Part5
第1章第4帖
夕顔(ゆうがお)
【第4帖全体のあらすじ】
六条御息所に通う頃、惟光の母の見舞いで訪れた五条で、光源氏は夕顔と出会い、互いに身分を隠したまま、情熱的な恋に落ちます。廃院で物の怪におそわれて、夕顔はまさかの急死。源氏は悲しみのあまり病気になってしまいます。
後日、結局それっきりの縁だった空蝉も、夫の任地赴任について行き、伊予の国へ下がったので、源氏は一挙に二人の女性との別れを経験します。
せめてもの餞別にひっそりと和歌を詠み、また物思いにふけるのでした。
【原文 最終段落】
4.14 空蝉、伊予国に下る
伊予介、神無月の朔日ついたちごろに下る。女房の下らむにとて、たむけ心ことにせさせたまふ。
また、内々うちうちにもわざとしたまひて、こまやかにをかしきさまなる櫛、扇多くして、幣ぬさなどわざとがましくて、かの小袿こうちきも遣はす。
「逢ふまでの形見ばかりと見しほどに
ひたすら袖の朽ちにけるかな」
こまかなることどもあれど、うるさければ書かず。
御使、帰りにけれど、小君して、小袿の御返りばかりは聞こえさせたり。
「蝉の羽もたちかへてける夏衣
かへすを見てもねは泣かれけり」
「思へど、あやしう人に似ぬ心強さにても、ふり離れぬるかな」と思ひ続けたまふ。今日ぞ冬立つ日なりけるも、しるく、うちしぐれて、空の気色いとあはれなり。眺め暮らしたまひて、
「過ぎにしも今日別るるも二道に
行く方知らぬ秋の暮かな」
なほ、かく人に知れぬことは苦しかりけりと、思し知りぬらむかし。かやうのくだくだしきことは、あながちに隠ろへ忍びたまひしもいとほしくて、 みな漏らしとどめたるを、「など、帝の御子ならむからに、見む人さへ、かたほならずものほめがちなる」と、作りごとめきてとりなす人ものしたまひければなむ。
あまりもの言ひさがなき罪、さりどころなく。
【現代語訳 末尾抜粋】
伊予介は神無月のころ任地に出発した。女房たちも下向するので、餞別に心を込めた。また内々には、それと分かるように細工のいい美しい櫛や扇を多めにし、幣ぬさなども分かるように用意し、例の小袿も返した。
(源氏)「また逢うまでの形見と思っていましたが
わたしの涙で袖が濡れてすっかり朽ちてしまいました」
細かなことはいろいろあるが、煩雑なので書かない。
使者は帰ってきたけれど、小君に託して、小袿の返歌だけを送ってきた。
(空蝉)「夏の衣替えをして 空蝉の羽根のような衣を
お返しされると思いがあふれて、声をあげて泣いてしまいます」
「思えば、人並みはずれた強い意志をもって、別れて行ってしまった」と源氏は思い続ける。今日は立冬であるのも暦通りで、しぐれて空の気色が美しい。眺めていて、
(源氏)「死んだ女も今日別れた女もそれぞれの道をゆく
その行く先は知らない秋の暮れ」
なお、このように人に知られぬ恋は、苦しいものと思い知ったでしょう。
こんな瑣事は、努めて隠していたことで、気の毒なので、何も言わずにいたのだが、「なぜ、帝の御子だからといって、相手の女まで、欠点がなく、褒めてばかりなのか」と、作り話だからと誤解する人もいるので、念のため。慎みなく言い過ぎた罪は、免れないでしょう。
【夕顔との出会い】
左大臣の娘で正妻葵の上をほったらかして、慕い続けるのは、継母の藤壺女御でした。
17歳の今は、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)の元へも通っています。六条御息所とは、才色兼備の誇り高き年上の未亡人です。
ただ、彼女を口説き落としてからは、彼女の非の打ち所のない振る舞い、嫉妬深さに息苦しさを覚えるようになっていました。
ある日、重病の乳母を見舞った時のこと。
ふと隣家に咲く可憐な夕顔の花に心引かれます。
程なくして隣から、白い扇に載せて花が差し出されました。扇には、たおやかな文字が流れています。
心あてに それかとぞ見る 白露の 光そえたる 夕顔の花
(ふと目に留まった輝く君は、光源氏様でしょうか…。白露の光に映える夕顔が、美しく花開いています)
と、女主人の筆跡のようで、源氏は胸をときめかせます。
やがて、この夕顔の女人の元に通い始め、身も心も柔らかで素直に寄り添う彼女の虜になっていきました。
