受験新報2011年3月号に掲載された菊間千乃さんの合格体験記(16-19頁)から。

 

「(1)短答にはじまり、短答におわる
 新司法試験の短答では、論文の要素が多く問われる上に、長文問題も多いため、短答の勉強が論文にも大いに役立つ。本試験では、短答では知識の確認、論文ではその知識を前提とした現場思考が求められていると感じる。よって、短答レベルの知識の定着が大きな鍵になる。
 すなわち、短答の知識に不安がある場合、論文試験で見たことも考えたこともないような問題が出たときに、これが現場思考の問題なのか、自分に知識がないから解けない問題なのかの判断がつかず、パニックになって、的外れな回答をしてしまうケースがある。この点、短答の勉強をしっかりやり、知識面では相当だ、との自信が自分の中にあると、論文を一段優位な立場から受けることができるようになる。これは見たこともない問題だ→周囲も同じだろう→該当条文の趣旨から丁寧に検討しようというように。これが結果的に現場思考の答案になる。
 短答の知識が不十分なまま論文の勉強をしても、1対1の勉強にしかならないが、先に基本をしっかり入れてから論文の勉強をすれば、1対10にも広げていくことができる。
 周りを見ていると、社会人は短答の勉強を軽視しがちのようだ。私も当初はそうであった。論文こそが試験勉強であって、短答なんてくだらないなあと。しかし、社会人で受け控えする人の多くは、短答の勉強が間に合わなかったというものである。自省も込めて、短答の勉強はどうぞお早めに!」(16-17頁)
 
「(2)根拠のある自信を持つ
 「直前期は、とにかく根拠がなくてもいいから、自信を持て」という人がいる。しかし、根拠のない自信は本番では全く役に立たない。自信とは自分の中から沸き起こってくるものである。いくら周囲が、大丈夫だよ、といってくれたところで、人の評価なんて当てにはならない。やったかどうか、できたかどうかは自分が一番良く分かっている。よって、本番で緊張しないためには、あれだけやったんだから大丈夫と思えるくらいに、納得いくまで勉強をすることである」(17頁)
  
「そこで、落ちてからは、とにかく勉強した。1秒とも妥協はしなかったといえるほど、徹底的に勉強をした。平均して一日15~16時間ほど。その結果、2回目の受験では、これまた驚くほど、緊張をしなかった」(17頁)
 
「2回目以降の受験になる方は、1回目、自分が何で失敗したかを詳細に分析することをお勧めする。科目ごとの敗因分析はもちろんだが、勉強の姿勢、メンタル面など。この分析が、2回目の大きなリードとなる」(17頁)
  
「合格者を利用することも大事である。・(中略)・まずは自分のロースクールの合格者とどんどん知り合いになって、有益な情報を得ることが、合格への近道であると考える」(17頁)
 
「基本書からスタートするのではなく、条文からスタートする、ということが分かると、目的意識を持って基本書にあたるため、基本書を読むことが楽しくなった」(18頁)

 

「自分の立ち位置が分からないと、その後の勉強の指針が作れないので、卒業してすぐの試験は、受け控えせずに、受験することをお勧めする」(19頁)

 

ちなみに、会社法の基本書につき、菊間さんは、
「RQ((※)は、最先端の議論が多数掲載されており、今の試験にもっとも適した基本書であると思う」(19頁)
として、『リーガルクエスト会社法』を高く評価されています。
※原文にはRQとありましたが、LegalQuestですから、正しくはLQですね。

 

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