息をたくさん吸うことについて | 音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

♪アレクサンダー・テクニークを演奏に生かすレッスン♪
~ココロを自由に、カラダも自由に、自分らしく生き、演奏する~
アレクサンダー・テクニーク教師&フルート奏者の嶋村順子です。
演奏者の心理的・身体的問題を解決する方法を探求しています。

【息をたくさん吸うことについて】


人間の肺の大きさは体格などの違いにより変わります。
また、呼吸筋の発達も、その人の経てきた背景により違います。
肺活量や呼吸機能はひとりひとり違うわけです。
もし初心者が呼吸量を増やしたい時、
むやみに急いで息の量だけを求めたら
不自然な努力を伴うブレスコントロールを身につけてしまいそうです。

初心者であるほど、ブレストレーニングは注意深く進める方が良いと考えます。

そして楽器によっても息の事情が変わります。
私が中高の部活時代にあった「全体基礎練」で、

一つの音を16拍伸ばす練習を一斉にやるわけですが(泣)
フルートやチューバのメンバーは必死でロングトーンするも、16拍もたずに次々と脱落。
このような練習も、呼吸筋を鍛えるトレーニングとしての意味はあると思います。
ただ、「これを音楽にどうやって結びつけるんだろう」といつもモヤっとしていました。
我慢大会ではなく、

あくまでも演奏技術としてのブレスコントロールに取り組めたら良いなぁと思います。

でも、この無茶振りロングトーンにも良いことがありました。

高校生の私はモヤっとしながらもなんとか16拍達成できないかと、

ひたすら自己観察しました。

 

たくさん息を吸うために、胸郭(肋骨)の動きに注目したり、

吸った息を、肺のどの高さに入れるか、いろんなイメージで試してみたり、
音を出しながら、胸郭や腹筋をどの順番で使うとより長持ちするのかを試行錯誤したり。

身体の感覚と共にたくさん吸うコツ、長く音を持たせるコツを掴む経験を得られて、

それはそれで今も役に立っています。


・・・・・


時は経ち、演奏活動を職業とするものとなり、
AT教師として動きの解剖学にも多少は詳しくなりました。
呼吸に関する動き、肺や横隔膜の位置や働きも理解が深まっています。
長い長いロングトーンの中でカラダをどう使うかについても

管楽器の演奏者としてそれなりに情報を持っています。

私がこれまでの経験で獲得したブレスのための身体の使い方を、いくつか言語化してみました。

 

 

【ブレスコントロールに関する私のプラン】

 

・たくさん吸う時には、肋骨の動きのイメージとその身体感覚を意識する

 

体幹を安定させることで、ブレスコントロールの強化に繋げる(身体全体の連動)

 

・多く吸う時、肺のどの高さに息を入れるかは、次に出したい音色によりイメージを変える

 

・自分の息の量を認識して計画的に使う音楽的脈絡にマッチさせてワンブレスを有効活用する)

 

・ひと息では持たないフレーズは、前後の脈絡を音楽的に処理してブレスの時間を作り出す

 

・毎回のブレスで最大量吸うのではなく、次に必要な量を吸うことで不必要な筋肉緊張を避ける

 

・吸気(息を吸う)と呼気(息を吐く)それぞれの筋肉を理解し、うまく使い分ける

 

・楽に息が流れる健全な呼吸を基本にすることを心がける(過剰な緊張状態はできるだけ解除する)

 


などなど、他にもあります。

レッスンでブレスコントロールの話になりこんなことをお話しすると、さまざまな反応が返ってきます。


「ああ。これはわかる、自分もやっています。」

「自分が思っているのと逆のように思える。どっちが正しいんですか?」

「以前、指導の先生に言われたことが、今の説明で少しわかりました。」
「ここの動きが関係しているなんて考えたこともありませんでした。」

「ずっと前にうまく行ったやり方と同じ面もあるし、違う面もある。」
「今私はこう考えていますが、身体は何をやっているのでしょうか。」

実に反応はさまざまです。
そして、私の言語化したブレスに関する身体の使い方やイメージにより
生徒さんたちが改めて自分の身体の動きやブレスに関して考えてきたことが浮き彫りになります。
そこから、一緒に再検証。
今ここの自分が気持ちよく快適にブレスを扱えるやり方を探求していきます。
私のやり方やイメージは一つの選択肢として提供し、
あくまでも、ご本人の「やりやすさ」「実際に結果が良い」やり方を見つけ出していきます。

 

体感と考え。
今どうやっているか?

こうしてみたらどうなるか?
試して、整理して、良い感触を得られたやり方を言語化し、復習する。

一連のプロセスが、レッスンの中にあります。

 

・・・・・

 

皆さんが管楽器を学んできた経緯で、

ブレスコントロールに関して身につけてきたものは何でしょうか。

ブレスについて、どんな言葉で意識していますか?
それを身体の動きとして体感していますか?

そして今もそれが役に立っていますか?


もし、今の自分の演奏にうまく反映されていないとしたら、

再検証してみるのも意味があると思います。


管楽器は息で音楽を奏でます。息が命。
だからこそ自分の身体を使いこなしたい。

実際に演奏することを通して、

快適なブレスコントロールを今後も研究していきたいと思います。

 

 

あなたには輝く宝物がある。

 

 

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嶋村 順子 
ATI認定アレクサンダー・テクニーク教師&フルート奏者
SEI認定ソマティック・エクスペリエンシング®︎プラクティショナー
e-mail:junko.at.lesson@gmail.com

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