光源氏と夕顔、二人の時間は長くは続かず…
“二人きりでゆったり過ごしたい”
と思った源氏は、名月の夜も明ける頃、人けのない「某の院」に、不安に身震いする夕顔をなだめて連れ出しました。
ここで二人は日がな一日戯れるのでした。
その夜、うとうと寝入った源氏がふと気づけば、美しく気高い女人が、怨めしそうに枕元にいるではありませんか。
「かくことなることなき人を率ておわして、時めかしたまうこそ、いとめざましくつらけれ」
(こんなつまらない女をかわいがるなんて、あまりにも心外でつらいことでございます)
と夕顔を抱えてうめいているのです。
目覚めた源氏はすぐさま太刀を抜き、灯を取り寄せ見れば、やはり麗人が現れ消えます。
夕顔といえば、すでに事切れ、冷たくなっていました…。
今回は、男性読者にとても人気のある夕顔(ゆうがお)を紹介します。
夕方に咲いて翌朝にしぼむ夕顔の花、そんな儚いイメージを持ちつつ、魅惑的で愛らしく、素直な女性です。
夕顔は白い花であり、ヒロインの夕顔も白が似合う人です。
初めて光源氏とやり取りする場面では、白い扇に筆を走らせ、歌を差し出しました。
夕顔の登場するシーンには、白が印象深く出てきます。
おもに年配の男性は、こういうはかなげで、
断ることを知らない依頼心の強い女性、好きみたい。
逆に、年配の女性は「女の敵」として
敵愾心や意地悪心向ける場合が多いみたい。
私❓、、、どっちでもないなあ。。。
誰でも守ってあげたくなるオーラ出してる女性だから、
誰かがかまってあげてるので、
必然的に、私をかまいたい男性は、無関係
棲み分けしてるつもりなんで、
腹も立たないし、、、なんで❓
おばさま達は、なんでこういう人を目の敵にするん
ダンナを寝盗られるんかひ
それは、スキンシップしてあげへん、おばさまが悪い。
うちの母親もですけど、
あれしてくれない!これしてくれない!って
キリキリカリカリ、朝から帰宅しても
感情を吐き出してるから、かと。
肝心の伝えたい内容は、右から左へTHROUGHですよ
ちょっとだけ、高いプライドは曲げといて、
下手に「お願い口調」で
「○○しといてくれなぁい」
って頼むように言えば、
内容を理解して、1回でいう事きいてくれます。
最初はキモイと言っても「三顧の礼」です。
3回目までがんばってみましょう(^_-)-☆
〈対照的な、六条御息所と夕顔〉
嫉妬深い六条御息所の物の怪(もののけ)が夕顔を襲ったのでは❓と、思わせる描写。
当時、不幸や災難は、生き霊、死霊、魔物の類いによると深く信じられ、これらをまとめて「物の怪」と呼んでいました。
『源氏物語』は、物の怪の姿や声が大胆に描かれる珍しい作品なのです。
紫式部は物の怪についてこんな歌を残しています。
亡き人に かごとをかけて わずらうも おのが心の 鬼にやはあらぬ
(物の怪になって取り憑く亡き人のせいだと、濡れ衣着せて苦しんでいるけれども、自分の心の鬼のせいで苦しんでいるのではないですか)
実際、作中で物の怪を目の当たりにするのは光源氏だけです。
六条御息所を避け、夕顔を無理に連れ出した源氏は、罪悪感で苦しんでいた、ということでしょうか。
夕顔の四十九日の法事が終わり、やがて夕顔の女人は、〈雨夜の品定め〉で頭中将が話していた、行方をくらました女人と分かります。小さな女の子もいたのでした。
つまり夕顔は、時代のトップ人気の二人とも、
LOVEアフェアをやっちまった女性なんです。
そういうの、男子は「兄弟」とか呼ぶそうです。
ただし、この時代は「親子どんぶり」も
ちょくちょくやりはったそうです
ちなみに、アメリカ人の言う「BROTHER」や
「BROS.」は、そういう意味では使いませんよ
意外とクリスチャンは、お堅いので、
1回1回の恋愛をキッチリと 仕上げたいんだそうです。
ぁ、私の専門は南米文化と、ラテンEUROPEですけどね
海外の文化を勉強してた大学生の頃に、
逆に 日本文化の良さを再認識してたんですが、、、
江戸幕府以前は、日本の方が
庶民から武士やお公家さんまで、
めっちゃおおらかな性生活文化で、
けっこうビックリしたもんです。
「中産階級のおんな代表」の空蝉は、
