2010年の今、先行き不透明、政治、経済における様々な分野での「迷走」などが目立った年であるように思います。
しかし、これは新しい時代に向けた「混乱」なのかもしれません。私は現状が決して楽観できるとは思っていない反面、他方で、わずかではありますが、「ヒカリ」も感じます。その「ヒカリ」をたどって、来年は新しい時代を「つくる」意気込みで頑張っていきたいと思います。
今年も当blogをご覧下さいまして、どうもありがとうございました。
来年の2011年もどうぞよろしくお願いします。
2011年が、みなさまにとって大変素晴らしい年でありますように。
ESP
前田陽一=本山敦=浦野由紀子『LEGAL QUEST民法6 親族・相続』(有斐閣、2010年)
- 民法 6 - 親族・相続 (LEGAL QUEST)/前田 陽一
- ¥2,835
- Amazon.co.jp
読了。
読後感ですが、家族法分野における条文の重要性を改めて感じさせてくれました。
適宜条文を参照しながら読んだのですが、恥ずかしながら、はじめて読んだような条文もあったりして、発見もありました。
おそらく内田先生や、二宮先生の本を読んだ後には、こういう感想は持たなかったと思います。
「はしがき」(前田陽一先生執筆)において、
「執筆に当たり、さまざまな制度の基本的な枠組みについては、基礎となる概念や制度趣旨を踏まえた体系的な説明をすることに心かげた」
と書かれており、さらに執筆の際にスタイルの参考にしたものとして、(条文、要件、効果、制度趣旨、判例の説明に徹した)有斐閣双書を挙げておられましたが、内容もそのスタンスが貫かれているように感じます。
教科書の共著にはメリット・デメリットがあると言われますが、この本は共著のメリットが生かされ、内容は個人の興味関心に偏ることなく、家族法の制度の仕組みが、条文、制度趣旨、判例をベースに、バランスよく記述されていると思いました。
著者の先生方はそれぞれ家族法分野について、論文を多数書かれておりますが、教科書内では自説を押しつけるような記述は控えめです。
とはいえ、単に条文と判例が平坦に書かれているのではなく、条文の背景にある考え方は丁寧に説明されています。特に第1編第3章親子の部分(本山敦先生執筆部分)は、個別の制度の仕組みはもちろん、民法が親子制度について、どのような考え方考えているのかがよく分かる内容でした。118ページの、「自然的血縁関係と必ずしもイコールではない」という文が大変重く感じます。
過去の新司法試験の民法部分の問題をみますと、短答、論文共に、家族法分野の出題が(割と)目立っています。
これは法曹実務における家族法の事件の多さ(なお、本山敦「家族法の道案内」山野目章夫『民法学習ガイド』(日本評論社、2010年)152-153頁も参照)に起因して、「実務についたり、司法研修所に入る前に、家族法もちゃんと勉強してきて下さい」というメッセージであると思います。
というけで、法学部や法科大学院等で家族法を勉強する人のみならず、法曹を目指す新司法試験(司法研修所入所試験)や予備試験の受験生の方にもおすすめできる一冊です。
bankruptcy:相続財産の破産の例(Matimulog)
http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2010/12/bankruptcy-d11a.html
相続財産の破産は何のためか?
以下の説明が参考になります。
前田陽一=本山敦=浦野由紀子『民法Ⅵ 親族・相続』(有斐閣、2010年)333-334頁[浦野]
「限定承認や財産分離と同様の機能をもつ制度として、相続財産の破産がある(破産法第10章)。相続財産破産は、相続財産が債務超過の場合に、相続財産を換価して相続債権者に公平に分配するとともに、清算後の残余債務のみを相続人の負担として承継させることで、相続人の固有財産を保護するものである。
(中略)
限定承認・財産分離と、相続財産破産との相違点は以下の点にある。第1に、限定承認・財産分離が相続人にによる簡易な清算手続であるとすれば、相続財産破産は、選任された破産管財人による、より公平かつ厳格な清算手続である。もっとも、これら諸制度の間に優劣関係はなく、事実上、相続財産破産の制度が用いられることはほとんどない。第2に、限定承認・財産分離は、相続債権者や相続人の固有債権者との関係で責任財産の範囲を限定する効力をもつが、相続財産破産の制度にはそのような効力はない。したがって、破産手続が終了し、残余債務がある場合には、相続債権者は、限定承認がなされていない限り、なお相続人の固有財産に対して権利を行使することができる」
「櫻井・橋本」でおなじみの橋本先生による本。
2011年1月下旬発売予定。
橋本博之『行政判例ノート』(弘文堂)
http://www.koubundou.co.jp/books/pages/35493.html
あっ、「櫻井・橋本」とは、もちろん以下の本です。
- 行政法/櫻井 敬子
- ¥3,465
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債権法部分が改正されるまで、改訂版は出ないかと思っていましたが。
来年2月に第3版とのこと。
内田貴『民法2 債権各論[第3版]』(東京大学出版会)
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-032332-1.html
自由と正義2010年12月号
http://www.nichibenren.or.jp/ja/publication/jiyutoseigi/2010_12.html
座談会 法曹養成の現場から(法科大学院、司法修習、実務の連携)
座談会の中で、私が注目した発言を以下、引用。なお、アンダーライン、強調は引用者。
「私が担当する授業についてですが、『リーガルクリニック』という授業科目はもともと3年生を対象としていました。ただ、3年生になると、どうしても司法試験が気になり、受講がふるわず、現在では2年生まで受講対象を拡大しています。
