他の法科大学院に進学予定の人にも、参考になるも(全てではありませんが)。

いずれも東北大学法科大学院のホームページから。


法学未修者コースに合格された方へ(平成23年度入学者版)

http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/110301-mishu.html


法学既修者コースに合格された方へ(平成23年度入学者版)
http://www.law.tohoku.ac.jp/lawschool/info/110301-kishu.html

刑事訴訟法は詳細で、参考になります。指定されたテキスト類も、新司法試験対策として、定評のあるものばかりです。

一部の科目では触れられていますが、既修者コースの人は、「新司法試験の」短答式試験問題を一通り解きながら、足りない知識を補充した方が、効率的であり、また、新司法試験の過去問分析・対策にもなって、一石二鳥だと思うので、時間のある方には、それを勧めます。


ただ、未修者コースの人への文章で、重要なことが抜けています。

それは、「六法」(法令集)について書かれていないことです

制定法主義をとる我が国において法律を学ぶ人が、真っ先に備えるべきは、やはり法令集だと思います。


「六法」には色々ありますが、最初は以下3つのいずれかで良いと思います。

(判例付きや、もっと法令のある大型タイプは、未修1年目では不要と思われます)

司法研修所入所を目指す人にとっては、学説をあれこれ知るよりも、条文のルール、概念を正確に理解する方が、大切だと思います(公法は完全にそれがあてはまらないかもしれませんが)。したがって、基本書を繰り返し読むこと以上に、条文を繰り返し読むことに力を入れるべきだと考えます。あえて言えば、基本書(ないし予備校本)は、条文を知るためのツールに過ぎないと言っても言い過ぎではないと思います。


ポケット六法 平成23年版/著者不明
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デイリー六法2011 平成23年版/著者不明
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岩波 基本六法 平成23(2011)年版/著者不明
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法務省のホームページでアップ。


平成23年新司法試験用法文登載法令(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/content/000069495.pdf


あんまり大きな問題でないようですが、今年度の憲法の採点実感では、次のような指摘もあるので注意。

公職選挙法のように,司法試験用法文に登載されている法令に関しては,解答に当たり検討することが必要な法令であっても,改めて参考資料として問題に付することはないので注意が必要である。本問では,問題文中で公職選挙法の条文番号を掲示しており,同法を司法試験用法文で参照した上で検討することが求められる」

http://www.moj.go.jp/content/000069353.pdf

※アンダーライン、強調はESP。


なお、ちょっと気になるのは、刑事系で、

「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)

が入っていること。

今のところ、裁判員法に関する問題は出題されてはいませんが、司法研修所入所試験という観点からは、裁判員制度の基礎的な仕組みを問うことがあっても、不思議ではありません。


入試投稿の疑い、予備校生逮捕「携帯使い一人でやった」(asahi-com。朝日新聞)

http://www.asahi.com/special/cheating/OSK201103030084.html

 

以下は、野村修也先生による解説。

 

入試問題ネット投稿事件(日テレNEWS24)

http://www.news24.jp/articles/2011/03/03/07177173.html

 

被疑者の予備校生にいかなる事情があるにせよ、今回の行為を正当化することはできないでしょう。

しかし、だからといって、偽計業務妨害罪という犯罪が成立するか、また、身柄拘束(逮捕)という強制処分まで必要であるかは、分けて議論されなければなりません。

 

まず、犯罪が成立するのかについては、専門家の中でも、意見は分かれています。

 

入試ネット投稿「偽計業務妨害」成立する?(Yahoo!ニュース。)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110302-00000128-san-soci

 

※ちなみに、藤本哲也先生は犯罪学の専門家でありまして、コメントの内容も、偽計業務妨害罪の構成要件に沿って検討していないように思います。ただし、藤本先生は、産経新聞に対する取材段階ではもっと詳細にコメントしているのかもしれませんが。

 

仮に偽計業務妨害罪が成立したとしても、逮捕という強制処分に踏み切る必要があったのか、という点はさらに問題になります。

刑事上の犯罪が成立すれば、逮捕・勾留できるわけではありませんし、しかも本件では、逮捕された予備校生は未成年であり、かつ、被疑事実を認めていますし、もはや発信端末が発覚した現在、証拠隠滅のおそれもないでしょう。

 

私自身は、犯罪は成立したとしても、逮捕までは必要なかったのではないか、在宅捜査で十分だったのでは、というのが正直な印象です。もちろん、民事上の不法行為に基づく損害賠償や、入試に対する失格処分(要は京大に合格させない)も必要だと思います。その点で、私は北海道大学の町村先生のblog記事に、私も共感いたします。

 

カンニングで逮捕は行き過ぎだ(Matimulog)

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2011/03/news-0c9f.html

 

また今回の事件を通じて感じたのは、偽計業務妨害罪の「守備範囲」は割と広いということです。今回の京都大学・捜査当局の理屈が裁判所に認められるのであれば、学内試験のカンニング等の不正行為はもちろん、授業での「代返」行為、内職行為、レポート等の剽窃も偽計業務妨害罪が成立してしまうのか。また、既に昔話になってしまった、慶應大学の法科大学院教員(当時新司法試験委員)の新司法試験問題の漏洩も、公正に行われるべき新司法試験の業務(公務)を、「妨害」したと解釈すれば、偽計業務妨害罪になってしまうのだろうか、という感想というか疑問を持ちました(ただし、新司法試験は「権力的公務」にあたる可能性があり、そう解するならば場合は、業務の中に公務を含む、という解釈が採用される必要があり)。

 

さらに今後は、試験で不正が行われた疑いが生ずるたびに、受験生側が、刑事告発するということが、常態化するかもしれません。

 

あと忘れてはならないのは、京都大学側の管理責任です。

尖閣ビデオ流出事件では、流出された側の責任がむしろ問題になりました。

今回の事件と同列には扱えませんが、やはり京都大学の管理体制もやはり問われざるを得ません。

判時2099号49頁以下。

東京地判平成22年3月29日


弁護士の共同経営事務所に関するトラブル。

具体的には、弁護士と女性事務員の不倫騒動をきっかけに、事務所が分裂し、それをめぐって様々な紛争が生じたもの。


詳しくは判決文を。


上記判決を紹介する判例時報のコメントでも指摘されているように、弁護士の共同経営が増加していく中にありますが、それをめぐってトラブルも増えてくると思います。特に経費の分担、報酬の問題など、「カネの分け方」をめぐるトラブルが増えてくるように思われます。


来月号から。


法学教室 2011年4月号(No.367)

http://www.yuhikaku.co.jp/hougaku/next


★事例で考える民法:佐久間 毅


新司法試験等でも最も重要とされる民法につき、事例演習教材が少ないとされてきた中で、いよいよ民法の事例演習の連載がはじまります。トップバッターが佐久間先生であり、大変期待できます。

また、法学セミナーでも来月号から、民法の事例演習の連載がはじまります。


あえて割り切ってしまえば、条文、判例、概念、そして学説は世の中の法律紛争解決のための「道具」に過ぎません。そのためには、「適切な」事例問題を通じて、その道具を使いこなせる能力を上げていくことが、大切だと思います。