3月1日です。


日時 2012年3月1日(木) 13:30~15:00
講師 落合誠一(中央大学法科大学院教授・東京大学名誉教授・西村あさひ法律事務所オブカウンセル)
テーマ 「会社法制の見直しに関する中間試案」の基本的論点
場所 東京大学本郷キャンパス法文1号館2階・法学部25番教室

http://www.j.u-tokyo.ac.jp/ibc/activities/business/open.html#01


中間試案についての解説のようです。


ただ、現行会社法がそうであったように、法務省の官僚、出向の裁判官・検察官、大手事務所の弁護士による条文化作業の段階で、法制審議会の答申とは異なる方向性の立法になる可能性も否定できません。


現行会社法での経験を踏まえれば、やはり条文の原案が出てこないと、何とも言えないところではないかと思っています。


弁護士になられたようです。


菊間千乃『私が弁護士になるまで』(文藝春秋社、2011年)

http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784163747804


私が弁護士になるまで/菊間 千乃
¥1,260
Amazon.co.jp

 

なお、菊間さんが受験新報に書かれた、合格体験記については、当blogで既に紹介しています。

http://ameblo.jp/espans/entry-10793374591.html

 

菊間さんの合格体験記は、真正未修者の方(今年4月から入学予定の方も含む)は、是非入手して、読んでいただきたいと思います。多く参考になると思います。



平成23年新司法試験の採点実感では、各科目、答案の形式面についての指摘が多数みられました。

その中でも、公法系第1問(憲法)では、


「常に多くの文字数分も行頭を空けていて(さらには行末も空けている答案もある。),1行全てを使っていない答案が,多く見受けられた。答案は,レジュメでもレポートでもない。法科大学院の授業で,判決原文を読んでいるはずである。それと同様に,答案も,1行の行頭から行末まできちんと書く。行頭を空けるのは改行した場合だけであり,その場合でも空けるのは1文字分だけである。」


として、答案用紙の行頭(左側)をかなりあけて書く答案に対して、疑義が示されています。

(採点にどう影響したかは不明)

 

この指摘、実は前も試験委員からされています。

  

(平成20年)新司法試験考査委員(公法系科目)に対するヒアリング
http://www.moj.go.jp/content/000006999.pdf
 
「答案の書き方について,採点に当たった委員から問題が指摘されているので,受験生に注意を促す意味で,若干述べておきたい。答案用紙の左側,行頭を4分の1ほども空けて記載している答案がある。多くの字数分を空ける書き方は,場合によっては奇異な印象を与え,特定答案とみなされる可能性もあるということに留意すべきである」

 

試験委員から同じ指摘をされるのは、望ましいことではありません。

 

ただ、受験生がそのような答案を書くのは、受験生が独自で判断したわけではなく、おそらく答案練習の添削や指導の際に、「行頭(左側)はかなりあけること」と指摘されたことに起因しているのかもしれません。誰が始めたか知りませんが、旧試験時代から、左側部分をかなりあけて書くことは、「常識」の類でした。そのような「常識」をもった人たちが今、受験生を指導する側にたっていると思われるので、このような結果になっているのかもしれません。

  

採点実感等を受験生が必読であるのは当然のこととして、受験生を指導する側も、せめて司法試験の実施当局から公開されたペーパーに目を通して、指導に当たってほしいなと思います。


法科大学院生、受験生必読のペーパーが出ました。


平成23年新司法試験の採点実感等に関する意見(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/content/000082799.pdf

 

すでにこのblogで繰り返し書いていますが、司法試験を受験する方は、1日も早く過去問(特に第3回目以降)、出題趣旨、採点実感を検討することが不可欠だと思います。

  

いずれ詳しく書く予定ですが、法科大学院入学予定の方(特に既習者コースの方)も、ぜひ次なる関門である司法試験の過去問を、できれば入学前に解くことをおすすめします。「過去問検討の前にやることが・・・」と思われるかもしれませんが、次なる関門突破のためには、まず司法試験が求めているものを分析することが大事だと考えています。


