~私立探偵コジマ&検察官マイコのシリーズ~
Vol.4‐④
ーーーここで、【河隅美咲から観た黒田玲苑】を簡潔に伝えて おくよ
オレは、先に被害者美咲さんの話から聞いて、【菅原道兼くんの少年期エピソード】で、加害者を確信したんだ。
つまり結論(答え)が出たからこそ、美咲さんの案件を、谷警部側からの依頼としてでなく、被害者側の救済の立場から探偵社として報酬を得ようとしているわけだ。
もちろん警察や検察には情報開示しなくちゃいけないが、まず第一にこの若いスノボ女子選手の活躍を護りたいのだ。
そこは美咲さんと友達に成ったヒカルクンと同じで、収益優先ではない。
どちらだと思う
傷害事件を起こしたのは、玲苑か紫苑か
それとも全く第三者❔
ちなみに、麻衣子は『玲苑だと思うけど。。。』と、言葉を濁したんだ。
そこだよじゃ、いつから玲苑と紫苑が入れ替わってるんだ
マネージャーやイベンターは周知なのか、、、という疑問が沸いてくるんだ。
だからこそ、ヤバイ動きがあった事件なのだよ。
たまには、オレ小嶋雅哉も褒めてくれよぉ
ーーーもとい。
クライアントに成った河隅美咲さんは、オレとは逆に【道兼少年のエピソード】を聞いてから、『やっぱり』って納得してようやくその双子の黒田の違いを説明してくれたんだ。
『その人はレオンじゃない。もう一人居る』
『どうしても伝えたくって、瀕死の体(てい)で武道館まで辿り着いたんです。
クロダレオンというシンガーソングライターは、二人居ると知っている事。その片方が私のお腹を差し、初日の日本武道館で歌ってるもう片方に、伝えたかったのです。知っている人間が居る事も。』
『いつから入れ替わっているのか、それとも二人で分担しているのか、ファンの方達は気づいていないのか、、、など頭の中も混乱しているまま、とにかく伝えたかった。
イベンターさんの封筒で招待チケットを送ってくれたのは、私が知っているクロダレオンの方で、もう一人は私を知らないかもしれないって事。それから今は統括マネージャーに成られている当時側近マネージャーだった佐々木さんは、レオンの接近に協力していた、、、ってこととか。
確かめられなくって、誰に伝えるべきかも分からない事を、ゲレンデのレストハウス裏で刺されてしまって、やっとほんとに伝えなきゃ、、、ってそのまま新幹線に乗り込んだんです』
『私も悪かったんです。曖昧な態度のままにしてて冬はゲレンデを転々してるし。
その日の午前中は、弦人くんと逢っていたんです。宮城蔵王でフリースタイルSHOWの仕事が終わったあくる日、私だけ白石蔵王に移動して、成人の日のイベントに合わせてLIVEのリハーサルしていたGENTOくんに、逢っていたんです。
まさか、そこにレオン本人が来るなんて。。。
あれはレオンです。ホテルウーマンの仕事で関わった黒田玲苑さんです』
何かは分からないけど、何かが解決すると思ったそうだ。
ちなみに、美咲さんは以前にもゲレンデで大会前日に大転倒をして腎臓外傷という故障で棄権している。
それで、選手やプロボーダーとしてのデビューが遅れたらしいが、同じ左側の腎臓まで鋭い先端の凶器が刺さってしまったそうだ。背中から声をかけられ、振り向いて相手を観て眼を見張ったまま、いきなり左わき腹あたりを差された。。。
それがその夜武道館LIVE初日で歌うはずの黒田玲苑だと、はっきり鮮明に覚えているが、いったい何で、どんな凶器で刺されたのかは、覚えていない。無我夢中でゲレンデ近くを離れ、着替えて招待チケットを持って、必死で都内へ向かってしまった。。。
ゲレンデを離れなければ、弦人くんまで危害を加えるかもしれないと考えたけど、気が動転していてとにかく日本武道館まで〈白石蔵王駅〉から向かったのだ。
ボードウエアの下に履いていた厚手の黒いタイツも着替えるなんて所までは考えが及ばないし、着替えのストッキングなんて持参もしていない。
とにかく無我夢中で、玲苑が来ていてそっちは別人だと伝えようとした。
ーーーと、ここまでは大まかに事件の概要を語ってくれたもの。
ここから先、【河隅美咲から観た黒田玲苑は、二人居る】事項にようやく移るよ。
今、オレ雅哉がこれを語っている同じ頃、菅原道兼くんは鹿児島と長崎に向けてすでに出発していて、多分新幹線『のぞみ』の車中だ。
道兼君の祖父に出会えたら、鹿児島の黒田兄弟の両親に出会えたら、もしくは昔の同級生などに出会えたら。。。
道兼君は、その後小学6年生以降一卵性双生児の黒田兄弟は、どう生きていたのかどちらがデビューしたのか今はどちらが歌っているのだ。。。次から次へと沸いて来る疑問を謎解きをするために、九州へ向かっているのだ。
ーーー to be continued.