そして、2年生・3年生だけでは専用法律事務所の施設がもったいないので、1年生にも開放しています。なお、1年生の場合には、『プレ・リーガルクリニック』と言って、正規の授業ではなく、任意参加のプログラムとして実際の仕事の様子を見てもらっています。1年生の段階でそれを見せておくと、これからの勉強をどのようにしたらいいのか、教科書を読むときにどこを重点的に読んだらいいのか、判例の読み方はどうしたらいいのか、そういう問題意識が芽生えるという効果はあると思います。ただ、法律知識が足りませんので、問題点や論点を十分に理解したり分析したりすることはまだできない状態です。本来、3年生になると法的知識もついてくるので、事件処理のおもしろさや難しさが理解できるようになると思いますが、現在は、2年生が受講の中心になっているのでやや中途半端で終わっていないか、十分な効果が発揮できていないのではないかという懸念があります」(10-11頁の山口卓男発言)
「特に起案については、いざ書いてみたら案外書けない。実は、基礎的なことがきちんとわかっていないからうまく文章化できないといったことが、起案してみると身にしみてわかり、もっとしっかり基本を身につけておかないといけないとか、今の自分に何が足りず、何をしておかなければならないのか、そういった『気づき』を与える最も効果的な方法であろう思っています」(15頁の尾崎雅俊発言)
「法科大学院ごとにカリキュラムの内容、特に起案の内容とか添削の量、それから保全・執行等についての講義の内容などについてかなりばらつきがある」(17頁の柴崎晃一発言)
→民事執行法、民事保全法の扱いは法科大学院によって異なります。新司法試験の本番ではほとんど出題されていません(2009年度民事系第2問で若干問われましたが)が、民事裁判、民事弁護実務では必須ですので、法科大学院時代に履修・聴講することが推奨されると思います。
「これは修習のスキームの問題とは少し次元が違いますが、最近、司法修習生の思考傾向について、マニュアル志向が強いとか正解志向が強いというようなことを関係各方面で仄聞します。ただ、それらの志向は、修習生に固有の特徴というよりは、むしろ最近の若者の全般的特徴であり、法科大学院や司法研修所だけで解決できるような問題ではないという意見もあります」(17頁の柴崎晃一発言)
「私は、実務に就く段階でどれぐらいの力を求めるかの分析から逆算して、修習が始まった段階、新司法試験の段階、法科大学院の3年生、2年生の段階で、この程度までは到達して欲しいという考え方をしています。法律学の勉強は、ある程度の時間をかけなければ、土台部分が身につく来ません」(24頁の川崎直人発言)
「二回試験に合格して卒業していく修習生が全般的に問題があるとは私も思いませんが、われわれが修習生であった時代と比較して、修習生の知識が不十分だという印象をもつことが少なからずあります。実務に耐えられないという意味ではありません。
そもそもわれわれの時代と比べることがいいのかどうかという問題はありますが、やはり最近の就職事情を前提に即独立する新人弁護士もいることを考えると、少し心配の材料にはなっています」(26頁の柴崎発言)
「多様な領域で法律家が活躍するために数を増やしているけれど、しかし、今でも『ベーシックなところは訴訟法律家』というところから抜け出せないので、多様な教育を法科大学院でやれないし、仮にやっても出口は『法廷法律家』なのです。なぜなら、今でも司法研修所は、法律家になろうとするすべての人に訴訟実務の研修を義務づけて、そこをクリアしないと資格を与えない制度になっているからです」(29頁の四宮啓発言)
→極めて重要な指摘です。現行制度の「しくみ」は四宮弁護士が指摘するように、法曹三者として活躍するためには、例え法廷に立たなくても、訴訟実務を義務付ける司法研修制度を通ることになっています。そうなると、このblogで再三再四指摘しています通り、司法試験は実務家登用試験と言うよりも、「司法研修所入所試験」と言うべきだと改めて感じます。
「法科大学院の講師と司法研修所の教官をやってみて思いますが、司法研修所の教官から見ると、法科大学院でどんなことをされているのか具体的な中身まではあまりよく見えてきません。逆に、法科大学院の教官の方々は、たぶん司法研修所がどのようにやっているのか、わかりにくいのではないかと思います。司法研修所の教官には、守秘義務もあり、あまり具体的な中身を話せない部分などもあり、結局、情報の共有が十分とは言い難いのではないかと思います」(32-33頁の柴崎発言)
「司法研修所の教官と法科大学院で教えている方の意見交流の場に、2回ぐらい出たことがあります。現在では違うかもしれませんが、そこで感じたのは、司法研修所ではこうやって欲しいということは言われますが、法科大学院ではこうやっていますという、かみ合わない議論がなされているということです」(33頁の川崎発言)
いとう先生のblogを見る限りでは、第2版はそう遠くない時期に出そうです。
12月の仕事(いとう Diary ~ academic and private)
http://blog.livedoor.jp/assam_uva/archives/51935123.html
同記事のコメント欄にもあるように、リーガルクエスト会社法は大変評判のよい一冊であり、私も推奨する一冊です。司法試験受験界の会社法と言うと○○○○マインドでしたが、リーガルクエスト会社法はその地位を奪ったかなと言う感じがしています。同じ出版社ではありますが。
法制審議会がまとめました。
法制審議会児童虐待防止関連親権制度部会第10回会議(平成22年12月15日開催)(法務省)
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900059.html
「児童虐待防止のための親権に係る制度の見直しに関する要綱案」
http://www.moj.go.jp/content/000059741.pdf
民法の部分改正を伴うものですので、実務家はもちろん、受験生もこの動向に注視する必要があります。
債権法の全面改正より、こちらの方が早いかも。
お口の恋人 ロッテ|アイスクリーム|爽シリーズ
http://www.lotte.co.jp/products/catalogue/ice/01.html
「ゆず」が新シリーズとして登場。さっぱりしていて美味しいです。
しかし、なぜか4個セットのマルチシリーズのみ。個別のカップでも売って欲しいです。