連作ミステリ長編☆第3話「絆の言い訳」Vol.4‐① | ☆えすぎ・あみ~ごのつづりもの☆

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~私立探偵コジマ&検察官マイコのシリーズ~

 

Vol.4‐①

 

 2階〈和モダン部屋〉の扉を開けて入室して来た、麻衣子。

 

 その瞬間は真っ赤な形相で息せき切って、警視庁鑑識課の京極清次からのリークを喋り始め、小嶋雅哉の蔵王ゲレンデ・エリア情報に、驚愕したばかりだ。

 

 だいたい表現が大げさな麻衣子ではあるが、自分が難事件の被害者みたいに慌てているので、とりあえず、落ち着かせてやろうと雅哉は考える。

 

「真希ちゃん。すまないが、そのコーヒーカップ片付けついでに、オレのお代わりと麻衣子のあったかいミルクティー、頼んでおいて❔

 それで、政之叔父に運んでもらって。真希ちゃんは3階で、さっきまでの議事録をまとめて来てよ。頼むよ❔」

「わかりました。お二人にしときます」

「悪いな。ありがとう」

 

 察しの良い経理の真希ちゃんが、ヒカルこと輝美河隅美咲らのコーヒーカップをまとめ、階下のカフェへ降りて行った。

 

 

 

 

 

 麻衣子が、ソファに座るや否や、話題の続きを切り出した。

「あの『凶器がない武道館傷害事件』の新展開ビックリマーク

 宮城でも山形でもない蔵王エリアで、血液の飛沫が飛び散ったメンズのスキーウエアが見つかったのビックリマーク

 〈白石蔵王〉に新幹線の〈やまびこ〉が停まるって、本当!?

「本当だ」

「その白石蔵王駅のコインロッカーで、ブツが見つかったのビックリマーク

「、、、なるほど。どこから情報❔」

「鉄道公安警察から、警視庁の鑑識課の京極さんに連絡が入ったの。別件で。福島県」

 そこまで一気にしゃべり、まだ肩で大きな息をしている。

 

 

「ちょっと落ち着け、麻衣子」

「あ、ハイ。ありがと。これね、この件ね、事故扱いでネットでも武道館が4月末まで使えないってね、バズってる件やけど、これね、アレよ。この被害者、傷害で訴訟出来るの。京都の子」

 

「今わかったよ。なんでめっちゃ焦ってるか。

 事故処理の示談じゃなくって、傷害で訴えられるんけ❔」

「そうそう。その子、来てたんでしょ❓ここに」

「そうや」

「納得してる❓本人は」

「いや。意識が無いうちに京都の病院に運ばれてたらしい。

 んでも。ボードのメーカーの手配らしいし、ちょっと話せない事情もあったんだ。確かめないとね」

「何を確かめるの❓」

「加害者の事や。調査依頼に切り替わるから、あとで話すよ」

「わかった」

 

 ようやくひと息入れて、麻衣子は自分でミルクティーとコーヒーお代わりを取りに、階下へ降りて行った。

 喉が渇くほど、息せき切って伝えてしまいたかったのか。

 

 

 

 


「この件の捜査、まだ諦めてない人がいるんだ。警視庁の谷警部。警部から受注したんだが、オレ達は被害者のフォローの方が大事だし、そっちで受けるつもりだ」

「私も、被害者が訴えれば、起訴で裁判できる立場よ❓

 その谷警部とは別で、鑑識課の京極さんが、私んちの大家さんの息子なんだけど、訴訟が来てないか?って。勝てるよって。

 

 3日前に届いて、今鑑識で検査中なんだけど、それが被害者の血痕とは判明してるけど、加害者の血液はまだ、収集出来てない。決定的な物的証拠には成るけど、逮捕状出ないとね」

 

「スキーウエアのサイズは❔」

「メンズのXL。身長は175cmから185cmくらい。横幅はOサイズ対応のダボダボに余裕はあるって」

「メンズのXLなら、めちゃめちゃでっかい奴や」

「あ、でもスノボは”ガボッとめ”に着るらしいよ?

 京極さんもスノボ初級者なんだって。171cmだけど太ってるからXL着て大丈夫って」

「へえ」

「それにそれに。しかも黒一色のレンタルスキーウエアだった」

「どこのレンタルショップ❔」

「白石蔵王ゲレンデの。一番下のレストハウスのレンタル・コーナーの」

「そこからアシが付いたんけ❔」

「そうみたい。1週間も返却が無かったから、鉄道公安に駅のコインロッカー管理部署へ問い合わせたんだって」

「それでか。で❔1週間以上ロックされてる番号を解除して、発見。なんだね❔」

「そう。そのとおり。事件性があるって事で、警視庁に連絡」

「なるほどね。まあ飲めよ、紅茶」

「ありがと」

 

 

 

 

 

 

「麻衣子。こちらも新事実発覚だ」

「どんな❓」

「被害者の河隅さんと、黒田玲苑の関係だ。

 夕方まで、河隅美咲さんがヒカル君と来てたんだ」

「それで❓」

「まあ、待て。

 ちなみに、河隅美咲さんには『GENTO』っていう名の恋人がいるんだ。『フランドル』ってバンド知ってるか❓」

「ぁ、、、っと。聞いたことある。『フランドル』ってヴォーカルが俳優も演ってるヒトでしょ❓」

「らしいね。知らんけど。

 そのバンドのギタリストだそうだ。デビュー前からの昔馴染みで、付き合ってるそうだ。だから、黒田玲苑は彼氏じゃない」

「そっかぁ。。。あっ待ってびっくりマークちょっと」

「なんや❔」

「その『フランドル』ってね、たしかYouTubeとか生配信で人気出て、今度武道館で演るんだよね!?ライヴハウスから地道に活動しててね、とうとう武道館まで辿り着いちゃったのよ!!

「いつ演るの❓」

「4月のゴールデンウイーク最初」

「えっ、、、てことは。。。」

「それよびっくりマーク中止になっちゃうのよびっくりマーク

四月末まで武道館使えないもん」

 

 

 オレはCOUFUSIONして来た。オレの頭ん中グルグル。

 これは、ひょっとしてめっちゃ大きな組織も動いた事後処理なのか。。。!?ヤバイ。ヤバい一件や、これ。

 

 オレもとりあえずもう一杯のコーヒーを口にしたが、麻衣子も顔色が真っ青だ。赤く成ったり青く成ったり忙しい奴だが、麻衣子はいつも、こうやってデカイやばい一件を引き当ててしまうのだった。

 

 ひとつ言える事は、、、黒田玲苑の所属するエージェントはめっちゃデカい組織で、GENTO君とやらと美咲ちゃんは、めっちゃ弱い立場なのだ。

 どうする探偵驚き引き受けて大丈夫か❔

 

 

 オレの頭の中も珍しくガチャガチャ動き始めた。

 

 待て待て。あの二人の経緯を話してみては❔

 検察官マイコ星君が頼りなのだ☆彡

 

 

 

 

 

ーーー to be continued.