東山の清水寺。
そこから奥まったとても近い場所に、
現在でも規模の大きな墓地が
固まって存在しています。
「鳥辺野」検索が多かったらしいので、
一応、伝えます。
あの清水寺の櫓の足元の一角。
 
それが、京都という街の
知られにくい姿のひとつです。
 
 
ーーー後味が好くないので、これ聴いて流れ星