連作ミステリ長編☆第3話「絆の言い訳」Vol.1-④ | ☆えすぎ・あみ~ごのつづりもの☆

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~私立探偵コジマ&検察官マイコのシリーズ~

 

Vol.1-④

 

 ホテルマンの働き方は、種々もろもろ選べるシステムが有り、雇用体系も生活リズムも選択の自由が与えられている。

 

 直雇用の常勤以外にも、空いている日にスポットでブッキングしてもらえたり、1ヶ月間以上海外へ身内に逢いに出かける女性も居たりする。

 土日だけ宴会場の主賓やメインを担当する、個人事業主も居れば、専念する職場で閑期も出勤する常備の人は、エージェントから正社員登用に切り替えて、昇進や役職付きを目指す人も。

 

 リゾートホテルとシティホテルを梯子して、繁忙期と閑期を上手く組み合わせ、正社員よりも稼ぐ働き方も、存在する。

 

 河隅美咲は、直雇用契約での常勤で、土日祝日の宴席と法人関係の接待ホスト側に居る場合とに分かれ、外国人接待の取引関係で重用されていた。閑期はスポットで頼まれ、またクリスマス時期のみ毎年行くこじんまりしたホテルもある。

 

 エージェントと本人のスキル次第で、信用問題や守秘義務さえ破らなければ、ライフスタイルに合わせて、永く就業できる。

 スキーヤーやサーファーなど、季節労働者にも働きやすい職場でも在るのだ。

 着物の着付けを出来るので呼び出されたスポット出勤も含めると、ある年の申告が源泉徴収票が11社になってしまった事があったのだ。

 

 

 

 

 

 

 そして美咲は、ゲレンデで働いている冬季も、大好きなコンサートに行く事はスクールを一旦離校して月1回は通う、大切な趣味だった。

 ライヴハウスからスタジアムやドーム、屋外イヴェントまで休暇の連休ごとに、通う。京阪神へ帰省せずに長野県や新潟県へ向かう事も。

 

 この『京都会館』だった〈ロームシアター京都〉は、沢山の記念ごとや少しの傷跡を残した場所なのだ。

 

 

 

 

 『黒田玲苑』(クロダレオン)は本名なのかは知らないけど、名前とルックスのイメージによく合う、男性としてはとてもKEYの高い透明で甘いトーンの歌声だ。

 

 繊細そうで清潔感のあるルックスがヴォーカルと合わさると、妙齢の女性はひとたまりもなくポォ~ッと見とれてしまうようだ。一生懸命に励ます歌詞にも、助けられるキャリアウーマンが居るかもしれない。

 

 いずれにしろ、実力派というよりイメージ先行でTV番組露出が多くなり、シンガーソングライターには稀有な人気の在り方を作り始めていた。

 後々、バンドのグループやソロにも増えて行ったタイプではあるけど、ビジュアル系とは違うジャンルの先駆けみたいな存在に映っていた。

 多分、デビューは遅い。アイドルから路線変更したのでは❔という感じのアーティストだった。対外的には。

 

 

 

 私は、まだまだスポーツ選手としてもインストラクターとしても、スノーボーダ―を辞めてしまう気はない。

 ゲレンデにだってイケメンは居るけど、惹かれたりなびいたりしても、今はまともに向かい合ったり、彼女としては誰とも付き合おうとはしていない。

 

 自分の夢や目標を犠牲にしても追いかけたり助け合ったり蜜に接したりしようとはしていないので、逆に言えば、それほど惚れてしまう出逢いもなくても、良かった。

 

 学生時代から付き合っていた彼氏もフェイドアウトしてしまった今、恋心や愛情が無くったって幸せを感じる状態。

 人間関係にも、恵まれているからかもしれない。

 

 他人と違う価値観かもしれないので、あまりおおっぴらには告げないけど、そういう自分も好きで居られて、その自分を丸ごと受け入れて好きでいてくれるなら、自分も相手へもっと歩み寄れるのかもしれない。

 

 だけどいつか、『燃え尽き症候群』みたいに、私もゲレンデに居ても心浮かない日々が、やって来るのだろうか。。。

 

 でもでも。『気が済んだ』のなら、それで辞めても良いではないか。その日が来るまで、没頭していたいのだ。

 

 

 

 

 

 

 

ーーー to be continued.