あといつも不思議なのですが、法律雑誌や受験雑誌で、出題趣旨や採点実感を丹念に検討する記事が見られないことです。特に法学セミナーは、例年、特集を組んだり、別冊まで出して問題検討をしているわけですから、是非とも、やってほしいなと考えています。


2011年も残りわずかです。
  
今年は「激震」の年だったと思います。東日本大震災、福島第一原発事故、暴力団との交流による大物芸能人の引退、大王製紙やオリンパス事件などの企業不祥事、北朝鮮の最高指導者の死去なとが挙げられます。また消費税増税方針決定のニュースも入ってきました
 
特に原発事故は、我が国のエネルギー政策の再考を求められたと思っています。他方で電力は国民生活に直結するため、脱原発だけでは問題は解決せず、仮に脱原発をとるのであれば、脱原発+α(代替エネルギー)がなければ、安心できません。しかし、原子力を全て代替できるエネルギーが見つからないのも事実であり、また昔ながらの火力・水力発電に頼るのも限界があります。国民の中に脱原発運動に違和感を覚える人がいるのは、代案を考えないまま、運動が進められていることにあるのかなとも思います(もちろん、代案をしっかり考えようとしている人もいます)。
 
大震災関係では、復興の促進が最優先であると共に、直接の被災地にならなかった地区は、大地震への対策が強く求められています。1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災と来ると、今度は関東・東海地方での大震災の可能性が頭をよぎります。いつ起きてもおかしくありません。東日本大震災は関東が震源地になったわけではありませんが、それでも首都圏は大混乱に陥りました。そうであれば、仮に関東・東海地方を直接の震源地とした巨大地震が来たら・・・と考えるとやはりぞっとするわけです。その意味では、時間はありません。
 
今回の災害や巨大事故からは、財産権のあり方、ボランティア活動への支援法制のあり方、事故調査のための法的権限、関係者の証言強制と免責とのあり方、原発事故と損害賠償の範囲ないし賠償スキーム、巨大企業の法的処理など、理論・実務の双方が考えなければならない法的問題は多数投げかけられています。これまで我が国では、新たな法的問題が発生すると、外国の例を参照することが多かったです。しかし、おそらく今回の問題は、外国には直接の答えはないと思いますし、例えあったとしても、外国の例が我が国の問題解決に適切な答えになるとは限りません。そうであれば、私たちが答えを見つけ出すと共に、世界に発信していくべきときが来ていると思います。「輸入法学から輸出法学」という戦略的視点を(も)持っても良いのではないか、と思っています。世界の人々のために、我が国の出来事や我が国が考えて出した答えが、世界の考える材料になってもよいと思うのです。
 
このように見ると、私たちは自分自身で問題を考え、1つの答えを選択し、解決していかなければならない時期に来ていると思います。これは困難なことです。しかし、この困難を乗り越えていかなければならない、そのように考えています。
 
長くなりましたが、今年も当blogをご覧下さいまして、どうもありがとうございました。
2012年が、みなさまにとって大変素晴らしい年でありますように。

伊藤滋夫「司法研修所編『新問題研究 要件事実』について・上」法律時報84巻1号93頁。

「要件事実の初学者が、実体法の解釈によって(要件事実が-ESP補足)決まると述べられているからということで、従来の民法の教科書を見ても、おそらくほとんど具体的な示唆を受けることは困難であろう」


近時刊行された、司法研修所編『新問題研究・要件事実』は、「実体法の解釈」から、要件事実を導き出す姿勢が鮮明に現れています(上記伊藤論文でも指摘)。現に同書のはしがきでは、「要件事実についての考え方が実体法の解釈を前提とするものであることを踏まえ、その内容について、できる限り現在の実体法の解釈と整合的なものとするとともに、実体法について多様な解釈があることをより意識したものとすることとしています」(同書1頁)と書いてあるのです。確かに中身を読んでみると、そういう印象を受けました。旧版(『改訂問題研究 要件事実-言い分方式による設例15題』)では要件事実の前提として、司法研修所が採用する民法理論、民訴理論が(簡潔ではあれ)書かれていましたが、新版では中立になっています。一般的な読者であれば、「要件事実は特定の民法理論、民訴理論とは中立」ということが理解できると思います。
 

