ダブルタンギング、トリプルタンギングの練習方法 | 音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

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アレクサンダー・テクニーク教師&フルート奏者の嶋村順子です。
演奏者の心理的・身体的問題を解決する方法を探求しています。

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管楽器の皆さんはダブルタンギングやトリプルタンギングの練習、どうやっていますか。

個人レッスンで専門の楽器の先生に習っている方はおそらく教わる機会があると思うのですが、

部活などでしか指導を受けられない人はなかなか練習のコツがわからず、「難しいなぁ」と感じているのではないでしょうか。
先日レッスンに伺った高校吹奏楽部でも、かなり難易度の高いクラシック曲を練習していて、生徒たちがトリプルタンギングに困っていました。
 

そこで、相談を受けた2名の生徒さん(楽器を始めてまだ1年も経っていないフルートの生徒さんと、すでに5年目のホルンの生徒さん)に、ダブルタンギングとトリプルタンギングのレッスンをしました。
するとホルンの先輩だけでなく、ほぼ初心者のフルートさんでもその場でトリプルタンギングが早くできるようになり、ちょっと驚きました。 

 

これは私がかつてフルートの先生から教わった方法に、自分の経験と身体の知識を加えて考えた練習方法です。

もし皆さんのお役に立てるならと思い、書いてみます。 

 

 

【ダブルタンギング、トリプルタンギングの練習法】
 

 まず自分のタンギングを観察する 

a :
息の通り道をせき止めている(舌で栓をしている)舌の部分はどこで、
  その時、舌は口の中のどこに接しているか?

b : 息の通り道の栓を抜くときに動いている舌の部分はどこか?

c : 舌はどんな動きをしているか? 

d : どこが動いて、どこは動かなくてもいいのか? 
 

タンギングには個人差があります。
 

aは、口の中に触っているのが舌の先端なのか、舌先より少しだけ手前なのか。 

それは歯の裏、口の中の天井、唇の内側、マウスピース、リードなど、どこを触っているのか。
bは舌の前部分だけだったり、少し手前も一緒に動いたり、舌全部が動く場合も。 

cは舌の上下運動か前後運動か。

それが起きているのは舌のどの部分で、口の中のどこを動いているのか。 

dタンギングをしていて、いちばん楽で自由に動かせる時に動いている舌の場所と、動かなくてもいい場所はどこなのか。



などなど。。。

 

その人の口の中やアゴの形、舌の長さや肉付きによって使い方は様々ですし、何より自分が自分の舌の動きをどう認識するかはその人次第です。

まずは自分の舌の動きを「できている、できていない」「うまい、へた」という視点を手放してよく観察してみてください。 

もしかしたら、この時点で改善策を見つけられる人もいるかもしれません。
 

 

 いろいろなタンギングを試してみる 

初心者が最初によく教わるタンギングは「トゥートゥー」という「Tu」の発音です。 

ところが、楽器のタンギングにはもっとたくさんの発音があります。

「TuTuTuTu」「TeTeTeTe」「ToToToTo」

「RuRuRuRu」「DuDuDuDu」「DeDeDeDe」などなど。

自分がやりやすくて、これから演奏する曲のイメージに合うタンギングはどれかな?

ということも考えながら、いろんなタンギングを試してみてください。 

 

 ②で見つけたやりやすいタンギングで、ダブルタンギングをやってみる

「TuKuTuKu」「TeKeTeKe」「ToKoToKo」
「RuKuRuKu」「DuGuDuGu」「DeGeDeGe」などなど。。。

へえ、こんなにいろいろあるのか、と思われたでしょうか。
特に「RuKu・・・」や「DuGu・・・」は発想になかった、という方が多いですが、結構やりやすいですよ。

 

④ ダブルタンギングの裏(「TuKu」の場合は「Ku」)の発音を強化する

ダブルタンギング初心者は、表のTよりも裏のKの発音が弱いと思います。
そこで、ゆっくりと「Tu~Ku~Tu~Ku~」と
母音のウ(声は出しません)を伸ばすように息を入れて練習します。(パターンA)
「DuGuDuGu」が好きな方は「Du~Gu~Du~Gu~」です。
全て同じように息圧がかかり、発音の勢いが揃うようにやってみます。

次に先ほどのパターンの表と裏をひっくりかえして、
「Ku~Tu~Ku~Tu~」「Gu~Du~Gu~Du~」とやります。(パターンB)
パターンAとパターンBに差がなくなることを目指して、裏のKuやGuの発音を強化します。

もっとしんどいですが「Ku~Ku~Ku~Ku~」「Gu~Gu~Gu~Gu~」という
裏だけでタンギングするパターンもできたらやってみてください。

 

⑤ パターンAとBを早くやってみる

KuやGuの強化ができたら、吹きたいダブルタンギングのパッセージを使って
「TuKuTuKu」と「KuTuKuTu」、「DuGuDuGu」と「GuDuGuDu」
パターンAとBのタンギングのやり方を両方交互に使って練習していきます。
ここまで来ると、だいぶダブルタンギングの表裏の粒がそろってきていると思います。

 

⑥ トリプルタンギングに挑戦する

ダブルの粒がそろってTuとKuのバランスが良くなってきたら、トリプルに取り掛かります。
ダブルの時と同じく、いろんなパターンで粒を揃えていきます。
「TuKuTu、TuKuTu・・・」「KuTuKu、KuTuKu・・・」

コツは、ひとつひとつが短く詰まらないよう、母音のウを意識することです。
もし短く詰まってきたら、発音が甘めの
「DuGuDu、DuGuDu・・・」「GuDuGu、GuDuGu・・・」
で練習して、うまく行き始めたら
はっきり発音する「TKT、TKT」「KTK、KTK」に戻します。


だいぶ詳しく練習パターンを書き出してみましたが、
この練習をする時には次のことに注意しながらやることで、一層練習の効果が上がると思います。


【ダブル・トリプルタンギングの練習で意識したいこと】

 

大切なのは、舌の筋肉のつくりや位置、動きを知ること。

舌の肉は結構大きくて、のどの方から舌が始まっています。

タンギングで素早い動きをしているのは、舌の先の方だけですね。
舌の手前側、口の奥にある方はあまり動く必要はありません。
奥の方にある舌の肉がギュッとなっていると、舌の筋肉全体が固くなり、舌の先端の動きを邪魔してしまいます。
なので、舌の筋肉の始まる口の奥の方の部分はなるべくお休みしている方が良いと思います。

この時、『首が緩んで頭が動けるように』というアレクサンダー・テクニークが役に立ちます。
首周辺の緊張を緩めると、喉周りも緩み、舌の奥の方もお休みしやすいです。

舌の筋肉はとても賢く動ける筋肉なので、とてもすばしっこく細かい動きができます。
舌の奥の方が柔軟でいてくれると、舌の先の方が素早く動けて、タンギングするのに便利です。


【まとめ】

ダブルタンギング・トリプルタンギングの練習プランをまとめると

・舌の奥はなるべくお休みして、先の方がすばしっこく動けるように。
・表の「Tu」と同じくらいはっきり発音できるよう、裏の「Ku」を強化する練習をする。

・「Ku」が強化されていることを信じて、TuとKuの粒を揃えたタンギングをする。

・TとKの発音の瞬間だけでなく、ウ(Tuのu)にも息をしっかり送ることで安定した発音をする。

 

うまく伝わったでしょうか?
奏法の練習方法を言葉で伝えるのって難しいですね。
以上、ダブルタンギング・トリプルタンギングの練習に関して、でした。
良かったらお試しください。