モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵 | アニメの撮影よもやま話

アニメの撮影よもやま話

フィルム時代のアニメの撮影からデジタル変換期をへて現在に至るまでの撮影回顧録

(2014) モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵

 

 ミニスカートの船長服をまとった女子高校生が、免許を受けた「合法的な」宇宙海賊の船長として活躍する物語です。

 2010年にテレビアニメ化が発表され、2012年1月から6月まで『モーレツ宇宙海賊』(モーレツパイレーツ)として放送されました。映画化もされ、2014年2月に『モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-』のタイトルで劇場版が公開されました。スケジュールも結構厳しくて、ほぼ撮影スタジオ総動員で対応したと思います。(-_-;)

 そういえば、この映画の鑑賞券をもらったので劇場に行ったんですが、映画館内のモニターで当時ながれていた『アナと雪の女王』の予告映像(エルサの歌う「レット・イット・ゴー」のやつ)のインパクトがすごくて、ずっと魅入っていたことを憶えています。

 

 

【アニメ撮影よもやま話】

 

 業界内でいまだに改善されないのが、ペイント素材の『奇数』問題。デジタル撮影では、ほぼAE(アフターエフェクツ)を使っているのですが、コレが『奇数』の素材だったりすると、いろいろと注意が必要なんです。

 

 ・奇数素材とは、縦か横の最小値が奇数の素材の事です。

1000×1000 (偶数) 〇

1001×1000 (奇数) ✕

1000×1005 (奇数) ✕

1110×1090 (偶数) 〇

 

 アニメの工程の中で動画→スキャン→ペイントの『スキャン』の時に、サイズを気にしないで奇数素材でスキャンしてしまい、それがそのまま撮影にまで流れてきてしまう訳です。

 

 するとどうなるでしょうか?

 

 

 まあ、そのまま撮影すると、セルのグラデーション処理やスムージング処理(線を滑らかにする効果)でエラーになってしまう訳です。なので、スキャンする作業時には、必ず【偶数でサイズを決める】事を徹底してもらいたいんですが、これがなかなか末端まで伝わっていないようなんですよねー。

 

 動画・仕上げまで、ほとんど海外という事はわかるんですが、それなら、制作さんがちゃんと現場に伝達してくれないと…。(-_-;)

 

 もちろん撮影でコレの回避方法もあるんですが、撮影工程も増えるし、見落としもあるので、転ばぬ先の杖として、業界内でも徹底して欲しいです。