他方で、『新問題研究』では、肝心要の「実体法の解釈」の中身について、明確な説明もされていません。そうなると、前提となる「実体法の解釈」は、各自の学習に委ねられていることになります(司法試験に合格している修習生であれば、それを理解していることが前提となっています)。その意味で、『新問題研究』は自己完結型の本ではなく、民法をはじめとした民事実体法の理解を、前提としているわけです。しかし、伊藤先生指摘の通り、 近時の民法教科書を開いても、なかなか手がかりはつかみにくいのではないか、という思いもあります。

さらに、実体法の解釈をきちんと理解していれば、要件事実論をきちんと展開できるかと言えばそうではありません。実体法解釈のプロである研究者ですら、要件事実に苦労しているのも、その現れだと思います。やはり両者を接合する作業が、必要になるわけです。しかし、この作業のノウハウを有している独力で有している学習者はほとんどいないと思いますし、またノウハウを有している法科大学院も、ほとんどないのではないか、と思います。ノウハウを有しているかの1つのバロメーターとしては、『民法総合・事例演習』を、作成者の意図にそって使いこなせるかだと思うのですが、果たしてそれが出来る法科大学院が日本にいくつあるのか疑問のあるところです。


というわけで、要件事実は実体法の解釈を踏まえることが必要、ということまでは共有できても、その次をどうするか、すなわち、実体法の解釈と要件事実をどう接合していくか、という大きな課題をこなしていかなければなりません。


正直、この課題を具体的にどう取り組んでいくか、ということについて、私は正面から答えを有しているわけではありませんが、あえて挙げるとすれば、以下のことが挙げられるのではないかと思います。


1.派遣民事裁判官の授業を大事にする

実体法の解釈と要件事実を接合できるのは、法科大学院に派遣されている民事裁判官だと思います。多くの法科大学院では、「民事訴訟実務の基礎」で、派遣民事裁判官による要件事実の勉強が展開されます。通常の派遣民事裁判官は、司法研修所の意向を踏まえて、授業を展開するはずなので、ここでの授業から、実体法の解釈と要件事実を接合するノウハウを身につける必要があると思います。同時に、派遣裁判官による授業は、現在の司法研修所の方針を知る上でも、極めて重要である点を付け加えておきたいと思います(その意味では、同様に派遣刑事裁判官による「刑事訴訟実務の基礎」も重要です)。

特に注意すべきは、既修者(2年コース)の人です。というのは、法科大学院によっては、既修1年目の前期に「民事訴訟実務の基礎」が開講されています。すなわち、入学直後に、極めて重要となる要件事実の授業が開講されているわけです。しかし、入学直後は法科大学院での生活ペースに慣れず、漫然と授業を聴く危険もあります。注意が必要です。

また単に授業を聴くのではなく、自分で勉強しても不明な点は、徹底的に派遣民事裁判官に食らいつくぐらいの姿勢が必要かもしれません(調べて分かることも質問しろ、という意味ではない)。

 
2.旧版と比べてみる
これから法科大学院に入学される方は、『新問題研究・要件事実』をベースに要件事実論を学習されるかと思いますが、司法研修所の当時の考え方を知るためには、旧版である『改訂問題研究 要件事実-言い分方式による設例15題』(法曹会、2006年)も手に入れて、読み比べてみると良いと思います。もう流通していないかもしれませんが、古本屋や(法科大学院のある)図書館にはあると思います。もちろん、旧版を暗記して事足りる、という意味ではありません。あくまで手がかりとしての使用です。


