リクエストを頂いたので

特に人気があった過去記事を

読みやすく編集して

再掲載していこうと思います

デレデレ

 

※このブログは2018年6月に書いた

「霊能者なおこの事件ファイル4」

の改訂版になります

 

前編はこちら

 

 

 

 次の施術日が来る前に、

森山さんのお嫁さんから

おばあちゃんが、また入院した

と、電話がかかってきました

 

 

私は、お花を持って

お見舞いに行くことにしました

 

 

口紅の一件から、森山さんが

お洒落な人だと感じていたので

 

お花は、

真紅の薔薇の花束にしました

 

 

病室に行くと、寝ながら

点滴を受けていた森山さんは

 

 

私の持っている花束を見て

「先生は、私の好み分かるねんな」

と言いました

 

私も嬉しくなり、

はい!と笑いました

 

 

 

入院した原因は、また

食べられなくなった事だそうで、

私は、お嫁さんが席を外された時に

小声で

 

 

「まだ怒ってはるんですか?」

と聞いてみました

 

 

すると

「いや、先生。今度はなんや知らん。

もうお母さんが呼んでくれてんねやろ」

と言い、

 

 

「長生きしても、つまらんしなぁ」

と、目を閉じてしまわれました

 

 

「私、森山さんと週一回お話しするの

 とっても楽しみにしてます。

 ゆっくりでいいから、元気になって

 また、お家に呼んでくださいね。」

 

と、花瓶に薔薇を生けて

病室を出ました

 

 

病室を出たところで、

お嫁さんに呼び止められ

お昼ご飯を食べたかと聞かれました

 

 

まだですと答えると、

私もまだだから一緒にどうですかと

お誘いいただき、

ついていくことになりました

 

 

近くの喫茶店で、

ランチメニューを食べながら

お嫁さんは、

 

 

「色々、難しいわ・・・」

とため息をつかれました

 

 

おばあちゃんが食べないことで、

ご主人から「何をしてるんや」

「ちゃんと見ているのか?」と

注意されたそうです

 

 

ご主人は歯科医師で開業されていて

普段は忙しく、あまり会話もないこと

 

 

子供は男の子3人で、そこに義母も同居

自分なりに必死で母、妻、嫁を

してきたつもりであること

 

 

義母の気持ちは、自分には分からず

好物を作っても、食べてくれなくて

途方にくれていること

 

 

全てが、初めて聞く

お嫁さんの気持ちでした

 

 

それぞれの立場で、

それぞれ想いがあり

 

 

みんな自分なりに

一生懸命なんやなぁと思いながら

じっと聞いていました

 

 

私が黙っていると、お嫁さんは

「おばあちゃん、一体どうやったら

   食べてくれるんでしょうか?

  本当に、分からなくて・・・」

と、吐き出すように言われました

 

 

なんてお声をかけて良いのか?

私は頭の中で、ぐるぐると

言葉を探していましたが

 

 

これだという正解の言葉など

見つかるわけもなく

ただ、自分の感じたことを

正直にお答えしようと決めました

 

 

「あの、おたふく人形は、

  おばあちゃんが、自分のお母さんやと

  おっしゃっていました。

  おばあちゃんのお母様って

  看護師さんでしたか?」

 

 

と私が聞くと、お嫁さんは驚いて

「それ、おばあちゃんが言いました?」

と言うので、私は

 

 

変に思われるかもしれませんが・・・

という前置きの言葉から、

 

これまで自分が見たもの感じたことを

お嫁さんにお伝えしました

   

 

 お嫁さんは始め、ええっ?!

と声を上げて

怖いわぁと言われましたが

 

 

しばらくすると、

「実は三男も霊感があって、

  看護師の霊が居るって

  言うてたことあるのよ。

  誰に似たのかしら?」

 

 

 と言うので、私はちょっと可笑しくなって

消毒液の匂いの件を話しました

 

 

お嫁さんは、目をまん丸にして

しばらく言葉もない様子でしたが

急に、身を乗り出して

 

 

「先生、あのおたふくさんは

   おばあちゃんのお母さんが、

   大事にしていたものやと聞いています

 

   あの人形を、押入れから

   出してあげたらええんですか?

   そうしたら、お化け出なくなりますか?」

 

  

 と、聞いて来られました

 

 

私は、うーんと唸り

正直それは、分かりませんが

おばあちゃんが喜ばれることだとは

思います。と、お答えしました

 

 

人生経験も浅い20代の意見でしたが

お嫁さんの眼は、急に力が満ちた様になり

やることが出来たのが嬉しそうでした

 

 

食事が済むと、何度も

お誘いして良かったわと繰り返し

「先生、ありがとうございます」と

病院へ戻って行かれました

 

  

次に私が森山さんの施術に伺ったのは

その日から2週間後、

森山さんが退院された翌日の事でした

 

 

この日、

玄関に出迎えてくれたお嫁さんは

いつになく機嫌が良さそうで

 

 

どうぞどうぞと急き立てられる様に

森山さんのお部屋へ通されました

 

 

お部屋に入ると、

まず目に飛び込んで来たのは

祭壇の様に、色々とお供えされて

飾り棚に座っているおたふく人形でした

 

押入れの中から

出してもらっただけじゃなく

 

 

いきなり

VIP待遇になってる!!ポーン

 

 

びっくりした顔のまま、

ベッドの森山さんと目が合い、

森山さんは笑いを堪えている様な表情で

片眉を上げて私に目配せしました

 

 

私も思わず、

吹き出してしまいそうになりましたが、

 

堪えながら下を向いて、

鍼灸の施術の準備を始めました

 

 

いつも通り、私がこれから1週間の

お天気情報を話し始めると

お嫁さんは「お願いします」と

部屋を出て行き、森山さんと2人になりました

 

 

今度は遠慮なく、

私達は、目と目を合わせながら

「えらいことになりましたねぇ」

と、一緒に笑いました

 

 

森山さんは、

「先生、おおきに。

  先生のおかげで、おたふくさんも

  お母さんも喜んではるわ」

 

と頭を下げる仕草をするので

私は慌てて、やめてくださいと言いました

 

 

施術前に、オムツ交換させていただく時

私はあることに気がつきます

 

オムツが、濡れていない!

 

「これって・・・」

と呟くと、森山さんが

 

「嫁さん、えらい優しゅうなってな。

   おばあちゃん、気持ち悪くないか?

   今日は何やったら食べたい?

   言うて聞いてくれんねん。

   ありがたいことやなぁ」

 

 と言いました

 

 

森山さんとお嫁さんの間で、

何かが変化した様でした

 

 

それから2年後、森山さんが

自分の意思で老人介護施設に

入所するまで、私は週1で

森山さんの元に通いました

 

 

おたふくさんが、

押入れから出て来てから

看護師さんの霊は1度も見ていません

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日、突然我が家の寝室にカシエルが?! 龍を呼び起こす白い麒麟、索冥を追って はじめましての方へこれまでの私について 霊能者なおこの事件ファイル 江島直子著「鳳凰メソッド」サイン入りメッセージカード付き VenusWebShop 江島直子のオリジナルグッズを販売しております