有斐閣から注目すべき近刊が多数出ています。

その1。


松井茂記『LAW IN CONTEXT 憲法 -- 法律問題を読み解く35の事例』(有斐閣)

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641130845


法学教室の「演習」コーナーを中心にしたものだと思いますが、事例の数からして新問も多いと思います。

事例そのものは短く、新試験の対策(具体的にはあてはめの練習)には足りないところもあるかもしれませんが、取り上げられていた素材はいずれも身近なものであり、憲法を考えるのに適切な素材も多かったと思います。


あと松井先生も、最近急に勢いづいてきた、三段階審査論へのコメントも欲しいところです。


出ていました。


平成22年度旧司法試験第二次試験論文式試験問題と出題趣旨(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/content/000056976.pdf


新試験と異なり短いです。

民事訴訟法の出題趣旨が興味深く、


第1問では、
「債務不存在確認の本訴に対して同一の債務に係る給付を求める反訴が係属している場合に,民事訴訟法第261条第2項ただし書の規定を文言どおりに適用してよいかどうか」

第2問では、
「これらの原則を形式的に適用して差し支えないかを論ずべき」


とあり、条文等の原則を形式的に適用して良いか、ということが両問共に問われていたわけです。原則の提示→原則をそのまま適用することの問題点→ではどうするか?、という思考を問うもので、考えてみる価値のある問題です。

平成23年司法試験予備試験 受験案内

http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji07_00014.html


既にこのblogでも取り上げていますが、旧試験とは異なり、年内の出願です。ご注意下さい。

http://www.moj.go.jp/content/000056233.pdf


12月14日の消印有効です。

受験資格はありません。どなたでも。

公認会計士試験で近時あったように、10代の方の合格も制度上はあり得ます。


司法修習生:給費制を維持…民・自・公、議員立法で調整(毎日jp)

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101118k0000e010052000c.html


貸与制導入直前に民主党の法務部門会議が給費制維持を決め議員立法へ動き出していましたが、自民党の反対で頓挫していました。しかし、記事にもあるように政治的な理由によって、また維持の方向に動き出しそうです。


しかし、これから何が起こるか分かりませんので、法律が成立するまでは予断を許さないところです。

さらに記事によると、


「このため、貸与制導入を1年間先送りする暫定措置が有力となっている」


とありますので、今後も給費制が続くかは分からないところです。


日弁連などは修習生の生活苦を前面に出し、マスメディアの中にも借金を背負う修習生という観点から取り上げていますが、生活苦が強いられているのは、法曹の卵だけではなく、一般市民も同じだと思います。むしろ「一般市民の方が苦しい」と反発されるだけです。なおマスメディアは修習の貸与制を色々取り上げていますが、社説レベルでは給費制維持に反対の方が多いように思いました。取材している現場と、論説委員では意識が違うのかも知れません。


「法曹になりたければ、修習を法律上強いられる。それなのに貸与はひどい」という論理を前面に出した方が、給費制維持の理由付けにはなるのかと思います。ただそうなると、「だったら修習制度を廃止すればいいのでは?」という意見が出てくる可能性もあり、日弁連はそれを恐れている可能性はあります。


法学セミナー2010年12月号の特集で、最も法科大学院生等にとって有益なのは、以下の記事だと思います。

(他の記事も有益ですが、受験生は読まなくてもよいと感じました)


小山剛・2010年新司法試験合格者「法科大学院の学内試験を考える――教員と学生、それぞれの観点から」法学セミナー2010年12月号

「学内試験をどのように活用すべきか。まず、試験ができなかったからといって落ち込むのだけはやめてほしい。学部の試験と異なり、法科大学院の試験は、教えた範囲から出題するとは限らない。教えたことを基礎にすれば解答への糸口をつかむことができる、という範囲で出題している。満足いく成績が得られない場合には、上述の諸点-適用すべき憲法上の選択、その権利の理解、基本的な対立軸、審査手法(たとえば適用違憲)-のどこかに理解不足があったということである。法科大学院は褒められるために来るところではなく、学内試験も、自分の理解不足を具体的に確認するところにその意義がある。手痛い失敗をすることが、上達への良薬である。

 反対に、できたといって有頂天になるのもやめてほしい。人権と手法のいくつもの組み合わせのうち、たまたま自分に相性の良い組み合わせが出題されただけかもしれない。運も実力のうちであるが、運は本番にとっておくべきであろう。冒頭で、最近は余裕をもって出題できるようになったと言ったが、それは、一つまたは二つの試験問題のなかにすべてを入れ込めなくてもよくなった(もとよりそれは不可能)ことが大きい。一回の試験で測れるのは、限られた人権ないし手法についての習熟度であるにすぎない」


この記事は前半が小山先生の論説、後半が慶應大学法科大学院を修了し、2010年の新司法試験に合格された方のコメントという構成になっています。後半では今年の合格者が、憲法を素材に、学内試験の活用法、憲法の事例問題の解き方、勉強の仕方を簡潔に要領よくまとめていらっしゃいますので、この部分もお読みになることをおすすめします。


法学セミナー2010年12月号

http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_housemi.html


●特集= 検証 法科大学院の新たな論点

 [座談会]
 法科大学院における民事法教育…大村敦志・鎌田 薫・潮見佳男・松本恒雄

 [論点1] 入学定員削減・新司法試験合格者数の動き…藤田尚子
 [論点2] 共通的な到達目標…上石奈緒
 [論点3] 予備試験…池田雅子
 [論点4] 法科大学院の再編…三澤英嗣

