今日から１０月の診療がスタートしました。
診療報酬明細書（レセプト）の始まりでもあります。
日ごろ、術者と言うのは狭い口の中を主目的で診る事が要求されます。
この歯は００だなー、この歯肉は腫れているなー、歯石沈着が多いなー、入れ歯のふちがすれてこの
部位が潰瘍（Dul)になってるんだなー、この金属の被せ物のふちに隙間がでてきているなー、
口腔清掃状況はいいなー、・・・
しかし、これだけでは充分とはいえません。
全身状態、既往歴、アレルギー、慢性疾患、血液凝固剤服用、腎疾患、糖尿病・・
しかし、これだけでも充分とはいえません。
患者さんの目線に立っていないからです。
患者さんは医院の玄関の門を開けた所から、色々な不安、考えが去来いたします。
今まで他でかかった経験値との比較をいたします。
受付がニコリともせずに、何も言葉がけすらしないと、私なら、「こんな鬼の館から、逃げ出したい」
という思いに駆られるのは私だけでは無いと思います。
診療室内に行き、診療台に上がり、ますます、緊張感が高まります。
そんな時にドクターが気難しい様相で尚且つ厳しい口調で
「なんで、こんなになるまでほかっておいたんだね！」
何て言われたものなら、
「何も好きであなたの所に来たわけじゃ無いし、治しに来たのになんで、私の人格まで
失墜させるのよ」
てな事になりかねません。
子育て等で忙しくて中々自分の番が回ってこない場合もあるし、今までに、怖い、痛い目に
あって、清水の舞台から飛び降りる心境で起こしになったのかもしれません。
歯科治療は一度に治らず、何度も通院回数があり、完治する場合がほとんどです。
「歯周病」等の慢性疾患はなお更の事となります。
これも、患者さんに良く説明しないとわからないと思います。
次に代診をいれてお見えの先生な場合は、患者さんサイドとしては、「きちんと連携されているのか？」
「私の事を間違えて伝えていないか？」・・・
私はスタッフに仕事をさせても、どんなに忙しい時でも昔から、「最初の治療状況の把握」と
「最後の確認」は必ず私が致します。
人間神様で無いので、記憶間違い、記憶忘れがおきやすいのでカルテの中にメモ書きできるものを
入れています。
最悪な発言と思われるのにマイナスの発言をして相手の気持ちを撃沈させてしまうケース。
たとえば雨がふってわざわざ来院された人に、
「もう、いやですねー、雨が降ると洗濯物は乾かないし、足元は汚れるし、体はだるくなるし、、」
等とスタッフが言おうものなら、さらにブルーの気が院内に充満して、私まで気持ちがローに
成ってしまいます。
反対にこうならどうか？
「雨はいやですねー、わざわざ来院ご苦労様です。でも、日照り続きで、農作物もたいへんですよね、
これで、少しは息を吹き返しますよね」
また、「しかし、今日は３８．５度の酷暑らしいですよ、体はだるいし、やる気もおこらないわよ」
何て言おうものなら、患者さんは
「えーと」と返答に困り「うわー、大変な日にきちゃったわ、治療の方は？？」
これ一つの発言にしても、常に相手の立場、目線に立てば答えは明瞭と思います。
個人情報保護法・・とまるで００の一つ覚えの様に言われ、銀行まで誓約書を取り交わす
時代になりました。
これとて、皆で徹頭徹尾守ろうと言う意識がないと、ただの言葉遊びになりかねないと思います。
私の所でもすぐ隣にはパーテーションこそあれ、たとえば、
「００さん、この入れ歯はまるで入れていないようですねー」などと大声で話そうものなら、
隣の人は「あれ、あのセレブママさん、まさか？･･入れ歯？」
てな事を吹聴しているような物となります。
お子さんの事でもあたかも全日本虫歯選手権大会のチャンピオンの様に
「しかし、お子さんは、凄まじい数の虫歯で、かつプラークも多いし困りましたなー」
何て、何気なく言おうものなら、そのお母様は、恥ずかしくて焼け死にそうになると思います。
歯科医院は仕事柄誰にも見せない口の中を見せ、一般企業よりもさらにデリケートで、プライバシー
に関わる情報を豊富に扱います。
そういう立場であることを念頭に仕事をしないと、思わぬトラブルになりかねません。
私のお得意部門のお子さんの治療でもそこには絶えず親御さんがいるという背景を捉えて治療を
しないと、お母様に大恥をかかすことになります。
お年寄りの方でも、余りに赤ちゃんの様な言葉で、話すと、
「おれは、まだ若いぞー、あそこだって一人前にいきり立つぞー、なにを小ばかにしてるんだー」
なんて事にもなります。
相手の目線で捉える・・
これは私の一代スローガンですが、一度自分が診療台に乗り、スタッフに歯石取りでもさせると
案外見えてきます。・・ http://wwww.mizutani9620.com