司法試験の民事系では、かつて要件事実のウエイトが極めて高かったことは事実です。例えば、債権譲渡特例法が出題された1回目の新司法試験の民事系第2問は、要件事実の基礎が分かっていないと、お手上げの問題であり、また、短答式試験でも要件事実を意識した問題が見られました。このため、一時は法科大学院生に要件事実が広まった時期もありました。

しかし、実体法の解釈を軽視した要件事実論や、要件事実を単に丸暗記する誤った学習方法による弊害などから、近時では「やはり実体法の解釈が重要」ということが強調されつつあります。司法試験でも要件事実のウエイトが下がりつつあるのは、その現れかも知れません。

だからといって、要件事実を勉強しなくて良い、ということではないと思います(そうであれば、派遣民事裁判官の授業はなくなっているはず)。法科大学院生の多くが入所を目指す司法研修所が、要件事実論を放棄しない以上、やはり要件事実の学習は必要だと思います。また、要件事実論に際しては、「民事実体法の解釈を踏まえることが重要(だから、民法をきちんと勉強しろ)」と言われ、それは全くその通りなのですが、じゃあそのためには、どうすればいいのか、何をすればいいのか、というのは実はよく分からないところなのです(内田先生の民法を読む?ダットサンを読む?予備校本を読む?・・・いずれも足りないような)。法科大学院生や司法修習生と接する実務家が、「最近の学生(修習生)は、民事実体法の理解が弱い」と言われることがありますが、法科大学院生や修習生は民法を勉強していないわけではないのです。ですので、実務家の方々が感じる不満は、勉強不足だけでなく、法科大学院生や司法修習生の勉強のベクトルが若干ずれていることに(も)起因するのかな、とも思います。しかしそうであれば、むしろ問題は深刻で、「単に勉強しろ」と尻を叩くだけでは、問題は解決しないことになります。その意味でも、この問題について、どのように解決すべきかを具体的に詰めて考えていく必要があるなと考えています。


池田修=前田雅英『刑事訴訟法講義[第4版]』(東京大学出版会、2012年)

http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-032368-0.html


刑事訴訟法については、電子データへの捜索・差押えに関する改正がされましたので、改訂版を参照することは必要になるかと思います。

(リンク先のページではその点についての言及はありませんが、言及されていないわけはないと思います)





平成24年司法試験の知的財産法の出題に係る法令について(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/content/000082736.pdf


以下引用。


「平成24年の司法試験では,平成23年5月31日第177回国会において成立した特許法等の一部を改正する法律(平成23年法律第63号。平成24年4月1日施行。)による改正後の特許法等その他知的財産法分野に関する法令に基づいて出題することとなるが,通常実施権等の対抗制度の見直し,冒認出願等に係る救済措置の整備,審決取消訴訟提起後の訂正審判の請求の禁止,再審の訴え等における主張の制限,審決の確定の範囲等に係る規定の整備,無効審判の確定審決の第三者効の廃止,料金の見直し,発明の新規性喪失の例外規定の見直し及び出願人・特許権者の救済手続の見直しに係る改正部分については,出題しないこととする」


「会社法制の見直しに関する中間試案」に関するパブリック・コメントの手続の開始について(法務省ホームページ)

http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900107.html


中間試案もこのページにあります。


社外取締役の義務化も一案として含まれているわけですが、効果はあるんでしょうか。

例え義務づけたとしても、結局は経営者の友人(お友達)、または、ヤメ検弁護士などの体のよい収入源に終わってしまう危惧もあります。

仮に今問題になっている大王製紙に社外取締役が義務づけられていたとしても、経営者の暴走を防げたか、甚だ疑問です。


なお当面、会社法は現行制度のままでしょうが、そう遠くない時期に会社法の改正が行われることは確実です。

来年の司法試験は大丈夫だと思いますが、再来年以降は分かりません。東京電力、大王製紙、オリンパスの事例からして、企業統治のあり方が問われている中で、改正作業が前倒しされる可能性はあります。

今後の動きには要注意です。