 [連載:法科大学院の論点 3]
 法科大学院の学内試験を考える――教員と学生、それぞれの観点から
 …小山 剛 ・ 2010年新司法試験合格者

このうち、「法科大学院における民事法教育…大村敦志・鎌田 薫・潮見佳男・松本恒雄」における発言から、いくつか引用。


「これまでの新司法試験の合格者を出身別で分類すると、平均点が最も低いのは法学部出身者の未修者といわれていますから、法学部を出ながら未修者として入学する人たちの集団は、何か一定の問題を抱えているのかもしれません。ただし、2010年の新司法試験の全国1位と2位の合格者はいずれも早大(早稲田大学-ESP補足)法学部を卒業して未修者コースに入学した方だと聞いていますから、全体の状況にも少し変化が生じているのかも知れません」(同誌5頁の鎌田発言)

 →ESPコメント:この傾向は確かに色々と指摘されています。ただし、いわゆる純粋未修者は受け控え率が高いと言われていますから、純粋未修者はある程度自信のある人(または開き直った人)が受験層になっており、他面、法学部出身の未修者は受験する傾向があるのかも知れず、それが数値の違いに反映している可能性もあります。


「私は1年次の未修者に対して、2年に上がる前の段階で、法科大学院の民法教育の全体像を示しています」(同誌7頁の潮見発言)

 →ESPコメント:試験範囲には限定がないこと、法律科目は全体が分かって初めて理解できることも多いことからして、全体像をつかむことは極めて重要なことだと思いますし、その意味で、潮見先生のされていることは、受講生の大きな参考になるものと思います。全国の民法の先生が、潮見先生のようなことをしてくれるとは限りませんから、勉強する側が自主的に常に全体像をつかむ努力をする必要があると思われます。


座談会の内容はためになるものでありましたが、ただ座談会が「民法教育」ではなく、「民事法教育」と銘打っており、かつ、法科大学院・司法試験・司法修習では民法と民訴の基礎理論を融合する要件事実論も無視できないわけですから、せめて民事訴訟法の先生もおられれば、と思ったりもしました。

また、司法試験は司法研修所入所試験でありますから、司法研修所教官の先生や、派遣裁判官教員の先生も座談会に加わって頂ければ、なお有意義になものであったと思いました。


法務省のページにアップ。

受験予定の方はお忘れなく。


平成23年新司法試験 受験案内(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00021.html


なお願書によると、試験時間割は以下の通り。


5月11日(水)
9:30~12:30(3時間) 論文式試験(選択科目)
13:45~15:45(2時間) 論文式試験(公法系科目第1問)
16:30~18:30(2時間) 論文式試験(公法系科目第2問)
5月12日(木)
10:00~12:00(2時間) 論文式試験(民事系科目第1問)
13:15~15:15(2時間) 論文式試験(民事系科目第2問)
16:00~18:00(2時間) 論文式試験(民事系科目第3問)
5月13日(金)
なし
5月14日(土)
9:30~11:30(2時間) 論文式試験(刑事系科目第1問)
12:45~14:45(2時間) 論文式試験(刑事系科目第2問)
5月15日(日)
10:30~13:00(2時間30分) 短答式試験(民事系科目)
14:15~15:45(1時間30分) 短答式試験(公法系科目)
16:30~18:00(1時間30分) 短答式試験(刑事系科目)

合格発表日は

平成23年9月8日木曜日。



後藤昭「刑事系科目(2)〔刑事訴訟法〕」ロースクール研究16号71頁

3 伝聞法則へのこだわり?

 取り上げる問題の種類からみると、新司法試験の出題者は、数年来、伝聞法則にこだわっているようにみえる。伝聞法則の正確な理解を求める気持ちは理解できる」


過去の新司法試験の刑事訴訟法の問題を見る限り、新司法試験実施当局が伝聞法則にこだわっているのは、後藤先生の指摘の通り事実だと思います(同種前科、類似事実の証拠能力が問題となった第2回目を除いて、サンプルテスト・プレテストも含めて、証拠法については伝聞法則が出題)。


伝聞法則について、伝聞証拠禁止や伝聞例外の構造は理解できても、具体的事実を前にして、伝聞証拠への見極めが難しいところです(あてはめの難しさ)。新試験対策としては、伝聞法則の問題(特に伝聞と非伝聞の区別の論点があるもの)をたくさん集めて、それを集中的に解いて、答案作成してみて、慣れるしかないのかもしれません。「百マス計算」ならぬ「百マス伝聞」という問題集でもあると、受験生にとってはありがたいかも。


SHIORIさんの『作ってあげたい彼ごはん』シリーズ。

それができるまでの舞台裏。


SHIORI『ミラクル 「彼ごはん」で夢をかなえた私の物語』(宝島社)

ミラクル 『彼ごはん』で夢をかなえた私の物語/SHIORI
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夢や目標をどのように実現すべきかについて、参考になる本だと思いました。

本書で紹介されている「夢をかなえるための7箇条」はあらゆることに応用できそうな気もしました。


失礼ながら、著名な大家による『工業所有権法』や『債権各論』と同じように、当面続刊は出ず、1巻の捜査法で足踏み状態が続くのかなと思っていたのですが、続刊が。


平良木登規男『刑事訴訟法Ⅱ』(成文堂)

http://www.seibundoh.co.jp/pub/search/021911.html


証拠法、特に新司法試験の出題者も大好きな伝聞法則については、実務家ないし実務家出身の先生による記述が分かりやすいことが多いので、期待したいところです。