旦那様の地方赴任について行くので会えなくなり、
「身元をお互いに明かさない情事の女代表」の夕顔は、
嫉妬に狂った気高い六条御息所に、呪い苦しめられて
光源氏の腕の中で、息を引き取ってしまいました。
ごく短期間に、身分違いの女たちとの恋は終わったのです。
過ぎにしも 今日別るるも ふた道に
行く方知らぬ 秋の暮れかな
(死んでいった夕顔も、今日都を離れる空蝉も、
それぞれ私の知らない世界に旅立った。
自身の行方もまた分からぬ秋の夕暮れであるよ)
とある解説本では、夕顔の魅力的な個性として、
このような特徴を挙げています。↓↓↓
①自分から歌を詠みかける積極性
逆ナンパしてます![笑](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char4/664.png)
光源氏は、後で夕顔の歌を見て興味をそそられ、
次のように返歌します。
寄りてこそ それかとも見め たそかれに
ほのぼの見つる 花の夕顔
(近くに寄って誰か確かめたらいかがでしょう。夕影の中、ほのかに見た夕顔を)
②自分のことを語らないミステリアスさ
夕顔は、光源氏に自分の名前を名乗りませんでした。
光源氏もみすぼらしい変装で逢いに来て、
互いに名乗り合わない逢瀬。
光源氏が「どちらが狐なんだろうね。
黙って私に化かされていてくれませんか」
と言ったのに対して、夕顔はそれでもいいかもしれない、
と結構本気で思ったようです。
けっこう「本気なのかしら❓」と悩むわりに
そんな素振りも見せずに、おっとり構えている。
けっこう没落家系で苦しい生活ぶりなのに、
困ってる事相談できずに、ただただメイクLOVEに没頭。
けっこう積極的に男の人に寄ってくのに
相手の都合を突きつけると、
それをすんなり「それがいいかも」と相手任せに進む。
依存ができたら、現実から逃避できたら、
だれでも好いみたいな人ですね。。。
なんだか主体性がないなぁ。。。
うちにいる「肝っ玉かあちゃん」と正反対で
非日常感に浸れて、昔の男は
こういう人好きなんですかね。。。
③慣れないことには不安になる繊細さ
旧暦8月15日の夜、仲秋の名月の日のことです。
板屋の家のあちこちの隙間から、明るい月の光が漏れてきます。
夕顔の屋敷に来ていた光源氏は、「こんな気詰まりな所より、もっと心休まる所で一緒に過ごそう」と誘います。
彼女は「あまりにも急ですわ」と、不安な気持ちを訴えずにいられませんでした。
しかし光源氏に連れられ、ある荒れ果てた人気(ひとけ)のない屋敷に出かけます。
隠れ家の荒れようは気味が悪いほどでした。
夕顔はとくに屋敷の奥が気味悪くてたまらず、恐怖心から源氏にずっと寄り添っていました。
光源氏は、「私は初めてだけれど、あなたにはこんな経験がありますか?」と聞いてきます。夕顔は、
山の端<は>の 心も知らで ゆく月は うわの空にて 影や絶えなん
(行く先もあなたのお気持ちもわからないのに、ついていく私は、山に沈もうとする月のように、
空の途中で消えてしまうかもしれません)
と、ひどく怖がりながら返事をするのでした。
そんなに怖かったら「帰ろうよ」
と一言でも想いを伝えればいいのに。。。
そんなに幸せな時間に没頭できるなら
もうちょっと楽しみを先に残せばいいのに。。。
そんなに子供出来ちゃうほど没頭できるなら、
そのために 未来の計画も二人で
語ればいいのに。。。
ミステリアスというよりも、
無計画で、主体性なくって、依存心強くって、
逆に、未来永劫な関係や
結婚する相手には選びませんよね。。。
けど、この感じが、男性に人気が根強いタイプ
なんですって。。。
けどさ、イマドキ男子は
しっかりしてて,
でも時々ポカミスしても
テヘペロしてるくらいの
安定感ある女子に、
けっこうハッパかけてもらう方が
好んでるっぽい、、、けど
ほんまに 居るんかな❓こんな人。。。
何十人って守ってくれる人代わっていかないと
長生きできへんやん。。。
オトコかて、仕事やバイトや勉強忙しいし
さて。次回は「若紫」の章です。
みなさん待望の紫の上との出会いのシーンです。
ではっ
ーーー to be continued.